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「日陰を持ち歩く」感覚。モンベルのサンブロックアンブレラ

モンベルの「サンブロックアンブレラ」

記録的な猛暑となった2018年の夏、話題のヒット商品に躍り出たのが日傘。女性の持ち物というイメージが強かった日傘だが、体温を超えるような暑さの続く毎日を乗り切るために男性の利用者も急増。「日傘男子」という言葉がメディアを飛び交うほど注目を集めた。

かくいう筆者も、昨年の猛暑を機に日傘を利用し始めた。周囲の評判が良かったことから購入し、今も愛用しているのが、アウトドア用品などで知られるモンベルの「サンブロックアンブレラ」だ。

表がシルバー、裏がブラックの構造。UVカット率は99.7%

サンブロックアンブレラの特徴は、表面がシルバー、裏面がブラックという2色の構造。シルバーとブラックという2色のカラーは傘のデザインとしてなじみがないかもしれないが、実はこの色こそが遮熱構造のポイントになっている。

表面のシルバーは日差しを反射するシルバーコーティングが施されていることで、上空からの熱を防ぐ。そして裏面のブラックは、アスファルトなど路面からの照り返しを吸収することで熱を防いでいる。仮に裏面も同じシルバーの構造であれば、下からの熱をさらに反射することで再度体に熱を浴びてしまうことになるからだ。

日差しを受ける表面はシルバー
内側の裏面はブラック

なお、白系統の色は熱を跳ね返すが紫外線は通しやすいという特性を持っているが、サンブロックアンブレラのシルバーは白色生地ながらも90%以上の紫外線遮へい率を持ち、トータルのUVカット率は99.7%という高い数値を公称している。

「日陰を持ち歩く」感覚。雨天時にも利用可能

サンブロックアンブレラを初めて使ったのは記録的な猛暑だった2018年夏の中でもとりわけ暑い日だった。それまで日傘を使ったことがないので、日傘そのものの違いを具体的に比較できるわけではないのだが、傘を差してみたり外してみたりを繰り返しながら歩いてみたところ、差している時のほうが圧倒的に楽になる。「涼しい」とまでは言わないが、暑い日差しの中を歩いている苦しさからは解放される。例えるなら日陰を持ち歩いているようなイメージだ。

見た目も最初は奇抜に思っていたが、実際に使ってみると性別を感じさせないデザインも好印象だ。日傘のユーザーはこれまで女性が多かったためか、レースのようなデザインがあしらわれるなど女性向けのデザインが多く、男性が使うには心理的なハードルが高いという面もあった。その点、このサンブロックアンブレラのデザインは男性でも違和感はないし、シルバーとブラックというデザインは宇宙服のようなイメージを受けて子供心をくすぐられるところさえある。

日傘という側面ばかりを強調しているが、本製品は「晴雨兼用の軽量傘」であり、実際には雨の日の折りたたみ傘としても利用できる。暑い日だけでなく急な雨の日にでも対応できるという点で、1本持ち歩いておくメリットは大きいだろう。

強度と軽量を両立。開くときにはやや手間がかかる

遮熱性の高さという特徴以外に、傘としての機能も紹介しておこう。

サンブロックアンブレラの長さは55cm、開いたときの傘の直径は98cm、骨の本数は8本。あまり折りたたみ傘を数字で意識したことはないかもしれないが、骨の本数は傘の強度に影響するが本数が多ければ重量が増すもので、一般的な軽量の折りたたみ傘は6本骨のものが多い。しかしサンブロックアンブレラは8本骨ながら重量は200gととても軽い。

折りたたんだ状態

筆者は雨用の折りたたみ傘として、コンビニエンスストアなどでもよく見かけるWaterfrontの「ポケフラット」を普段から持ち歩いていた。この傘は薄く軽量だが、構造は6本骨で重量は186g。ポケフラットがスリムなデザインのため気がつかなかったが、実際の重量ではサンブロックアンブレラもほぼ同じ軽さなのだ。

なお、一般的な折りたたみ傘は開くときに骨が集まった部分を持ち上げるだけで開くが、サンブロックアンブレラは骨のジョイント部分を1つ1つ手で開いていく必要がある。取り出してさっと広げられる折りたたみ傘をと比べると、この点はデメリットだ。とはいえ遮熱性の高さ、本体の軽さ、晴雨兼用で使えるというメリットと比べれば、さほどの負担ではない。

開くときはジョイントの部分を手で広げる必要がある
ジョイント部。慣れれば作業自体はさほど手間ではない

高い遮熱能力と雨天時にも使える利便性の高さが魅力

筆者は基本的に傘が苦手で、雨の日もできれば傘を差したくない派だ。そのため雨も降っていないのに傘を差すという日傘は、正直なところあまり興味がわかなかった。

しかしあまりの猛暑に負けて試した日傘は、正直なところ予想以上の効果だった。夏の暑い日はついつい日陰を探して歩きたくなるが、この傘なら日陰を持ち歩く感覚で気軽に移動できる。多少の雨なら傘を差さない筆者でも、猛暑を防ぐためなら思わず差したくなるという、まるで北風と太陽のような体験をさせられた。

今年が去年ほどの猛暑になるかはわからないが、それでも暑さを避けて喫茶店に入りたい、木陰で涼みたいという時は少なからずあるだろう。また今年は環境省も日傘の活用を呼びかけており、「暑さや熱中症対策に日傘」はより一層浸透していきそうな機運だ。日傘だけでなく急な雨の日にも使える折りたたみ傘として、鞄の中に1本入れておくのをお勧めしたい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝