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大阪万博の電子マネー「ミャクペ!」来春開始 普段から使える

2025年日本国際博覧会協会は、「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)に向けて提供する電子マネーサービスなどの概要を発表。独自電子マネー「ミャクペ!」や、ポイントサービス「ミャクポ!」、NFT「ミャクーン!」といった愛称を発表した。対応アプリはiOS、Android向けに10月23日から配信が開始されており、電子マネーは来春5月にサービスを開始して、会期前から機運醸成や周知を図っていく。

会場はキャッシュレス決済のみ

万博会場では、施設内の決済インフラとして「stera terminal」「TWINPOS Sx」がセットで1,000台用意される。国内外の約60の決済ブランドに対応する予定。一般の店頭で利用されているクレジットカードやタッチ決済、QRコード決済などに幅広く対応する。

万博会場では、現金決済は原則的に受け付けない方針。キャッシュレス決済の手段を持っていない来場者は、会場内のプリペイドカードの発行・チャージを行なう端末でプリペイドカードを作成するよう案内する。プリペイドカードへのチャージ用に、現金引き出し用のATMも配備される。

一方で、飲料販売のケースでは、例えば通信障害など不測の事態で決済できず飲料を入手できないケースに陥らないよう、例外的に現金で購入できる手段が確保される見込み。これは会期には夏季も含まれるため、水分補給といった健康・安全面の理由としている。また一部の商品は法律上、現金決済が必要になるケースがあるとし、そうした商品は現金の決済で対応する予定。

電子マネー「ミャクペ!」始動

会場が原則キャッシュレスになることに先駆けて、「EXPO 2025 デジタルウォレット」サービスを11月1日から開始する。アプリの配信は10月23日から開始されている。このデジタルウォレットは4月に概要がアナウンスされており、公募していた各サービスの愛称が決定した形。

デジタルウォレットの機能の概要

万博独自の電子マネーの愛称は「ミャクペ!」に決定。またポイントサービスは「ミャクポ!」に、万博独自のNFTは「ミャクーン!」に、それぞれ愛称が決定した。

これらは2024年5月から順次サービスが提供される予定で、会期前から使えるようにして機運醸成を図る。

電子マネー は「ミャクペ!(英:MYAKU-PE!)」、独自ポイントは「ミャクポ!(英:MYAKU-PO!)」

ミャクペ!

電子マネー「ミャクペ!」は、銀行口座やクレジットカード、ギフトカード・コード、大手マイル・ポイント事業者からの交換で、残高をチャージして利用する。スマートフォンのApple PayやGoogle ウォレットに設定して、非接触のVisaのタッチ決済、iDに対応する店舗で利用できるようになる予定。会期中の会場内以外でも、会期前から幅広く利用できるようにする。

独自の電子マネーサービスを提供

ミャクポ!

ポイントの「ミャクポ!」は、大手のポイント・マイル運営企業からの交換や、SDGs関連企業からの付与、万博関連のイベントや連携店舗で取得可能。そのまま現金相当として使えるものではなく、オリジナルグッズといった景品と交換したり、パビリオンのチケットや優先入場券やサービス・体験といった、特典を中心に交換したりするプログラムになる。

ポイントは特典への交換などが主体

また、こうしたデジタルウォレット内のサービスやプログラムの利用状況に応じてステータスやNFTが付与される「ミャクミャク リワード プログラム」も用意される。

毎月ログインなどでステータスがアップ

デジタルウォレットアプリではこのほか、クーポンの取得や利用にNFTを活用する。会場の内外でイベントに参加するなどして、SBTやNFTを入手、会場で限定特典を受け取るといった流れで、NFTのユースケースを創出する。

デジタルウォレットアプリの開発はハッシュポートが担当。1,000万人が使えるWeb3ウォレットになっているという。

会期の内外で、企業が開催するイベントと連携
ハッシュポートが製作。アプリの概要

大手4行がタッグ

なお、万博でのキャッシュレス決済の推進やデジタルウォレットに協賛する企業として国内の大手銀行4行で金融コンソーシアムを組成して、サービスやインフラを提供する体制も発表されている。

プラチナパートナーは三井住友銀行で、上記の「stera terminal」を始めとする「ミャクペ!」「ミャクポ!」で使う決済インフラをハードウェア、ソフトウェアの両面で提供する。ゴールドパートナーはりそな銀行とSBIホールディングスで、りそなは「ミャクポ!」の一部を、SBIは「ミャクーン!」を担当する。サプライヤーは三菱UFJ銀行で、会場内の現金引出用ATMも担当する。

三井住友銀行の担当
会場の決済端末は基本的に「stera terminal」になる
SBIはNFTも活用

また金融コンソーシアム以外ではプラチナパートナーとしてNEC、ゴールドパートナーとしてEVERINGの協賛も発表されている。EVERINGは今後、(きぐるみの)ミャクミャクの指に合う特注のEVERINGを製作予定で、万博会場でキャッシュレス決済をアピールする予定としている。

譲渡できないNFT「SBT」をイベントの参加証明書として活用

デジタルウォレットでは金融関連サービスのほかに、個人を認証するIDサービスをさまざまに発展させたものも用意する。

11月からは、さまざまな企業と連携して、万博とのつながりを感じられるような、機運を醸成するサービスを実施する。

ここではブロックチェーン技術を活用し、改ざんのほか譲渡もできないNFTの一種「SBT」(Soul Bound Token、ソウルバウンドトークン)を発行して、スタンプラリーやイベントに参加したことを「デジタル証明書」で提供する。ユーザーは会期前から開催される万博関連イベントに参加しSBTを集めることで、会期中のパビリオンで特典を受け取るといったことが可能になる。

こうした事業関連サービスに対応するのは、会期中は「ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』」、「シグネチャーパビリオン 落合館『null2』」が協業すると発表されている。

また企業では、JR西日本や日本航空(JAL)、京都府、奈良市、なら国際映画祭、東大阪市(大阪府観光局、三井住友銀行)との連携が決まっており、今後も拡大する予定。これらは万博の会期前から実施されるイベントなどになっている。

JR西日本もさまざなま連携サービスを予定

Visaタッチの指輪「EVERING」の万博特別版が4万名に

「EXPO 2025 デジタルウォレット」のダウンロードが開始されたことを受けて、11月30日までにダウンロードしたユーザーを対象に、抽選で4万名に「EVERING」(エブリング)がプレゼントされるキャンペーンが実施される。

「EVERING」は、プリペイド型でVisaのタッチ決済を使える、充電不要の指輪型デバイス。スマートフォン用アプリと連携して設定する。今回プレゼントされるものは表面に「EXPO2025 DIGITAL WALLET」と刻印された特別な「welcome ring」バージョン。11月下旬に抽選の申込サイトがオープンする予定で、カラーは通常のEVERING同様の6色から選択できる。

仕様は現行のEVERINGと同じで、万博の会期前から使うことが可能。EVERINGの本体は防水で、ジルコニアセラミック製。通常の販売価格は19,800円。

ミャクミャクを交えてEVERINGの決済デモ
表面に「EXPO2025 DIGITAL WALLET」と刻印された特別な「welcome ring」バージョンが抽選でプレゼントされる