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KDDI、スターリンクでトンネル工事を遠隔監視 ドローンでより安全に

トンネル前に設置したSkydio Dock for X10とSkydio X10

KDDIとKDDIスマートドローン、清水建設は9日、Starlink(スターリンク)衛星を使ったauエリア構築ソリューション「au Starlink Station」とドローンを活用した、山岳トンネル坑内での遠隔巡回の実証実験の成功を発表した。

実証では、北海道縦貫自動車道 七飯町 大沼トンネル峠下工区新設工事の建設現場で、au Starlink Stationと自動離着陸・充電機能を備えたドローンポート「Skydio Dock for X10」を組み合わせた山岳トンネル坑内の遠隔巡回を実施。

追加工事や機器の敷設を行なわずに坑内でのドローンの自律航行を実現し、ドローン映像をもとに、遠隔地からトンネル坑内を巡回できることを確認した。また、au Starlink Stationにより、最小限の設備で約4kmの通信エリアを構築し、切羽(トンネルの掘削面)付近を含む坑内で音声通話やデータ通信、緊急時を想定した連絡が可能なことも確かめた。

実証は1月19日から20日にかけて行なわれた。なお、衛星通信を利用した通信エリア化により、Skydio Dock for X10を用いて山岳トンネル坑内の遠隔巡回に成功したのは国内初となる。

実証のシステムイメージ

山岳トンネルの建設現場では、強い土圧や地震などによる切羽・支保部材の変状、排水設備の故障による坑内冠水などに即時対応するため、日常的に坑内を監視する必要がある。長期休工中にも対応が必要となり、一般的に人手による定時巡回が行なわれる。

また、トンネル坑内の通信環境は主に、掘削の進捗に応じて固定カメラやWi‑Fi機器を設置し、状況に応じて通信ケーブルの延伸・移設して再設定しながら状況確認する。

しかし、通信環境の脆弱さから坑内全体を把握しにくいほか、落盤後の切羽確認や災害発生時には状況把握のため作業員が危険な場所に近づく必要があり、二次災害のリスクも課題となる。

実証では、大沼トンネル峠下工区新設工事インフォメーションセンターや清水建設本社、温故創新の森NOVAREの3拠点から、ドローンの自律航行の遠隔操作や、3Dモデルを確認し、遠隔巡回の実証に成功した。

同システムでは、Starlinkを活用した4G LTEの通信エリア化により、大容量通信を必要とするドローン遠隔操作や映像伝送が可能となる。また、掘削状況に応じて子機を追加してエリアを柔軟に拡張できる。

インフォメーションセンターから遠隔操作する様子
清水建設本社から確認する様子
温故創新の森NOVAREから確認する様子

実証内容は、ドローンポートに格納したSkydio X10がスケジュールに従って自動離陸し、坑内を自律航行して高精度カメラ映像をリアルタイムに各拠点へ伝送。現地を無人化し、遠隔からトンネル内の巡回業務を実施した。

また、平時の活用として、ドローンの撮影画像から切羽の3Dモデル化や、サーマルカメラによる漏水検知も検証。有事も想定し、遠隔地から即座にドローンを発進させて人が立ち入る前に切羽の安全状況を確認。停電時の暗所でも坑内状況を把握できることも確かめた。

3社は実証により、現場への移動時間削減による生産性向上や、危険箇所への立ち入り回数の削減による安全性向上、切羽の3Dデータ化による業務効率化と施工管理の高度化を実現したとする。

今後、運用体制を全国の掘削現場へ本格展開し、担い手不足や安全確保といった建設業界の課題解決を目指す。

トンネル坑内を巡回中のSkydio X10
トンネル坑内に設置されたau Starlink Station
切羽の3Dモデル