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首都圏再開発で2020年に開業する大規模施設。五輪の年に大きく変わる

2019年は、100年に1度といわれる渋谷再開発において、渋谷スクランブルスクエアやフクラスが開業、桜丘口地区の建物が取り壊されるといった大きな変化があった。オリンピックという大きなイベントが実施される2020年はどこで、どのような施設が開業するのか。首都圏の再開発計画を紹介する。

新駅「高輪ゲートウェイ」「虎ノ門ヒルズ」開業

2020年は、JR山手線の品川~田町間に「高輪ゲートウェイ」、東京メトロ日比谷線の霞ヶ関~神谷町間に「虎ノ門ヒルズ」という新駅が開業する。両駅の周辺では再開発が進められている。

高輪ゲートウェイ駅の開業は3月14日。駅周辺では、JR品川駅から田町駅までを一体開発する「品川開発プロジェクト」が、2024年頃のまちびらきに向け、進められる。

高輪ゲートウェイ周辺開発が本格始動

港南側から高輪ゲートウェイ駅・4街区および3街区建物を望む

開業が進められる前に、JR東日本は高輪ゲートウェイ駅開業にあわせて、品川開発プロジェクト用地を活用したホールやイベントスペースなどの特設会場を設置。約30,000m2の敷地に、4つのホールや、イベントスペース、ライドステーション、芝生広場、フード&クラフトマーケットを、3期に分けて順次オープンし、東京オリンピックのパブリックビューイングや、各種体験プログラム、展示などを行なう。

高輪ゲートウェイ駅前で次世代サービス・モビリティ体験

高輪ゲートウェイ駅近くの都営浅草線泉岳寺駅周辺でも、2024年度の事業完了予定の再開発が進められ、両駅を繋ぐ直結街路の設置が計画されている。

虎ノ門ヒルズ駅の開業は6月6日。駅周辺には、地上52階の虎ノ門ヒルズ 森タワー、12月竣工地上36階の虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーがあるほか、6月に24階建の東京虎ノ門グローバルスクエア、2023年には地上49階の虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの竣工が予定されている。

虎ノ門駅前再開発「東京虎ノ門グローバルスクエア」

虎ノ門新ヒルズ ステーションタワーは日比谷線新駅直結

虎ノ門ヒルズ 森タワー(中央)と虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー(右)。'19年9月3日撮影

横浜では「JR横浜タワー」「パシフィコ横浜ノース」が開業

JR横浜駅近くに、駅前棟の「JR横浜タワー」、鶴屋町棟の「JR横浜鶴屋町ビル」が、東京オリンピック前に開業予定。

JR横浜タワーは、地上26階、地下3階で、「NEWoMan横浜」「CIAL横浜」およびシネコンの「T・ジョイ 横浜」が、地下3階から地上10階の商業ゾーンにおいて展開。12階以上はオフィスフロアとなる。「JR横浜鶴屋町ビル」は、CIAL横浜、ホテル、スポーツ施設などで構成される。

JR横浜駅西口に「JR横浜タワー」

JR横浜タワー 位置図

パシフィコ横浜ノースは4月24日に、パシフィコ横浜の隣接地の新たなMICE施設として開業。国内最大規模という約6,300m2の多目的ホールや、合計貸出面積計6,185m2の大型会議施設を備える。

「パシフィコ横浜ノース」が4月24日開業

国際大通りから見たパシフィコ横浜ノース(手前)

そのほか横浜エリアでは、全面建替え工事を進めていたた「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」が4月10日に開業。店舗数は建替え前の2倍となる約170店舗に拡大される。

2021年以降は、横浜駅徒歩6分の場所にて地上21階の「横濱ゲートタワー」(2021年竣工予定)、みなとみらいエリアにて2万席規模の音楽アリーナを擁するミュージックパーク(2023年竣工予定)、および地上28階と15階の2棟からなる大規模複合ビル(2023年竣工予定)、現市庁舎街区を再開発し大学・行政棟保存ホテルなどを誘致する30階建ビル(2024年開業予定)の開発計画が進められている。

竹芝・豊洲・有明等臨海エリアに大規模施設

竹芝エリアでは、「ウォーターズ竹芝」と「東京ポートシティ竹芝」が年内の開業を予定する。

ウォーターズ竹芝は、劇場を核とし、水辺を活かした複合型まちづくりを推進。I期(高層棟・駐車場棟)が4月、II期(劇場棟)が年内の開業を計画する。高層棟は地上26階、劇場棟は地上6階。劇場棟では四季劇場[春][秋]の2館の新劇場がオープンし、既存の自由劇場とあわせて3劇場で運営する。

「WATERS Takeshiba」。劇場を核に水辺のまち

ウォーターズ竹芝

東京ポートシティ竹芝は、オフィスタワーとレジデンスタワーにて構成。オフィスタワーは地上40階、レジデンスタワーは地上18階。オフィスタワーの低層階では商業ゾーンを展開する。また、竹芝駅および浜松町駅と歩行者デッキで直結する。

豊洲エリアでは、「豊洲ベイサイドクロス」が4月24日に開業。街区の核となる建物である地上36階の「豊洲ベイサイドクロスタワー」では、既存のららぽーと豊洲とあわせて、三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲がスケールアップオープンする。タワー内はそのほか、ホテル、オフィス等にて構成される。

「豊洲ベイサイドクロス」が2020年4月24日開業

豊洲ベイサイドクロス 夕景外観

そのほか豊洲市場にて「江戸前場下町」が1月24日営業開始。日本の食や文化を体験する店舗として寿司や海鮮丼などの飲食店、土産物店など計21店が入居予定。

市場の食材を使った料理が楽しめる「豊洲場下町(フードホール棟)」、市場の食材などを購入できる「市場小路(マルシェ棟)」、屋外マルシェやイベントなどで利用する「江戸前広場(多目的広場)」の3つで構成される。

「江戸前場下町」。市場の食材を使うフードホール

市場小路(マルシェ棟)入口正面イメージ

有明エリアでは、東京ドーム2.3個分の開発面積となる「有明ガーデン」が、4月より順次開業。

有明ガーデン内には、商業施設200店舗、約8,000人収容の劇場型ホール、劇団四季専用劇場「有明四季劇場」、露天風呂付大規模温浴施設を備えた全749室のMICE対応ホテル、1,500戸超のトリプルタワーマンションが整備される。

「有明ガーデン」。劇場・MICE・観光で臨海副都心が進化

街区完成イメージ(北側からの外観)

臨海エリアではそのほか、東京オリンピック選手村が大会後に、分譲住宅・賃貸住宅と商業施設が集まる人口1万人以上のタウン「HARUMI FLAG」となる。

HARUMI FLAG

また東京港において、円滑な物流機能を確保するため、中央防波堤地区と有明地区を結ぶ海底トンネル「東京港海の森トンネル」、および中央防波堤内側埋立地と外側埋立地とを結ぶ水路横断橋「海の森大橋」が、春を目標に整備が進められている。

渋谷・池袋の進化は止まらない

渋谷では、1月3日より銀座線渋谷駅の新駅舎が、渋谷駅東口駅前広場の正面にて供用開始された。3月には、大規模改修が行なわれていた宮下公園が、商業施設や宿泊施設と連携する「新宮下公園」として竣工予定。駅周辺では2023年度竣工予定の桜丘口地区の開発が進められており、日々変化していく様子を見ることができるだろう。

開発が進む桜丘口地区。'19年9月11日撮影

渋谷の隣駅の原宿駅前では、IKEA初の都市型店舗出店を予定する「WITH HARAJUKU」が、4月に開業。地上10階で、商業施設のほか、シェアスペースや住宅などで構成される。また原宿駅では3月21日より、新駅舎と新ホームの供用が開始される。

原宿駅前「WITH HARAJUKU」4月開業

WITH HARAJUKU

池袋では、シネマコンプレックス、シネマプラザを擁する「Harezaタワー」が7月にオープン。2019年11月にオープンしたホール棟、としま区民センター等と隣接する場所で、これらとあわせたHareza池袋のグランドオープンとなる。Harezaタワーは地上33階で、1階が店舗、2階から6階が映画館、7階以上はオフィス。

Hareza池袋
建設が進むHarezaタワー。'19年11月1日撮影

浅草や有楽町・新橋の高架下に新たな商業空間

浅草では、東武スカイツリーラインが隅田川を渡る鉄道橋に沿う形で歩道橋「すみだリバーウォーク」を整備。さらに橋を渡った先から東京スカイツリーまでの高架下に複合施設「東京ミズマチ」が開業する。開業は2020年春予定。

浅草に「東京ミズマチ」「すみだリバーウォーク」

東京ミズマチ

有楽町~新橋間の高架下では、JR東日本とJR東海による商業空間開発が、初夏の開業を目指し進められている。高架下の長さは約300m、広さは約10,000m2。バーや飲食店、食物販・雑貨・ファッションのショップなどの「日比谷 OKUROJI」と、飲食店舗が集まる「日比谷グルメゾン」で構成される。

有楽町・新橋間の高架下に新しい商業空間開発

日比谷 OKUROJI

下北沢に温泉、立川に多摩地区最大級ホール

下北沢駅周辺では、小田急小田原線代々木上原駅~梅ヶ丘駅間の鉄道地下化による鉄道跡地の、1.7kmにわたるエリアを「下北線路街」として2020年度までに整備。9月に「都心に突如現れる温泉旅館」が開業する。そのほか4月に住宅・商業施設や保育施設、11月から12月にかけて飲食店や商業施設、ホテルなどがオープンする。

小田急の鉄道跡地に温泉旅館。「下北線路街」

下北線路街の温泉旅館

立川では2020年4月、立川駅北側「みどり地区」に、新街区「GREEN SPRINGS」が開業予定。多摩地区最大の2,500席規模のホール、天然温泉を使ったインフィニティスパが特徴のホテル、オフィスとショッピングエリアなどの施設を展開する。

立川に新街区「GREEN SPRINGS」が開業

GREEN SPRINGS

羽田空港直結の大型ホテル・天然温泉

羽田空港周辺では、春に「羽田エアポートガーデン」、夏に「羽田イノベーションシティ」が開業。

羽田エアポートガーデンは、羽田空港国際線ターミナルに直結する宿泊施設および複合業務施設。地方都市・観光地へのルートも確保した15停留所のバスターミナル、約90店舗の商業施設、富士山・飛行機を望む約2,000m2の展望天然温泉を展開する。

羽田エアポートガーデン

羽田イノベーションシティは、京浜急行電鉄空港線・東京モノレール「天空橋駅」の直上に位置し、研究開発施設(ラボ・大規模オフィス)、先端医療研究センター、会議場、イベントホール、日本文化体験施設、飲食施設、研究・研修滞在施設、水素ステーションなどを展開する。

四谷に31階建、小岩に33階建の複合施設

JR四谷駅前に、地上31階のYOTSUYA TOWERを中心とした街区「CO・MO・RE YOTSUYA(コモレ四谷)」が開業。オフィス用途のYOTSUYA TOWER、商業用途のCO・MO・RE Mall、および住宅などにて構成する。

コモレ四谷 公式ブログより

小岩駅前には、「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業」として、I街区(10階建)、II街区(22階建)、III街区(33階建)の整備が進められており、このうちI街区が冬頃に竣工する。II街区は2022年夏頃、III街区は2026年冬頃竣工予定。I街区は商業、オフィス棟、II街区とIII街区は合計約600戸の住宅、および低層部には店舗や事務所等を整備する。

南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業 イメージパース