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ファミマは広告インフラに進化 5500万IDの“日々”を精緻に分析
2026年2月16日 15:23
ファミリーマートは、「ファミペイ」アプリやデジタルサイネージなどを連携させて展開しているメディアコマース戦略について今後の取り組みを明らかにした。メディア・広告関連の売上高は約150億円で、新たな領域への進出も合わせ2030年度には400億円にまで拡大させるのが目標。
ファミリーマートは、データワン、ゲートワンを合わせた3社でデジタル戦略を推進。店舗運営やファミペイアプリの展開から、コンテンツ制作や広告配信、効果検証、データの集積・分析までを連携して進めている。
ファミリーマート代表取締役社長の細見研介氏(3月から親会社の伊藤忠商事に異動)は、コンビニは良い場所に店を構える“立地産業”であり、食品の定価売りが受け入れられている数少ない業態とし、定価でも買ってもらえるのは「食品というコンテンツを見せている“メディア”であるのが実態」と分析する。
かつては店舗数拡大の頭打ちで成長が疑問視されたものの、コンビニとそのメディア性をインフラと捉え、自社で手掛ける金融事業であるファミペイを展開、店舗のデジタルサイネージとも連携させて「仮想空間上でインフラを拡大させたのがファミリーマート」とし、独自の立ち位置を築くことに成功したと振り返る。
こうした“メディア”の拡張の礎になったのが、3,000万ダウンロードを突破したファミペイ。3,000万IDを自社で確保する形になっているほか、ゲートワンが展開するデジタルサイネージを導入した店舗は11,000店舗を超えている。さらにNTTドコモとのジョイント企業であるデータワンは、他社由来の2,500万IDとデータ連携を行なっており、合計で5,500万IDのデータを分析可能になっている。2026年度以降はホームセンターにも連携IDを拡大、合計で6,000万IDを突破する見込みという。
5,500万IDのデータに紐づく食品や日用品といった購買データは年間10兆円規模に上る。これは生活消費財市場の約1/3の規模で、統計上は市場全体を把握できる形という。これらのデータはリアル店舗に紐づいた、日々更新されるダイナミックなデータであることも特徴で、その規模と精緻さから「日本ではオンリーワンの存在」(細見氏)とする。
細見氏は、データワンによる他社連携IDを含めた55,00万IDについて、ドラッグストア、スーパー、コンビニ、eサービスの頭文字をとって「ドスコイ連携」と紹介。広告の拡散効果では、コンビニ以外のドラッグストアやスーパーといった他流通への波及効果も確認できるとしている。
ファミリーマートが他社のコンビニ事業と大きく違うのは、決済に絡むファミペイを自社で手掛けていること。「他社から貰う必要がない3,000万のIDがある。データを極めてクリアに分析でき、顧客理解を深堀りできる。(コンビニのユーザーの)日常生活に紐づき、単価が低く、購買頻度が高い」(細見氏)とし、リアル店舗と紐づいた日々更新されるデータが、細かな分析やターゲティングを可能にするという。
例えば、コンビニで平日の朝にエナジードリンクをよく買うユーザーは、ドラッグストアで高級入浴剤を買う傾向があると判明しているという。この場合、セルフケアの意識が高いとして、対応するパーソナライズ広告を提案できる。これらはEコマースのまとめ買いでは分からない細かなデータであり、潜在的なニーズを発見可能で、コンビニで取り扱っていない商品の提案も、広告を絡めて展開できる。その対象は美容から健康、保険、自動車など幅広く設定している。
広告展開は今後も積極的に拡大させていく。例えばテレビ広告は食品業界だけでも年間4,000億円規模と大きいが、放送という形態上、伝統的に効果測定に課題がある。特にテレビでリーチしづらいとされる若年層をターゲットにした広告は、コンビニインフラを使うメディア広告に「加速度的に流れ込むだろう」(細見氏)と予測する。すでにファミリーマートやグループ以外の“非配下”企業による広告は7割以上を占めているとし、多くは“お試し段階”というが、これらが本格展開に移行すれば広告売上は加速度的に増えると予想している。
こうしたファミペイやコンビニのデジタルサイネージを連携した広告展開は日本の中でも新しい領域とし、広告出稿主とアイデアを出し合いながら開拓していく方針。ユニークなところでは、自動車の試乗でファミチキの割引クーポンがプレゼントされるキャンペーンが三重トヨタ自動車で実施される予定になっている。
このほか、ファミリーマートの店舗では今後、レジ前に広告商品専用の陳列棚を設ける方向で協議中とのことで、デジタル広告とリアル店舗での接点の強化を図っていく。




















