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NTT、自動運転“監視映像”の品質低下を警告する技術 ITU標準化
2025年11月7日 13:14
NTTは、自動運転車両の遠隔監視映像から、物体の飛び出しを認識できる映像品質かどうかを推定する「物体認識率推定技術」を確立したと発表した。
物体認識率推定技術は、自動運転車両から遠隔管制室に送信される映像について、遠隔監視者が安全に監視できる映像品質であるかどうかをリアルタイムに把握できるもの。走行速度が物体認識率に及ぼす影響についても考慮されている。これにより、自動運転車両の安全な遠隔監視ができない場合にアラートをあげるなど、安全な自動運転の実現が期待できるとしている。
この技術は11月、標準化機関であるITU-T SG12にて高精度であることが検証され、新勧告P.1199として制定された。
背景として、開発が進められている自動運転レベル5ではさまざまなセンサー情報で歩行者や対向車を判断するが、センサーだけでは完全な物体検知は難しい点がある。自動運転レベル4(特定自動運行)では、車両からの映像の監視が義務付けられており、映像が鮮明でない場合や、映像の送受信を正常に行なえない場合は、それを遠隔監視者に通知することが定められている。
課題は、現状の遠隔監視システムでは、車両からの映像が鮮明であるかどうか、判断する基準がないこと。映像の送受信に使われる無線通信の品質低下で映像のビットレート低下やパケット損失が発生すると、遠隔監視者が車両の前方への物体の飛び出しを認識しづらくなるが、この際の画質低下やフレームレートの低下がどの程度発生すると物体の飛び出しを認識できなくなるかは明らかになっていなかった。また、走行速度の変化が物体の飛び出しの認識に与える影響も明らかになっていなかったという。
ITU-T勧告P.1199として制定され確立された物体認識率推定技術を用いると、モニターに表示する監視映像が物体の飛び出しを認識できないレベルにまで画質が低下したりフレームが低下したりした際にアラートをあげることが可能。これにより、遠隔監視者が見落とす可能性がある短時間の映像停止や、品質の低下に即座に気づけるため、自動運転車両の減速や停止などの措置を講ずることができるようになるとしている。
NTTは今後、同技術を用いて遠隔監視者の監視効率の改善を確認するフィールドトライアルに取り組む。

