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AIに作業を丸投げできる「Claude Cowork」を試す ファイル整理が一瞬で完了!

「Claude Cowork」が2026年の新年早々に登場しました。AIチャットのClaudeや、コーディング(プログラム作成)エージェントのClaude Codeなどで知られる、Anthropicによる「人間の作業を代行してくれる」新機能。

具体的にどんなことをしてくれるものなのか、試してみました。

Claude Coworkを利用するには?

Anthropicが提供しているサービス・機能を大まかな役割で例えると、通常のAIチャットであるClaudeがアドバイスや情報収集をしてくれる「相談相手」、Claude Codeがソフトウェア開発する「エンジニア」で、今回のClaude Coworkは自分の作業を肩代わりしてくれる「パートナー」になるかと思います。

もっと分かりやすくカテゴライズするなら、Claude Coworkはいわゆる「ノーコードツール」と言えるでしょう。

Claude Cowork

少し前には、AIがWebブラウザーやデスクトップをユーザーに成り代わって直接的に操作する「エージェント」機能が話題になりました。Claudeも「Computer Use」という名称でツールを提供しており、これはAIが目で画面を見て、手を使ってパソコンを動かすシミュレーターみたいなもの。それに対してClaude Coworkは、Computer Useの目指すところをプログラムの観点からアプローチしているイメージです。

つまり、ユーザーとしては自然な言葉で指示を出すだけで、Claude Coworkがその目的を達成するための手法を考え、必要に応じてプログラム(的なもの)をバックグラウンドで作成し、Webブラウザーやデスクトップなどパソコン上の作業を自動で行なってくれる、といった形になります。

じゃあ、具体的にどんなことを自動でやってくれるのか、というのは後ほど詳しく説明するとして、その前にClaude Coworkを使うために必要なものを整理しましょう。

まず1つ目、2026年1月現在、Claude Coworkを利用するために必須となるのが「Apple SiliconでmacOS版のClaudeアプリが動く環境」、要するにApple M1以降のプロセッサを搭載するMacBookシリーズやMac miniなどのMac本体です。Windows版のデスクトップアプリやスマホのClaudeアプリではまだClaude Coworkを利用できません。

Apple Silicon搭載のMacBook Air M2

2つ目は、契約プランが個人向けの「Claude Max」と「Claude Pro」であること。個人向けには無料プランもありますが、これらではClaude Coworkは使えません。Maxプランには使用量がProプランの5倍となる「5x」(月額100ドル)と、同20倍となる「20x」(月額200ドル)の2タイプがあり、どちらでもClaude Coworkを利用可能です。

また、17日からは20ドルの「Claude Pro」プランでもCoworkが利用可能になりました。ただし、利用枠はMaxに比べて小さくなっています。

Maxプランには月額100ドルの「5x」と月額200ドルの「20x」が用意

Macを所有していて、かつ本格的に使うとなればMaxプランが必要になります。日本円にして月に約16,000円というのは、それなりに高いハードルと感じられるかもしれません。Claude Coworkを使うためだけにMaxプランを契約するべきか? 今回のレビューがその参考になれば幸いです。

なお、Claude Coworkは現在のところ「リサーチプレビュー」の段階で、正式版ではありません。

ファイル整理、メール確認、資料作成の作業を任せてみた

では、Claude Coworkで具体的にどんなことができるのか、いくつか試してみましょう。macOSのClaudeデスクトップアプリを開き、Maxプランを契約しているユーザーでログインすると、タブに「Cowork」が追加されているのでここをクリックします。

Maxプランのユーザーがアプリを立ち上げると「Cowork」タブが

そうすると現れるのが、「Create a file」(ファイルを作る)や「Crunch data」(データ分析する)といった6つのボタンと、いつものチャット入力欄です。ユーザーのやりたいことに合わせてチャット欄に直接テキスト入力して指示していってもいいですし、目的に近いカテゴリーを選んで始めることもできます。

Coworkタブでは6つのサジェストボタンとテキスト入力欄が表示

6つのボタンは、意味合いとしてはAIチャットでよくあるサジェスト(プロンプト例)ですが、実際にはそれよりももう少しスタイリッシュな機能になっています。どれかを選ぶと、そのタイトルに合ったプロンプトが自動入力されるとともにオプションのサジェストボタンが現れ、クリックで選択していくことで最終的なプロンプトを完成させていける仕組みです。

試しに「Crunch data」ボタンをクリックするとプロンプト例が自動入力され、オプションの選択肢が現れる
さらに「A dataset」をクリックすると適切なプロンプトに調整される

なお、今のところリサーチプレビューのためか自動入力されるプロンプトは英語です。そのまま指示すると応答も英語になりますが、日本語に翻訳するか、英文の最後に「日本語で」などと指示することでちゃんと日本語で応答してくれます。

ローカルの写真ファイルを整理してもらう

最初の例として、一番分かりやすそうなファイルの整理をお願いしてみることにします。筆者のMac内には過去に撮影したJPEG形式の写真が大量にありますが、カメラが付与した連番のファイル名がベースになっています。これを、画像データ内にあるExifの撮影日時情報を元にリネームし、いつ撮影されたものなのかをひと目で把握できるようにしたいと思います。

こういった作業は、サジェストボタンから選ぶとすれば「Organize files」が適切です。クリック後、「My Downloads folder」や「My photos」などの選択肢が現れるのでその中から選ぶか、手動で写真が保管されている任意のフォルダを選択します。

「Organize files」ボタンをクリックすると……
「My Downloads folder」や「My photos」などの選択肢が出現
今回は任意のフォルダを選ぶことに

「My photos」を選んだ場合はギャラリーが対象となりますが、今回の作業内容を踏まえるとファイル削除などのリスクがあるので、別途用意したフォルダ内を対象にしました。プロンプトは「My photos」を選んだときのものを一部参考にして下記のようにしました。

指定したフォルダ内の写真のファイル名を、画像のExifに含まれる撮影日時(YYYYMMDD_HHMMSS.拡張子)にしてください。ファイルは削除してはいけません。実行前に必ず具体的な作業計画を提示し、こちらの許可を得るまで処理しないでください。

少し待つと指示通りに作業計画を表示しました。現在のファイル名と、それに対応する変更後のファイル名の一覧を明示し、シンプルにシェルのmvコマンドでリネーム作業をすることを提示してきました。

問題なさそうなので「OK」を押すと、ほぼコマンド実行だけだったためか、一瞬でリネーム作業が完了。ミスもなく無事リネームを終えることができました。ここまでで最初のプロンプトを実行してからわずか2分しかかかっていません。

指定フォルダ内にある画像ファイルの調査が開始
少し待つと作業計画が提示された
実作業を依頼するとすぐにファイルのリネームが完了

従来、こうした作業をするには、1枚1枚ファイルのExif情報を調べて手作業でリネームするか、そういった機能をもつツールを探すか、あるいはClaude Codeなどにお願いしてプログラミング言語で一括リネームツールを作ってもらうか、のいずれかだったでしょう。どれもある程度時間がかかりますが、Claude Coworkならプロンプトで指示するだけで、わずかな時間で目的を達成できるわけです。

同じような写真ばかり撮っていたので、AI的に一番見栄えのする写真を選んでもらったところ

見逃しているメールを見つけて返信文を作成してもらう

続いては、誰もが日常的に行なっているメールのやり取りを手伝ってもらうことにします。相手への返信が必要なメールを受け取っているのに、うっかり忘れていたり、その存在に気付いていなかったり、返信したつもりになっていることが少なからずあるので、そういったメールがないかを調べ、必要なら返信の下書きを作ってもらう、というような内容です。

こうした作業はClaude Coworkだけでなく、Claudeの通常のチャットもこなしてくれます。また、Claudeのチャットではメールなどの外部サービスと連携するための「コネクタ」を利用して効率的な作業ができるのに対し、Claude Coworkでは現在のところGmailのコネクタを利用することはできないようです。が、あえてここはClaude Coworkで試してみたいと思います。

サジェストボタンから選ぶ場合は「Draft a message」がそれに該当しそうですが、下書きよりもどちらかというと「返信し忘れに気付くこと」がメインになるので、以下のプロンプトを手動入力して指示してみました。

今週受信したメールのうち、返信が必要そうなものをピックアップして、それに対して適切な返信メールの下書きを作成してください。

指示を送ると、使用しているメールサービス、返信が必要とみなす判断基準、下書きの文体(言葉づかい)といったいくつかのオプション選択肢が提示され、ステップバイステップで設定して詳細な作業内容を詰めていく流れになります。ひと通り回答すると実際のメール内容の確認へと移りますが、Gmailのコネクタは利用できないので、代わりにChromeの拡張機能である「Claude in Chrome」を通じてWebブラウザーを直接操作する形になります。

返信が必要とみなす判断基準を4択から選ぶ
返信メールを作成する際の言葉づかいを決める
コネクタにまだ対応していないClaude Coworkでは、拡張機能「Claude in Chrome」を通じてGmailを操作することに

拡張機能のインストールを終えると、別ウィンドウでChromeが立ち上がり、Gmailにアクセスして作業が開始。返信が必要そうなメールを件名一覧からピックアップして、1つ1つ中身を確認しながら返信していないメールかどうかをチェックします。Claude CoworkがWebブラウザを操作している間は、別ウィンドウで作業していても問題はありません。

Claude CoworkがWebブラウザーを自動で別ウィンドウで立ち上げてくれる
Computer Useにやや似た形でWebブラウザーを直接操作する

結果的には6件の「返信が必要そうなメール」を見つけ、そのうち「要返信」と判断して下書きまで作成したのが2件、実際に人間である筆者が確認して本当に返信した方がいいと思えるものは「1件」でした。さらに指示すれば、下書きをGmail上で作成してもらうこともできます。作業完了まで10分あまりかかりましたが、定期的にこのような作業を依頼することで、メールを返信し忘れていてもリカバリーできそうです。

返信が必要と思われるメールが見つかり、返信案も同時に提示
2件の返信した方がいいメールが見つかったと報告。実際に返信が必要だったのは1件

ちなみにGmailのコネクタが使用可能な通常のチャットでも同様の指示をしてみましたが、「今週」としているにも関わらず1年前の2025年1月のメールを調べたり、返信すべきメールが1件も見つからないと判断したりと、あまり良好な結果は得られませんでした(モデルは同じOpus 4.5を使用)。

また、返信メールの文体などの確認はされないので、ユーザー自身があらかじめプロンプトで細かく指定しておく必要があります。総じて、Claude Coworkの方が丁寧かつ確実に作業してくれる印象です。

説得力のある商談用営業資料を作成してもらう

最後に、現在筆者が個人的に開発しているツールの「商談用営業資料」の作成をお願いしてみたいと思います。サジェストボタンから「Create a file」を選び、次に「A presentation」を、さらに続けて「Competitive battlecard」(競合との比較資料)をクリックします。

商談用営業資料を作成するため「Create a file」をクリック
「A presentation」を選択
「Competitive battlecard」を選択

とはいえ、開発中のツールがどういうものかをClaude Coworkに教えなければまともな商談用の資料にはなりません。なので、手元にある設計書、仕様書、要件定義書など複数のMarkdownファイルが保存されているフォルダを指定して、それを参考にしてもらうことにしました。

通常のチャットではファイルを1つ1つ指定することしかできませんが、最初の例のファイル整理のところでもそうだったように、Claude Coworkでは資料のあるフォルダを丸ごと指定できるのがポイントでもあります。

手元にある開発中のツールの仕様書など

自動生成されたプロンプト例に、下記のように指定したフォルダ内の資料を参考にしてもらうことを付け加えつつ指示してみます。

指定したフォルダにあるのは開発中のテキストエディタツールに関する資料です。これが完成しているものだとして、

Help me create a competitive battlecard against common Text Editor tools/services.
This is for the sales team to use in deals. Before building, ask me:
- What differentiators to emphasize
- Recent win/loss feedback to incorporate
- Format (slides vs. one-pager) Include: competitor overview, where we win (with proof points), where they're strong (be honest), objection handling, and discovery questions. Output as .pptx in Japanese.

すると、先ほどのメールのときと同じように、追加の確認事項が尋ねられます。強調すべき差別化ポイント、資料として出力する際のファイル形式、競合と位置付ける比較対象など、いくつかの選択肢から当てはまるものをクリックで選択していきます。それが終われば即座に作業が開始され、およそ10分で7ページのパワポ資料が完成しました。途中ではPythonによるコードも生成しながら作業している様子でした。

差別化ポイントとして強調する部分を決める
想定される競合を選択
スライド構成が提示
しばらくするとパワポ資料が完成

できあがった中身は、セールスメンバーが商談に使う資料という名目でしたので、営業相手にそのまま見せるようなものではないはずですが、軽くデザインも入っていて、見やすくまとまっています。第三者的な視点からの冷静な比較や、競合と比べたときのツールの強み、想定される相手からの反応とそれに対する回答例、次のステップにつなげるための質問例なども整理されています。

できあがった資料の中身
ある意味「第三者から見た印象がどうなのか」という気付きを得られることも

さらに、パワポ内のノート部分にトークスクリプトも追加してもらいました。ページごとに何についてどう話せばいいのかが具体的に示されており、狙いや注意すべきポイントなどもしっかり理解できます。最初のプロンプトに同様の指示を入れておけば、一発でここまで完成するでしょう。新人のセールスパーソンでも有効な商談につなげられそうな完成度です。

パワポ内のノートにトークスクリプトも入れてもらった

誰もが簡単に使えるノーコードツールだけれど、万能ではない

Claude Coworkを使うことで、これまではユーザー側から細かく指示を出したりプログラムを作成したりしなければ実現できなかったことも、シンプルな指示文だけで済み、素早く目的を達成できるようになります。

かなり強力な機能であることは間違いなく、利用頻度によってはClaude Coworkがメイン用途でも月額16,000円の価値はありそうです。

今回試した3つの例+αの作業で、Maxプランにおける5時間あたりの使用量は10%。意外とゆとりがある

ただ、Claude Coworkさえあれば一般的なツールやSaaSは不要になるかと言えば、そういうものではない、というのが筆者の考えです。たとえば今回試したようなファイルのリネームは、一度だけ処理するのならClaude Coworkが便利ですが、その後何度も同じような処理をする可能性があるなら、Claude Codeなどでコマンドラインツールとして開発しておいた方が後々好都合です。単独で動くプログラムになっていれば継続的なコストもかかりません。

また、ある程度の規模があるビジネス向けのSaaS(勤怠システムや会計システムなど)に匹敵するようなものを作るとなると、事前に設定すべきプロンプトや資料が膨大になり、それでいて確実かつ正確に処理してくれるとも限りません。最後に成果物が正しくできあがっているか自分の目で確認する必要もあり、場合によってはその際に専門的な知識も必要になるでしょう。

しかしながら、既存のSaaSを利用するうえで不便な部分をClaude Coworkで補う、といった使い方には大いにマッチします。たとえば領収書を適切なフォルダ・ファイル名で整理して、中身の情報をもとに経費精算SaaSに一括登録する、もしくは確定申告に役立てる、など。あるいはSaaSからダウンロードした数値データを元に、そのSaaSが提供している管理画面にない視点の分析結果を作ってもらい、ExcelやPowerPointに出力してマーケティングに活用したり、というのも考えられます。

Claudeがもつ文脈理解能力の高さに、Computer Useのようなエージェント要素とClaude Codeのプログラミング能力が組み合わさって、まさに汎用的な「ノーコードツール」として扱えるClaude Cowork。しかもプロンプトエンジニアリング的なスキルもあまりユーザー側に要求されないので、誰もが気軽に活用できるようにもなっています。業務のなかで解決したい課題が明確にあるのなら、一度試してみても損はないはずです。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスに。オーディオ・ビジュアル、PC、モバイル、ガジェット、ソフトウェア、モビリティ、フード、トラベルなど、いろいろな分野に首を突っ込む「なんでもやる系」ライターとして活動中。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。