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LINE 15年の進化 期待したいのは「こどもやシニアにやさしいLINE」

7月2日、LINEヤフーは15周年記念イベント「LINE 15th Anniversary Event -Connect the Next-」を開催しました。今や日本国内で1億ユーザーを獲得しているコミュニケーションアプリ「LINE」のこれまでの歩みを振り返り、今後リリース予定の機能について解説します。

女子高生から人気に火が付いた「LINE」

LINEがリリースされたのは2011年6月。2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、「緊急時、電話回線がダウンしても大切な人と連絡を取り合えるコミュニケーションサービスを作りたい」との思いで開発されました。企画・開発は当時検索サービスを展開していたネイバージャパンで、のちにネイバージャパンを吸収合併したNHNジャパンにより運営されました。その後、幾多の会社再編を経て、2023年10月からはLINEヤフーが運営しています。

開発当初はシンプルなメッセージアプリでしたが、まもなく無料通話とスタンプが加わりました。BROWNやCONYなどのLINEキャラクターも登場すると、女子高生達が注目し始めます。

2013年のLINE画面。当時からLINEキャラクターは魅力的だった(撮影:鈴木 朋子)

今となっては意外かもしれませんが、当時のLINEは「女子高生に人気のアプリ」として注目されていました。私は2014年頃から、女子高生がLINEで何をしているのか、なぜ人気なのかといった記事を何本も書いたものです。当時はメッセージ機能である「トーク」以外に、SNS機能「タイムライン」もよく使われており、質問に対する答えを書いて回していく「バトン」も流行っていました。

やがて、女子高生から若者全体に、そして親世代へとLINEのユーザーは増えていきます。スマホの所有率上昇も追い風となり、2026年現在は1億ユーザーを突破しました。 総務省の「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、LINEの普及率は全年代で92.9%、70代でも77.8%と子どもからシニアまで利用しているツールに成長しています。現在は、プライベート利用だけでなくビジネスにおける活用も盛んになり、公共インフラとしての役割を果たしているのは言うまでもありません。

すべての年代でLINEが利用されている(出所:総務省「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」より筆者抜粋)

LINEアプリでPayPay送金が可能に

LINEヤフーは15周年記念イベントで、多くの新機能について言及しました。LINEヤフーとしての取り組みの目玉といえば、やはりLINEとPayPayアカウントの連携、そしてそれによって実現したLINEアプリ内でのスムーズな送金や割り勘機能でしょう。

これまでPayPayで送金や割り勘をする際には、相手の携帯電話番号やPayPay IDを教えてもらって送金する必要がありました。しかし、この夏からは、LINEとPayPayのアカウントを連携することで、普段使っているLINEのトーク画面から直接PayPay残高を送金したり割り勘したりできるようになります。あわせて、有効期限のあった「LINEポイント」も、期限のない「PayPayポイント」へと統合されます。

機能の詳細に関してはまだ不明な点もありますが、連絡先交換の手間が一つ減るのは、ユーザーとしてありがたい変化です。また、連携は任意なので、別々に使いたい人はこれまで通り利用できます。

LINEアプリ内でPayPay送金や割り勘ができるようになる(撮影:鈴木 朋子)

サブスクリプションプランは2段構えに

もうひとつ、ユーザーとして気になる点は、サブスクリプションプランの強化でしょう。

現在の有料サブスクリプション「LYPプレミアム」は、加入すると対象のスタンプが使い放題になるほか、友だちによってプロフィールを使い分けられる「サブプロフィール」機能、100GBまでのトーク履歴バックアップ(プレミアムバックアップ)、通知せずに送信取消できる機能、アルバムへの動画保存などが使えるようになります。また、Yahoo!ショッピングでも「PayPayクーポン」が使えるようになる特典が用意されています。

イベントでは、Netflixの月額料金だけで「LYPプレミアム」の全特典が利用できるセットプラン「LYPプレミアム with Netflix」が好調で、入会数が計画比170%超を達成したことも発表されました。Netflix単体契約と同額でLYPプレミアムの全特典が上乗せされるお得感や、LINEの特典を使いたい層とNetflixのユーザー層がマッチしたのかもしれません。

そしてまもなく、サブスクリプションプランが大きく変化します。従来のLYPプレミアムは「LYPプレミアム スタンダードプラン」(月額650円)へと改称され、より安価な新プラン「LYPプレミアム ライトプラン エンジョイパック」(月額290円)が7月中旬以降に始まります。

つまり、これまで「全部入りの単一プラン」だったLYPプレミアムは、「気軽に始められるライトプラン」と「フル機能のスタンダードプラン」の二段階構成へと再編されていくのです。

「LYPプレミアム ライトプラン エンジョイパック」では、スタンプの使い放題、LINE通話の着信音設定、アルバムへの動画保存、アプリアイコンの設定という4つの特典を得られます。動画を撮影する機会が多い若者層のニーズに応えそうな顔ぶれです。

サブスクリプションプランに「ライトプラン」が登場(撮影:鈴木 朋子)

また、今後は「LINE MUSIC」の通常プラン(月額1,080円)と同価格のままライトプランの特典も利用できる新たなセットプランの提供も予定しているとのことです。

つまり、標準機能としてのLINEは無料のままで利用でき、さらに便利に使いたい人はニーズに合わせたサブスクリプションプランを選択して加入できるという仕組みになるということです。広告収益に伸び悩んでいるLINEヤフーが持続的な収益モデルの構築に大きく踏み出しました。

賛否を呼ぶ「プレミアムブロック」

さらに、「LYPプレミアム」の4つの特典が新しく追加されることも発表されました。「メッセージ編集」「プレミアムブロック」「メッセージ予約」「通話レコーディング」機能です。

なかでも、「プレミアムブロック」はネット上で話題になりました。従来の「ブロック」機能は、ブロックした相手の友だちリストから自分を消すことができませんでしたが、プレミアムブロックであれば、自分を消せるようになるとのこと。

プレミアムブロックで相手の友だちリストから自分を消せる(撮影:鈴木 朋子)

これまでは例えば、AさんがBさんをブロックした場合、Aさんの友だちリストからBさんは消えます。しかし、Bさんの友だちリストにAさんは残り続けるため、BさんはAさんのプロフィール画像やステータスメッセージを見ることができます。さらに、ブロックされたことに気づくきっかけがないため、これまでのようにメッセージを送信したり、通話を掛けたりできます。しかし、メッセージは未読状態、通話は応答されない状態になります。一度や二度なら相手がたまたま反応してこない可能性もありますが、度重なると「もしかしてブロックされている?」とモヤモヤすることになります。

一方、ブロックしたAさん側も、いつまでも相手のLINEに自分が残り続けるという不快な状態が続きます。

このあいまいな状況は、もし相手と対面することになったとしても「忙しくて返事できなくて」などの言い訳ができるメリットがあるのですが、ブロックするほど悪化した関係性であれば削除された方がありがたいでしょう。一般的なSNSではブロック相手から自分の存在が消えることが多いため、「なぜブロックしたのに相手から自分が見えるのか」と疑問を抱くのも無理はありません。

そこで、「プレミアムブロック」で相手を消すことができる機能が注目されています。一方で、「相手の友だちリストから自分を消すだけで有料」「サブスクやめたら復帰する可能性があるのか」など不安視する声も多く挙がっています。

これらの4機能は、8月から「LINEラボ」で無償提供され、秋以降に有料特典へ移行するとのこと。プレミアムブロックの詳細を知る意味でも、リリースが待ち遠しい機能です。

LINE VOOM終了から見るユーザーニーズ

イベントでは「ショッピングタブ強化のため、VOOMタブが置き換わる」と発表されていましたが、7月17日になって「LINE VOOMは9月30日に終了する」との発表がされました。

LINE VOOMとは、ショート動画の視聴を中心とした機能です。かつてのタイムラインが進化し、24時間で消える「ストーリー」や投稿機能もありますが、基本的には「おすすめ」で配信されているショート動画を視聴する機能として使われています。

LINE VOOMは2021年冬にスタートした(出所:筆者)

この機能は、急速に人気となったショート動画をLINEでも楽しめる機能ですが、主に小中学生を持つ保護者の方からはあまり歓迎されていません。というのも、LINEアプリ内のいち機能であるため、「スクリーンタイム」などの保護者管理機能では制限できないからです。

例えばTikTokやYouTubeを制限されている子どもでも、LINEは家族との連絡用にインストールされているため、LINEでショート動画を見られるのです。長時間利用の要因になるだけでなく、子どもには見せたくないコンテンツが再生されることもありました。LINE VOOMを止める方法に関しては、私も何度も相談を受けていましたし、SNSでもよく話題に上るほど保護者にとっては頭が痛い機能です。

一方で、LINE VOOM自体を知らないという人も珍しくなく、強力な競合ショート動画サービスが先行する市場で苦戦を強いられていた、という見方もできそうです。

LINEは多くの日本の国民に愛されているサービスです。見守り用にスマホを持たされた子どもは、家族との連絡にLINEを始め、やがて友人との交流を楽しむようになります。あまりスマホが得意でないシニアも、家族との連絡にLINEを始め、家族グループで子ども達や孫と会話をすることもあるでしょう。

ところが、こうした人達が安全に使えるかどうかというと、多少心配な機能があることも事実です。前述のLINE VOOMや、匿名で交流できる「オープンチャット」は子どもにとってあまり喜ばしい状況とは言えません。また、各画面に表示される広告に関しても、紛らわしいデザインのものもあり、シニアの方などが誤タップする機会も増えています。

LINEが進化し、便利になる一方で、通話やトークのみに絞った「シンプルなLINE」を求める声も多く聞かれます。アプリの収益化と両立させるなら、こうした機能をオフにできるサブスクリプションプランを用意する施策も一つの手として検討していただくと良いのかもしれません。

鈴木 朋子

ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー 身近なITサービスやスマホの使い方に関連する記事を多く手がける。SNSを中心に、10代が生み出すデジタルカルチャーに詳しい。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など多数。