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「Rakuten 最強プラン」誕生 料金据え置きでカバー率99.9%に

楽天モバイルは、新プラン「Rakuten 最強プラン」を発表。6月1日からサービスを開始する。月額利用料金は3,278円に据え置きながら、国内パートナー回線であるKDDIとの連携を強化し、懸案であった人口カバー率99.9%を達成。従来は容量制限のあった国内ローミングの制限も撤廃するなどサービス内容を強化する。

楽天モバイル代表取締役会長の三木谷浩史氏は、冒頭で、楽天モバイル設立当時を振り返った。

楽天モバイルは2020年にサービスを開始。メガキャリア3社が市場を寡占している中、より安く、制限のないサービスを提供することを目指してサービスの提供が始まった。楽天モバイル開始以前の2018年当時は、日本は世界で最も携帯料金が高い水準にあったとし、この高止まりしている携帯料金を下げたいという思いでサービスが開始された。

三木谷氏は、これを「携帯市場の民主化」と位置づけ、楽天モバイルの参入により利用者の生活費削減に貢献したほか、携帯料金の消費者物価指数の上昇も抑制。もし、楽天モバイル参入による携帯料金の低下がなかった場合、2022年の消費者物価指数は103.7%となったところが、実際には102.3%と-1.4%低い水準に抑えられたという。これは、間接・直接的に楽天モバイルが4兆円ほどを消費者に還元したことになる。

しかし、依然としてスマホの利用料金は高く、MNO4社のスマホユーザーの月額利用料金平均は、5,493円で、家族4人では2万円を超えてしまう。

三木谷氏は「スマホは基本的人権」とし、スマートフォンが他人との連絡や、決済、投資や学習、買い物、医療、エンタメなどあらゆるサービスを利用する入口となることから、「そこに制限がかかったり料金が高いことは日本の発展にマイナスになる」とした。こうした背景から、新プラン「Rakuten 最強プラン」が発表された。

全国で容量無制限「Rakuten 最強プラン」

6月1日より提供される「Rakuten 最強プラン」は、既存プランから料金は据え置きとしながら多くの付加価値を追加して、サービスを充実する。既存のRakuten UN-LIMIT VIIのユーザーは自動的に新プランへ移行される。

月額利用料金は従来プランと同様、月間データ利用料が3GB以下の場合は1,078円、3GB以上20GB未満は2,178円、20GB以上は容量無制限で3,278円となり、利用量が少ないほど自動的に月額料金が安くなる仕組み。

大きな特徴は、日本全国で高速データ通信が容量無制限で利用になったこと。従来は楽天の基地局がカバーしていないエリアはKDDIの回線を利用してローミングを行なっていた。しかし、楽天モバイルの回線使用量は無制限だが、KDDIの回線を利用した場合は、1月あたり5GBを超過したあとは速度が最大1Mbpsに制限されていた。今回、KDDIとの連携を強化したことで、この制限を撤廃。ローミング時も容量制限がなくなり、全国で容量無制限の通信が可能になった。

また、従来から懸案となっていた、人口カバー率についても改善。2023年4月時点で楽天モバイルの人口カバー率は98.4%、楽天回線にプラチナバンドの割り当てはなく、屋内や繁華街、高層ビルなどで電波が繋がりにくい問題があった。

今回、KDDIとの新たな連携により、KDDIの回線をさらに活用。6月からメガキャリア3社と同等の99.9%の人口カバー率を実現する。パートナー回線のプラチナバンドも活用し、これまで繋がりにくかったエリアでの通信も可能にする。

現在、楽天モバイルでは、全国に5.7万局の4G基地局を構築しているが、人口カバー率99.9%を達成したことで三木谷氏は、「今後は自社のネットワークにこだわって基地局を急いで整備する必要性は減った」とし、今後5Gやそれ以上の技術が導入される場合もある程度の自社回線ベースとはするものの、シームレスに繋がれば自社か他社かというのはどちらでもよいと考えているという。

今後は楽天モバイルへのプラチナバンド割り当てや基地局開設についても取り組み、ASTスペースモバイル衛星による僻地等へのサービス提供も目指す。

国内無料通話が可能なスマホアプリ「Rakuten Link」については、8月にPC版を提供開始。PCからでも無料通話が可能になる。

楽天モバイルへの加入方法も簡略化。総務省が主導する「MNPワンストップサービス」を5月下旬からスタートする。これまでMNP手続では、ユーザーはこれまで契約していたキャリアでMNP予約番号を発行し、新キャリアでMNP予約番号を入力するという手間がかかっていたが、MNPワンストップサービスでは、それまで利用していたキャリアでMNP予約番号を発行する必要がなく、新しいキャリアでMNP手続が可能になる。

また、eSIM対応端末を所有する楽天会員を対象とした「ワンクリックお申し込み」を6月下旬より順次提供。楽天市場などに申し込み用バナーを設置し、バナーからワンクリックするだけで、会員情報を元にeSIMを発行し、数分で楽天モバイルが開通するサービス。

新サービス投入にあたり価格を据え置いた理由について三木谷氏は、楽天モバイルでは入会者のほとんどがオンラインであること、新技術導入により圧倒的なコスト削減が実現できている点を強調。楽天のエコシステムにもたらす影響も考えれば、価格の据え置きはグループ全体に有益だとしている。