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楽天、モバイルも23年単月黒字へ。国内ECはナンバーワン

楽天グループは14日、2022年度通期決算を発表した。「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントで増収となり、通期連結売上収益は過去最高の1.9兆円(前年比14.6%増)となった。ただし、楽天モバイルの先行投資などにより、Non-GAAP営業損失は3,256億円と拡大した。モバイル事業と投資事業を除くNon-GAAP営業利益は1,774億円(前年比9.6%増)。

2022年度の広告売上は、「楽天市場」や「楽天トラベル」を中心にオンライン広告への受注拡大により1,830億円、前年比15.9%増と伸長した。楽天グループの国内平均月間アクティブユーザー数は前年同期比11.2%増の3,900万で、過去12カ月間の2サービス以上利用者数の割合は75.6%。

国内ECナンバーワン。ファッションが「圧倒的」

インターネットサービスの2022年度の売上高は1兆859億円(前年比8.7%増)。国内ECの通期Non-GAAP営業利益は、前年比36.6%増の956億円と好調だ。

2022年度の国内EC流通総額は、前年比12.3%増の5.6兆円。楽天グループ三木谷 浩史CEOは、「アマゾンは公表していないが、我々は国内1位だと思っている」と語る。なお、2020年代前半の国内ECナンバーワンを目標としていたヤフー/Zホールディングスは、2日のヤフー・LINE・ZHD合併発表にあわせてその目標を取り下げ、収益を重視する方針に転換した。

直近の四半期成長率も13.6%となり、ヤフーの5.6%を大きく上回っているという。ECにおいても、楽天ファッションが好調で、流通総額が1兆円を突破。ZOZOTOWNの2.5倍で「圧倒的な存在感」と強調している。「楽天トラベル」の国内宿泊流通総額は、コロナ感染拡大前の2019年比で2桁成長した。

楽天カード・証券・銀行も堅調

フィンテックセグメントの2022年度の売上収益は6,634億円(前年比7.2%増)、Non-GAAP営業利益は987億円(前年比10.8%増)で増収増益。

楽天カードの発行枚数は、2022年12月に2,808万枚。ショッピング取扱高は年間18.2兆円(前年比25.8%増)となり、中期目標のカード発行枚数3,000万枚、ショッピング取扱高30兆円、取扱高シェア30%に向けて堅調に伸長しているという。

楽天銀行は、単体口座数1,339万口座を突破。楽天証券は総合証券口座数が前年同期比で21.1%増で864万口座となった。

モバイルはARPU増加。店舗やCMを減らしてコスト改善

堅調なインターネット・フィンテックに対し、大きなマイナスになっているのが楽天モバイル。モバイルセグメントにおける2022年度の売上収益は3,687億円(前年比62.0%増)で、営業損失は4,928億円。

昨秋に通信料金1年間無料キャンペーンが終了し、課金ユーザーが増加したほか、新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」への移行によるARPU(1ユーザーあたりの平均売上)の上昇、ローミング費用削減などで、2022年度第1四半期をピークに営業損失は逓減傾向とする。

'22年9月から課金ユーザーが100%になり、ARPUは新プラン発表前の2022年度第1四半期の837円から、第4四半期では1,805円に増加。また、平均月間データ利用量は18.4GBで、「他社に比べてもヘビーに使う人が楽天モバイルに集まっている」(三木谷CEO)とする。MNOとMVNOの合計契約数は、2022年12月末時点で506万回線。MNO契約者は452万回線で、新規契約者数は、'22年12月以降純増となっている。

4G基地局は目標まで残り15%まで到達し、人口カバー率も98%に拡大。設備投資は2023年度までは年間3,000億円規模となるが、'24年度には1,500億円規模と半減予定。また、収益の足かせとなっているKDDIへのローミング通信も、現在の約4%から年末までにほとんど減らしていく。

設備投資の一巡により、年末までに月間のオペレーションコストは約150億円削減し、年間では1,800億円規模となる。また収益改善に向けて、楽天モバイルの店舗を縮小していくほか、テレビCMもすでに大幅に削減。マスマーケティングから友達からの紹介などのリファラルマーケティングに切り替えていく方針。「年内に単月黒字の達成は目指したい」(三木谷CEO)。

楽天モバイル契約者は、楽天市場など楽天グループサービスの「クロスユース」を促進する役割を担っており、楽天モバイル契約後の楽天市場年間購買額は49%増加しているという。そのため、楽天モバイルをきっかけとした楽天サービス利用を促進していく。

楽天モバイル加入を支える最大の施策は、楽天スーパーポイント(SPU)。現在のモバイル利用者でも、選択理由の2番目が「SPUの対象である」ことだという。SPUでお得になるとデータ容量無制限の強みを活かしていく。なお、楽天ポイント発行数は2022年で6,200億を超え、累計発行数も3.3兆を突破した。ポイント失効率は2%で、会員の高い満足度を示しているという。「ゼロ円がいいとか安いほうがいい、という人ではなく、しっかりデータ通信を使う、あるいは楽天のエコシステムのロイヤルカスタマーの皆様に向けて展開して、健全な成長を促していく」(三木谷CEO)。

楽天モバイル次の一手は「法人」

さらなる楽天モバイルへの加入策としては、1月30日から法人向け携帯キャリアサービス「楽天モバイル法人プラン」を本格開始。すでに600超の顧客に提供済みだが、法人契約の増加を見込んでおり、特に楽天市場の出展者などに提案を強化していく方針。「初年度に100万回線契約」を目標としている。

なお、KDDIとソフトバンクではデュアルSIMを活用して、災害時にお互いの回線をバックアップに使う“予備回線サービス”に向けた取り組みを進めており、ドコモも参加について言及している。楽天モバイルはこれまで参加の意思を示していなかったが、「我々も災害時の通信環境についての議論には参加し、進めたい方向は同じだと思っている。ただし、我々はネットワークを作っている最中でもある。今後も様々なコミュニケーションを取っていきたい」(楽天モバイル 矢澤俊介社長)とした。

楽天モバイル投資により有利子負債が増加しているが、すでに発表済みの資金調達を確実に実行して、有利子負債残高を削減する計画。また、楽天銀行のIPOや楽天証券ホールディングスのIPOなども予定通りに展開する。