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「SaaS is Dead」にSmartHRが反論 SaaSこそAIを活かせる
2026年2月20日 09:00
SmartHRは19日、報道関係者向け勉強会を開催し、「SaaS is Dead」論に対する同社の見解と今後の戦略を示した。
SaaS is Dead(SaaSは死んだ)論は、2024年末にMicrosoftのサティア・ナデラCEOが「AIエージェントの台頭により、SaaSのあり方は変わっていく」と語ったことから、「SaaS時代の終わり」として話題になった(ナデラ氏自身はDeadとは言及していない)もの。
登壇したSmartHR 代表取締役CEOの芹澤雅人氏は、この議論における懸念の多くは「SaaS」という言葉の多義性を曖昧なまま語っている点にあると指摘。AIによる内製化の加速や競争激化、UIの価値低下、従来の従業員数ベースの課金体系の崩壊といった論点を挙げつつも、SaaSの価値が一様に失われるわけではないとの立場を示した。
同氏はそのうえで、AIが得意とするのはデジタル化された情報の処理であり、現場で発生するアナログ情報をデータ化して集める部分は引き続きSaaSの役割だと説明。セキュリティ・法改正対応といったリスク対応をベンダー側が担う点も、AI時代において重要性は変わらないとした。
また、効率化ツールの内製化や保守運用に企業が貴重なリソースを割くかという点には疑問が残るとし、内製化がSaaSを置き換えるには限界があると述べた。
このほか、日本市場ならではの事情として、労務管理領域のSaaS普及率が約5%にとどまる点や、失敗が許されないバックオフィス業務では急激なAIへの置き換えよりも安定性が重視される傾向があることも指摘した。
一方で芹澤氏は、SaaSがAIによって進化できるとも語る。ソフトウェアはSystem of Record(記録のためのシステム)からSystem of Engagement(つながりのためのシステム)へと発展してきたが、AIの活用によって、蓄積データをもとに次に取るべき行動を提示するSystem of Insightへの移行が加速すると見込む。こうした変化のなかで、SaaSこそがAIの性能を最大限に引き出せると述べた。
同氏はその根拠として、常に最新のAIモデルを適用できる実装の機敏性、APIによる機能の拡張性、独自データの蓄積を通じてAIの精度向上を回せる“データ活用の弾み車”の3点を挙げた。
SmartHRのAI活用事例としては、LLM(大規模言語モデル)を用いて履歴書をスキャンし、項目を自動入力する「AI履歴書読み取り機能」や、社内規定・マニュアルを学習して従業員の問い合わせに自動回答する「AIアシスタント機能」を紹介。
今後、蓄積データをもとに、次世代人材の候補抽出や最適配置の提案など、人的資本経営の実践に貢献する機能の開発を進める方針だという。
芹澤氏は、SaaS is Dead論に対するSmartHRの結論として、「SaaSはすぐに死ぬことはない」ことと「ユーザーへの提供価値がすべて」の2点を挙げた。
AIの発展により、データを中核とせずデータの収集・集約を行なうようなサービスはAIに代替される可能性がある一方、独自データを蓄積し、ユーザーへの価値提供に真摯に向き合うサービスは、AIを取り込むことでさらに価値を高められると締めくくった。









