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KDDI、燃料高騰を退け最高益 法人・金融、3G停波が後押し

KDDI 代表取締役社長CEOの高橋誠氏

KDDIは、2023年3月期の決算を発表した。燃料高騰などのマイナス要因を退け、法人向け事業や金融事業の好調な結果を受けて、過去最高益を更新した。

連結業績は売上高が前年比4.1%増の5兆6,718億円、営業利益は前年比1.4%増の1兆757億円。

ハイライト

このうち注力領域の営業利益は、企業のDX推進を支援する法人向け事業などのビジネスセグメントが前年比6.6%増の1,994億円、金融事業は85.6%増の360億円だった。ビジネスセグメントではコネクテッドカーの出荷や各国で展開する利益率の高いデータセンターなどでグローバル展開も加速させる。

ビジネスセグメント

金融事業はauフィナンシャルホールディングスの営業利益が好調。決済・金融取扱高は前年比22.9%増の14.3兆円、au PAYカード会員数は前年比100万件増の860万会員、auじぶん銀行 ローン商品残高は前年比0.7兆円増の2.3兆円などとなった。auとのシナジーも高く、住宅ローンなど競争力のある商品を展開していく。

金融事業

KDDI全体の営業利益の増減要因は、通信事業の特徴として3Gの停波関連で803億円の増益を計上したほか、DX・金融事業が289億円、コスト効率化を含むその他が641億円の増益。一方、マルチブランド通信ARPU収入は853億円の減益で、2024年3月期で反転させるのが目標。

全体の増減要因

2024年3月期はローミング収入減のカバーが焦点に

2024年3月期は、楽天モバイルからのローミング収入の減少が大きく影響する見込みで、「グループMVNO収入+ローミング収入」の営業利益は約600億円の減収を予想する。

燃料費高騰などは政府から補助金などもあり影響は限定的になる予想で、年間ではローミング収入の減収をカバーすべくそのほかの事業の伸長に取り組む。落ち込んでいるARPU(1ユーザーあたりの売上)の反転については、データ利用の拡大に合わせて魅力化に取り組むとしている。

2024年3月期の業績予想
2024年3月期の業績予想のポイント

なお、決算発表と同日の11日には、楽天モバイルとの新たなローミング協定締結を発表しており、ローミング(楽天にとってはローミング料金の支払い)の急激な減少ではなく、段階的に縮小していく方向で新協定を締結している。これにより、2025年3月期以降はローミング収入の減収影響が緩和される見込みとしている。

ローミングで提供するネットワークはauの4G網で、700MHz帯を使うプラチナバンド。KDDIと楽天モバイルのどちらも、5Gの設備投資に傾注しており、KDDIは4G設備を高い運用効率に、楽天は設備投資を効率的にしたいという思惑がある。ローミングの縮小を段階的に行なう一方、新たに都市部の繁華街(地上)でもauのプラチナバンドでローミングを提供することで、4Gへの設備投資を抑えたい楽天と、4Gの設備をなるべく有効活用したいauとの間で落とし所をみつけた形となっている。なおローミング協定は2026年9月までだが、両社の協議により延長される可能性もあるとしている。