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PayPayポイント、'23年に楽天超えへ。発行額1位に向けグループ外開放

PayPayの中山一郎社長は、「『PayPayポイント』が2023年に発行額1位のポイントになる」という目標を発表した。2022年10月以降にPayPayポイントのグループ外開放(外販)を開始することで、加盟店が独自のPayPay還元が行なえるようになる。従来の施策にこの外販を加え、ポイント経済圏を大きく拡大していく狙い。

PayPayはこれまでも独自の還元キャンペーンを実施してきたが、これらは同社主導のもので、還元の原資はPayPayとキャンペーン参加社が負担していた。ポイント外販では、加盟店が独自にポイント還元ができるようになり、定常的なPayPayポイント付与や「〇〇周年キャンペーン」などをPayPayに依存せず、独自に打てるようになる。この場合、ポイント原資はキャンペーンを展開する会社が負担する。

2020年度でポイント発行1位だった「A社」は4,700億円程度で、PayPayはその2/3未満で「業界2位」というポジションにある。

PayPayポイントは、従来は「PayPayボーナス」としてで展開していたが、4月から名称を変更。あわせて、ヤフーにおけるTポイントの付与を3月末で終了してPayPayポイントに統合、またソフトバンクの通信料に対して付与していたTポイントをPayPayポイントに交換できる「ソフトバンクポイント」に改めるなど、グループのポイント施策をPayPayポイントに集約している。

こうしたグループポイント統合や、PayPayのさらなる事業拡大に加え、10月以降にポイント外販をスタートすることで、2022年には発行額1位のA社(楽天とみられる)に迫り、2023年にはポイント発行額1位を狙う。外販の開始とともに共通ポイントとしての経済圏を拡大していく考え。

他の共通ポイントでもグループ外開放しているが、PayPayの強みは、普及率・利用率が高いため「現金に近く、多くの人にとって一番使いやすいこと」(中山社長)だという。「これまでのキャンペーンの実績として(加盟店などに)PayPayを使った施策に効果があると実感いただけている」こともPayPayの強みとする。それ故にポイント外販の開始で、大きな効果が出ると見込んでいるという。

あと払いが成長を牽引。ミニアプリの知見も貯まる

PayPayの中山一郎社長は、日本のキャッシュレス比率は5年間で11%増えており、政府が掲げる2025年のキャッシュレス比率40%は「1年前倒しで達成できる」と言及。日本のキャッシュレス化は堅調という。

そのひとつの要因として、PayPayの登場について触れ「業界全体が切磋琢磨して盛り上がった」と説明。PayPayのユーザー数は4,700万人を超え、「今年度の早い段階で5,000万人を達成できる」とした。2021年度のPayPay決済取扱高は5.4兆円。

2月にスタートした「PayPayあと払い」の実績も初めて明かし、開始3カ月で100万人突破した。ユーザー数が拡大しているだけでなく、単価が倍増し、一人あたりの利用額も上昇したという。「PayPayは比較的少額、普段使いのものと言われてきた。実際そうだった部分もあるが、あと払いが入ることで単価が大きく上昇した。中価格・高価格での利用も増え、そうした加盟店も増やしていける。PayPayのこれからの成長を牽引するサービスが『あと払い』」とした。

PayPayクーポンの利用者も1,000万人を突破。クーポンを店頭で見せるのでなく、事前に登録しておくことでクーポンを適用して支払えるという利便性と「新しい体験」が支持されているという。個人間送金は2021年の1年間で8,400万回。スマホ決済におけるPayPayの送金シェアは87%とした。

請求書払いは、都道府県税が47都道府県に対応し、6月には全都道府県で自動車税の支払いが可能になる。また、市税・料金(固定資産税・国民健康保険料など)も全政令指定都市で対応し、1,129自治体(全国の2/3)に対応した。

オフライン(店舗)、オンライン、請求書(Bill Payment)、送金の各ユースケースとも強化していく。そのPayPayの成長を加速する施策として、PayPayポイントのグループ外開放を明らかにした。

なお、PayPayは「スーパーアプリ」を標榜し、吉野家・松屋などの飲食(テイクアウト)、保険などの金融、PayPayモールなどのEC、ふるさと納税や映画館予約など多数の「ミニアプリ」をPayPay上から利用可能としている。

スーパーアプリの手応えはよく、どのようなミニアプリがユーザーに受け入れらやすいかという知見も溜まってきたという。サービスのジャンルよりも、「使いやすさ」が重視され、3ステップぐらいで使えるものが、よく利用されている。

既存アプリをPayPay用に移植したミニアプリもあるが、そうしたものは評価が低く、PayPayのユーザー体験にあわせたものが評価が高いという。“使われる”ための知見が溜まってきたこともあり、ミニアプリの開発ガイドラインも刷新中で、より使いやすく、使われる環境を作っていくとした。