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楽天モバイルはゼロ円終了で純減。EC好調、カードは絶好調

楽天グループは10日、2022年度第2四半期の決算を発表した。「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメント増収で、連結売上収益は過去最高の4,565億円(前年同期比13.5%増)。コロナ禍で増加したユーザーの定着や、国内旅行の需要回復により国内EC流通総額が伸長。フィンテック各サービスの顧客基盤拡大などが増収に貢献した。

営業損失は、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資などで791億円。ただし、モバイルを除くNon-GAAP営業利益は452億円(前年同期比12.6%増)となる。モバイルセグメントの損失は第1四半期をピークに逓減していく見込みで、来年度には単月黒字化を目指す。

楽天グループの国内平均月間アクティブユーザー数は3,700万(前年同期比11.3%増)、クロスユースも堅調(74.7%)で、楽天エコシステムの顧客基盤が成長しているという。

楽天市場にユーザーが「定着」 トラベル好調

ECなどインターネットサービスセグメントは、売上高2,600億円(前年同期比9.8%増)、営業利益は215億円。国内EC流通総額は1.3兆円(前年同期比12.3%増)。

「楽天市場」における6月の月間流通総額は、コロナ拡大前の'20年1月比で72.5%増加し、「楽天西友ネットスーパー」にも80.0%増加。コロナ禍における「巣ごもり消費」が一巡したが、これにより増加したユーザーが定着した。「楽天トラベル」は、国内旅行需要の回復により、コロナ拡大以前の2019年第2四半期対比でも予約流通総額が14.0%増加し、この点が収益増加にも大きく貢献したという。

また、楽天市場の伸長には、導入から2年半になる「送料込みライン」が寄与(3,980円以上の買い物で利用者の送料を無料とする施策)。送料込みラインの導入企業のほうが成長率が高く、店舗の導入率は93.3%。目標の95%の達成を目指す。

海外事業においては、米国のキャッシュバックサービス「Rakuten Rewards」が売上収益は231億円など伸長したほか、「Rakuten TV」「Rakuten Viki」「Rakuten Viber」など、コンテンツ事業の顧客基盤も成長したという。

楽天カード絶好調。銀行・証券上場へ

フィンテックセグメントの売上収益は1,627億円(前年同期比6.3%増)、Non-GAAP営業利益は265億円(前年同期比17.4%増)で増収増益。

楽天カードの累計発行枚数は2,669万枚で、同期のショッピング取扱高は4兆4,657億円(前年同期比28.8%増)。3月にまん延防止等重点措置が解除されたことなどで、オフライン消費の回復も見られ、ショッピング取扱高が伸長。「カードについては絶好調としかいいようがない」{楽天グループ 三木谷 浩史社長)とした。

楽天銀行は、6月末時点で、単体口座数1,268万口座、単体預金量は8.1兆円となった。4月には、2027年3月期の単体口座数2,500万、単体預金量20兆円を目指す中長期ビジョンを策定し、7月には東京証券取引所へ新規上場申請を提出した。

楽天証券は、口座数805万口座、国内株式マーケットシェア33.5%となった。8月には、投信積立の月額設定金額が1,000億円を突破。5月には、株式上場の準備開始を決め、8月10日に組織再編により楽天証券ホールディングスが上場申請を行なう会社となると発表した。

ゼロ円終了で楽天モバイル純減。損失はピーク超え

モバイルセグメントの売上収益は846億円(前年同期比64.5%増)と大幅増収。無料キャンペーンの終了に伴い、プラン料金の支払いを開始したユーザーの増加や新規契約者の増加が売上貢献した。営業損失は1,243億円。ローミング費用の減少などの影響で2022年度第1四半期(1,350億円の損失)をピークに予定通り逓減。今後もさらなる逓減を見込む。

6月末時点の楽天モバイルMNO/MVNOサービス合計契約回線数は546万。5月に新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」を発表し、“ゼロ円”を終了しため、第1四半期(568万人)から約22万人の減少となった。

楽天モバイルユーザーは546万件
楽天発表の資料から

ただし、MNO解約件数のうち8割が月間データ使用量1GB未満で、1GB以上のユーザー数は増加。ゼロ円を終了したことで「ペイド(支払いを行なう)ユーザーに切り替わっている。解約はかなり落ち着いてきて、11月には元の水準に戻る。ネットワークを改善していきながら、さらに増やしていく」とした。

また、新料金プラン発表以降、楽天モバイルをメイン回線として利用するユーザー比率が8.3ポイント増加したという。

ターゲットとするのは、楽天エコシステムのロイヤルユーザーと通信量が多いヘビーユーザー、経済合理性を求めるスマートなユーザー。

楽天モバイル契約者における新規楽天ユーザー比率は6月末時点で21.5%で、新規の楽天ユーザーの新たな入口となっており、楽天エコシステムの拡大に貢献しているという。すでに楽天のサービスを利用しているユーザーも、楽天モバイル契約後に楽天市場における一人当たりの平均月間流通総額が52%増加するなど、顧客ロイヤリティの向上にもモバイルが寄与しているという。

楽天回線エリアによる4G人口カバー率は97.6%、4G屋外基地局開設数は47,556局。2023年中に、人口カバー率99%超、同基地局数60,000超と楽天回線エリアの拡大と通信品質向上を図る。またキャリアメールサービスを開始したほか、10月には法人向けプランもスタートする。

三木谷社長によれば、東京23区は人口の9.4%が楽天に申込しているという。まだ全国では人口カバー率が十分ではない地域もあるが、これを上げていくことで、東京相当の9.4%が楽天に申し込むと、ユーザー数は1,200万になる。当面の目標は、1,200万を超えて「全国で10%」としている。