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グーグル「Gemini 3」を公開　AIモード検索にも導入　Gemini Agent登場

西田宗千佳

2025年11月19日 01:00

Googleは18日(米国時間)、生成AIサービス「Gemini」において、最新のAIモデル「Gemini 3」を本日より提供すると発表した。

中核モデルの「Gemini 3 Pro」は、日本を含む各国で導入される。Gemini 3には深い推論に向いた「Deep Think」など複数のモデルが用意され、それぞれ随時公開されていく予定だ。

また、Googleの検索サービスのオプションである「AIモード」でも、Gemini 3の導入が開始された。ただし、当初はアメリカのGoogle AI ProおよびUltraの加入者向けとなり、日本を含む他国への展開は後日となる。

Gemini 3

従来に比べ推論能力が向上お世辞も言わずコーディング能力も高い

Gemini 3は、推論能力の向上が特徴だ。より深く細かなニュアンスを把握するよう設計されているため、リクエストの背後にある文脈や意図を理解する能力が大幅に向上し、プロンプトの回数を減らしても必要な結果を得られる、とGoogleは説明する。

また、以前より重視されてきた、音声・画像・テキストなどをシームレスに統合する「マルチモーダルな理解」の能力も向上しているという。

Googleは、Gemini 3 Proは主要なベンチマークテストでGemini 2.5 Proを上回っているのはもちろん、AIモデルの性能を比較する公開プラットフォームである「LMArena」で1501ポイントを獲得、他のAIモデルより優れている、と説明している。

ベンチマーク結果も他社AIやGemini 2.5 Proを上回る

賢さ以外の点としては、いわゆる「お世辞」をいう傾向が減り、よりシンプルな回答になったという。

チャットAIサービスでは、悪意のあるプロンプトを入力してデータを盗むなどの悪事を働く「プロンプトインジェクション」という攻撃が増えているが、このサイバー攻撃に対する耐性も高くなった、と説明されている。

また、いわゆるVibe Cording向けの用途を重視しており、コーディング能力でもGemini 2.5 Proを大きく上回っている、という。100万トークン分のコンテクストウィンドウを備えており、コード全体を読み込んで開発効率を上げることができる。

コーディング目的としてはGoogle AI Studio、Vertex AI、Gemini CLIはもちろん、CursorやGitHubなどのサードパーティープラットフォームでも利用可能。そして、新しくGoogleが開発したエージェント開発プラットフォーム「Google Antigravity」でも使えるという。

「AIモード」検索にもGemini 3。ただしまずはアメリカのみ

Googleの検索には、AIが内容をまとめなおす「AIモード」がある。

これについても、Gemini 3 Proが導入される。

Google検索のAIモードにもGemini 3 導入

具体的には、AIモードにモデルを選ぶ機能が用意され、「Default」と「Thinking」が選べるようになる。後者がGemini 3 Proを使ったモードになる。

メニューから「Thinking」を選ぶとGemini 3 Proを利用

以下のデモビデオでは、金利と頭金の有無によるローン支払い総額の比較方法を聞いているが、思考した上でシナリオを設定、支払い期間などに基づいて状況を説明している。

AIモードでローン支払い総額を比較

同様に「三体問題の解説」というテーマでは、解説とともに説明用のインタラクティブ・アニメーションも生成している。

三体問題の解説もアニメ付きで

AIモードへのGemini 3 Proの導入は、現時点ではアメリカの「Google AI Pro」および「Ultra」の契約者が優先。その後、慎重なテストを経てアメリカの利用者全体に提供される。他国への展開時期は公開されていないが、アメリカでの全体展開以降になると予想される。

表示形態も「生成」していく形に

今回新しいAIモデルの導入に合わせ、ユーザー体験にも大きな変更が加えられる。

この機能は「Generative Interface」と呼ばれている。生成された回答に合わせ、その場でユーザーインターフェースの形状自体が変化し、より用途にあったものに変わっていく。

わかりやすいのは、情報を見やすくするため、写真入りのウェブのようなレイアウトを生成する「Dynamic View」だろう。前掲の、解説用アニメーションを埋め込むパターンも同様だ。

写真・画像などを見やすくレイアウトした「Dynamic View」

さらに、選択肢の追加しつつ、写真・表などをわかりやすくレイアウトした回答を得ることもできる。

レイアウトをより見やすく、わかりやすく生成

こうした機能を含め、Geminiアプリからより様々なGeminiの機能を使うことが可能となり、生成するものや答えてもらう内容を変えるためにアプリやウェブを切り替える手間は削減されると見られる。

メールの整理もお任せ　「Gemini Agent」がテスト段階に

また、テスト提供という扱いだが、AIエージェント機能も強化された。

「Gemini Agent」と呼ばれており、GmailやGoogleカレンダーなどのGoogleアプリと連携し、色々な処理をまとめてこなす。

Googleは「Gemini 3の深い推論機能を活かしている」と説明しており、複数のステップの作業を最初から最後まで、一貫した形で実行する。

例えば以下の動画は、Gmailのメールボックスを整理するもの。7日以内に届いたメールをチェックし、その中で「返答」などの必要なアクションを見つけ、リマインダーを作り、返信すべきメールのドラフトを作成する。

Gemini Agentの例。メールボックスの中身をGemini Agentがわかりやすく整理し、返すべき返答などをまとめていく

こうしたことをプロンプトから指示して「やってもらう」のが最終的な狙いだ。

この機能は、アメリカの「Google AI Ultra」加入者向けに、ウェブ上で提供が開始される。他国や他のサブスク利用者への拡大は明言されていないが、「経験を積んだのち、”まもなく”より多くのGoogle製品に拡大する」としている。Gmailやカレンダー以外のGoogleアプリケーションにも、色々な形で入っていくことになるのだろう。