ニュース

東京駅直結「トフロム八重洲」に日本初のCVC特化型ビジネス拠点

JR東京駅前から見たトフロム八重洲

東京建物とFIRST CVCは、東京駅前の新複合施設「TOFROM YAESU(トフロム八重洲)」にて、大企業の新規事業担当者やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を集積し、オープンイノベーションを加速させる拠点「JAPAN CVC BASECAMP」を6月1日から本格始動する。

トフロム八重洲は、東京駅八重洲口前にて開発が進められている複合施設。地上51階・地下4階、高さ約250mの「TOFROM YAESU TOWER」が2月28日に竣工し、3月20日に地下の「バスターミナル東京八重洲」第2期エリアが開業、5月1日に3~6階の「東京建物ぴあシアター&カンファレンス」がプレオープンした。「TOFROM YAESU THE FRONT」が7月に竣工予定で、施設全体の第一期オープンは秋を予定している。

TOWER(写真奥)が2月に竣工し、THE FRONTは建設中
医療機関は6月30日に開業

JAPAN CVC BASECAMPは日本初の、大企業の新規事業担当者やCVCに特化した拠点として4月1日に開設。本格始動を前に先行イベントを複数回開催してきた。5月27日にはCVC、VC(ベンチャー・キャピタル)、スタートアップ等が集結するカンファレンス「CVC VS 2026」を開催し、1,200名超が参加した。

近年、日本の大企業では、主にスタートアップの技術や知見を活用し未来の成長源を獲得するための戦略的な仕組みとしてCVCを設立する動きが活発化しており、国内CVC設立数は直近10年で4倍となっている。

東京建物 まちづくり推進部 課長 小島靖弘氏

当初は未上場のスタートアップに出資することで、成長機会の獲得に加え、新規株式公開(IPO)によるキャピタルゲインの獲得が重要なリターンと位置付けられていた。しかし、東証グロース市場の上場維持基準の厳格化により、IPO件数の大幅増加が見込みにくくなったことから、多くの起業家が上場延期や出口戦略のM&Aへの転換を進めた。

こうした事業環境変化を背景に、大企業によるスタートアップ投資ではキャピタルゲインなどの財務リターンだけではなく、本体事業とのシナジー創出や新規事業開発などの戦略リターンを重視する傾向が強まっている。

一方で、CVCの運営や投資後の事業共創に関しては、CVC同士が公式に情報交換を行ない、具体的な成功・失敗事例を共有する場が十分に整備されていなかった。加えて、人事異動によりナレッジやネットワークが蓄積されにくく、多くの企業がノウハウ不足の中で試行錯誤を続けている状況だった。特に、投資や協業に向けた経営層および事業部の巻き込みや、自社ニーズに適合するスタートアップの選定には大きな負荷がかかるという課題があった。

JAPAN CVC BASECAMPは、こういった大企業の新規事業担当者やCVCが抱える課題の解消を目指し、CVCコミュニティに特化したイノベーション拠点として設立された。

FIRST CVC 代表取締役 山田一慶氏

同施設では、事例共有会(CASE)、実践型プログラム(DOJO)、業界別交流会(FORUM)、AI選定による個別面談(MATCHING DAY)の4つのコンテンツを提供。これらにより、投資判断の共有、業務スキル獲得、業界×業界の接点、選別済みスタートアップとの商談を実現するとしている。

また、施設の会員はFIRST CVCが独自開発したAIプラットフォーム「CATALYST」を利用し、スタートアップの検索・AI評価・面談依頼・社内検討資料作成をワンストップで実行できる。

スタートアップの検索や事業概要はGeminiやClaudeといった汎用型AIを使って調べることもできる。CATALYSTのこれらとの違いは、会社のビジネスモデルや技術的な特徴などを調べ切ったうえで独自のデータを用意し、さらに登記簿の情報も整理して構築している。そこから、企業のニーズと相性の良いスタートアップをワンクリックで導き出すという。

FIRST CVCの山田氏は現在の状況について、各業界を代表する企業がFORUMに参画予定であることを紹介した。

東京建物の小島氏はトフロム八重洲に設置する意義についても説明。CVCや大企業の新規事業担当の活動を支える場として、国内外へのアクセス性、大企業の本社や主要金融機関の集積による立地優位性を有するとしている。

JAPAN CVC BASECAMPの開設にあたり、大和証券、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、SMBC Edgeとの連携を開始。これら4社は施設の活用を通じて投資先スタートアップのバリューアップを図るとともに、業界横断のネットワークを生かした事業成長支援を推進する。

JAPAN CVC BASECAMP設置フロアは41階。主要機能はAIビジネスマッチング、VC合同ピッチイベント、専用執務室、ラウンジ等。CVC向けには1シートを月額10万円で提供。イベントへの優先参加、執務スペース利用、ソーシング支援などを提供する。執務スペースを設けることで、大阪や博多といった遠方の大都市にオフィスを構える企業の利用に備えている。

執務スペース
ラウンジも設ける
執務スペースから見た風景。右奥の最も高いビルは26年9月末竣工、27年秋グランドオープン予定の「東京ミッドタウン日本橋」