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ヤフーとLINE、ZHDが合併。サービス連携強化と統廃合を推進

4月から左から代表取締役 GCPOとなる慎ジュンホ氏と、出澤剛氏、川邊健太郎氏

Zホールディングスと、LINE、ヤフーの3社が合併する。2日に開催の取締役会において決議され、2023年度中を目処に合併を実施する。

Zホールディングス(ZHD)は、2019年10月に持株会社体制へ移行。'21年3月のLINE経営統合を経て、ZHDを親会社とし、中核完全子会社のLINE・ヤフーという体制を取る中で、経営統合によるシナジーの拡大を進めてきた。

今後、よりプロダクトファーストの組織体制とし、経営統合によるシナジーの拡大を加速させるため、ZHDとLINE、ヤフーの3社を中心に合併する。シナジーの拡大のほか、'23年度以降の持続的な利益成長、未来を創る為の投資原資を得ることも合併の理由としている。

これにより、プロダクトは迅速な意思決定のもと、各サービスの連携強化と統廃合を推進。グループの全サービスの付加価値を向上させる。

国内物販やeコマースについては、ポイント・販促中心からグループアセットを最大限活用することに注力し、成長と収益性のバランスを両立。2023年度の調整後EBITDAは+10%程度の増益を目指す。

合併方針に関する詳細は未定。今後、グループ内にプロジェクトチームを設置し、検討を進め、決定次第公表する。

ZHD川邊Co-CEOと出澤Co-CEO(写真は'21年3月のヤフー、LINE経営統合完了会見時のもの)

また、4月1日付けのZHDの代表取締役と役員の異動も決議。現代表取締役社長 Co-CEOの川邊健太郎氏は代表取締役会長に、現代表取締役Co-CEOの出澤剛氏が代表取締役社長 CEOに就任。現取締役 GCPO(Group Chief Product Officer)の慎ジュンホ氏が代表取締役 GCPOとなる。

新たな経営体制

広告事業に異変。国内EC No1など川邊体制の目標未達に

代表取締役社長 Co-CEOの川邊健太郎氏は、2022年度第3四半期は、コスト最適化や選択と集中により、PayPayを除いた調整後EBITDAは増益となり、PayPayは引き続き成長していると説明。PayPay連結化もあり売上収益は四半期として過去最高の4,536億円となった。

一方、広告市況の悪化をうけ、調整後EBITDAガイダンスをレンジ下限幅の3,315億円に下方修正した。広告などのメディア事業が、マクロ経済環境変化の影響を受けたとする。

川邊氏は、「これまでのZHDは広告が牽引していたが、大きく市況の影響を受けた」と言及。さらに「単に市況だけの問題ではない。一部ではZホールディングスの商品が競合に対して相対的に弱くなっており、強い危機感を持っている」と強調した。

この状況を打開する「大胆かつ抜本的な打ち手」として、今回の3社合併を発表「LINE、ヤフーとZHDを合併する。これにより意思決定の迅速化。重複機能やサービスの統廃合などを目指す」とする。

川邊氏は、2018年にヤフーの社長に就任し、その後ZHDのCEOとなった。同経営体制では2つの目標「2023年度EBITDA 3,900億円」「2020年代前半 国内物販EC取扱高No,1」を掲げていたが、広告市場の悪化は想定以上で、ECも他社との差が大きく達成は不可能と判断。「けじめとして会長に退く」と語り、出澤 Co-CEOが社長に就任し、慎ジュンホ氏が代表取締役となる新体制に改めるとした。

10程度のサービスを閉鎖。新体制で成長へ

新たな経営体制による事業体制については、「2022年度通期連結決算のタイミングで戦略発表する」と言及し、現時点では統合するサービスなどについては言及していない。重複事業やサービスを削りながら、迅速な経営判断により各事業成長を図る方針。

LINE PayとPayPayの統合やニュースなど重複サービスの今後については、「今日の段階では統廃合については言及しない。今日スタート地点に立った(出澤Co-CEO)」と述べるにとどまった。設立準備中のLINE BANKについても本日時点では変更はない。

ただし、決算発表資料では「今後10程度のサービスクローズ・縮小を検討」としている。

今回の合併については、昨年11月頃に戦略の方向性が決まり、年末ぐらいから3社統合でスピードアップしていく方針が決まったという。これまでは、2人のCo-CEOが意思決定を行なう体制だったが、今後は出澤CEOが意思決定の中心となる。

今後プロダクトの統一性や重複事業の削減には、新たな体制が必要と判断。LINEの生みの親である慎ジュンホ氏がプロダクトの方向性を決め、出澤氏が事業における収益向上の舵取りを行なう。そこをサポートするのが川邊氏という体制になる。

なお、ZHDグループの動画事業では、GYAO!とLINE LIVEの撤退を発表し、縦動画の「LINE VOOM」を強化する方針を明らかにしている。LINE VOOMのサービスKPIは順調に拡大しているという。

ただし、TikTokやYouTube Shortsなどの競合との差は大きく「ここからキャッチアップできるのか? 」との質問も出たが、「国内のユーザーの基盤に(LINEの)強みがあり、まだ伸びる余地がある。若者だけでなく、幅広いユーザーやクリエイターに届く可能性がある」(慎ジュンホ氏)とした。なお、GYAO、LINE LIVEの削減効果の合計は年間約30億円。

メディア事業は、ディスプレイ広告、コマース広告が低調で、運用型のみ前年水準を維持。また、LINEディスプレイ広告もVOOMリニューアル影響で減収となった。LINE公式アカウントなどのアカウント広告・検索広告は成長基調。また、LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ、商品特定クーポンといった販促領域の拡大を図る。

コマース事業は、国内No.1の目標を諦めて、コスト最適化とプロダクトの強化で成長と収益性のバランスを改善する。売上高は2,226億円で、調整後EBITDAは423億円。第3四半期のEコマース取扱高は1.11兆円。

成長事業にあるPayPayは、ユーザー数が5,400万人を超えマイナポイント事業もあり、決済単価や回数も増加。順調に成長しているという。第3四半期の取扱高は2兆2,238億円。

今後、PayPayカード連携を強化し、11月からPayPayカード ゴールドを開始。初速は好調で利用単価上昇などプラスの影響が出ているという。また、あと払いなどPayPay連携により、PayPayカードの取扱高は前年比26.4%増となっている。

川邊氏は、「環境変化や力不足で(国内EC No.1、2023年度EBITDA 3,900億円の)目標達成が難しい。ZHDが今後飛躍する上で、私としては一旦資本市場に向き合いけじめを付けたい。新たなチームに夢を託したい」と語った。