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無料終了でも純増に転じた楽天モバイル EC・フィンテック好調

楽天グループは11日、2022年度第3四半期 決算を発表した。楽天モバイルの無料施策が終わり、ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)向上や、堅調な「楽天市場」、盛り上がりを見せる「楽天トラベル」などの現状を報告した。

全体では、「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントで増収となり、連結売上収益は第3四半期として過去最高の4,711億円(前年同期比15.8%増)。モバイルにおける自社基地局設置投資の継続により、Non-GAAP営業損失は786億円を計上しているが、モバイル事業と投資事業を除くとNon-GAAP営業利益472億円となる。

ECもフィンテックも好調

楽天市場はコロナ禍を経てユーザーが定着し、夏休み需要を取り込んだ「楽天トラベル」の回復などにより、国内EC流通総額は前年同期比13.1%増と2桁成長。フィンテック各サービスも顧客基盤が拡大している。

楽天グループの国内平均月間アクティブユーザー数は3,800万を突破し、前年同期比11%増、過去12カ月間における全サービスに対する2サービス以上利用者数の割合は74.9%。

楽天市場などの売上収益は2,597億円(前年同期比8.8%増)、投資事業を除いたNon-GAAP営業利益は248億円(同24.1%増)。国内EC流通総額は1.35兆円(同13.1%増)で、特に「楽天西友ネットスーパー」における物流センター出荷の流通総額は前年同期比32.2%増と高い成長率を記録。また、「楽天リーベイツ(Rebates)」の流通総額も前年同期比44.1%増と好調で、海外においてもキャッシュバックサービス「Rakuten Rewards」が伸長している。

フィンテックは、売上収益は1,665億円(前年同期比10.3%増)、Non-GAAP営業利益252億円(前年同期比19%増)で増収増益。「楽天カード」の累計発行枚数は2,751万枚で、「カード事業が爆発的に伸びている」(三木谷浩史CEO)。第3四半期のショッピング取扱高は、4.6兆円(前年同期比27.4%増)と拡大した。

「楽天銀行」は、9月末時点で、単体口座数1,303万口座。「楽天証券」は、総合証券口座数836万となった。10月には、楽天証券ホールディングスを設立し、証券事業再編が完了。今後は、楽天証券ホールディングスとしての上場申請を目指す。

また10月には、みずほ証券との戦略的な資本業務提携を発表。三木谷CEOは、「絵に描いた餅ではなくしっかりとやっていく。双方にとって実りある提携にしていく」とした。

ペイメント事業は、「楽天ペイ」アプリが、セブン銀行やAirペイ、楽天カードなどと協業し、ユーザー利便性をさらに向上。楽天ペイアプリ経由で、楽天カードのタッチ決済を利用可能になるなど、サービスを拡充している

「無料」終了でモバイル改善。プラチナバンドは'23年4月から

楽天モバイルは、新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」開始に伴い、ARPUが上昇。9月は2,558円となった。また、ローミングの終了などの費用削減効果により、モバイルセグメントの損失は'22年度第1四半期をピークに減少している。第3四半期の売上収益は893億円(前年同期比62.5%増)、営業損失は1,209億円。

基地局は5万を突破し、人口カバー率は97.9%を達成。今後99%超を目指していく。東京23区においても現在の3,334カ所から'23年6月までに4,300カ所まで拡大する。

さらに総務省において議論されてきた「プラチナバンド再割当」についても、報告書案に賛同する姿勢を表明。2024年3月からの使用開始を目指す。また、AST SpaceMobileとの協力による衛星を使った「スペースモバイル」の取り組みも紹介し、将来的なエリアカバーの強化につなげていく。

加入者数は、9月末時点で518万回線(MNOとMVNOの合計)で、MNOの楽天モバイルは455万件。無料施策が終了したことで、「100%が課金ユーザーになった」ことから収益性が大幅に改善。加えて、11月からユーザー数が純増に展開しているという。

ARPUは、第1四半期の837円と比較し、第3四半期では1,472円と75.9%増加。モバイル以外の収益も含む「エコシステムARPUアップリフト」で、9月単体では2,588円に上昇しているという。加えて、楽天エコシステムへの貢献も増えているという。今後は法人向けのサービスを強化。2023年初旬からスタートする。