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NTTドコモビジネス、IOWN活用の自動運転向け通信安定化技術 監視が途切れにくい
2025年10月8日 15:00
NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)とNTTは、自動運転車両など移動しながら安定した通信を必要とするモビリティ向けの通信安定化ソリューションを開発。自動運転の実証実験や社会実装を目指す企業などに向け、NTTドコモビジネスが提供を開始する。
自動運転レベル4の社会実装に向けた取り組みが進むなか、NTTドコモビジネスとNTTは全国で自動運転の実証実験に参画し、自動運転レベル4の社会実装に必要である遠隔監視での通信の安定化に取り組んできた。
自動運転向けの通信では、基地局の切り替えやエリアの干渉によって無線品質が一時的に不安定になり、遠隔監視の映像が途切れるなど、走行の安全性に影響を及ぼすリスクが顕在化している。また、これまでは通信品質の安定化を実現するために必要な複数の技術が個別に提供されていたことから、導入時のリードタイムも課題だった。
今回開発されたソリューションは、自動運転車両と遠隔監視システム間を複数回線でのマルチパス接続を行ないながら、無線品質の変化を先回りで予測。マルチパスを制御することで遠隔監視の映像が途切れるリスクを抑制した信頼性の高い通信環境を提供する。
無線品質の予測では、公衆ネットワーク、ローカル5G、Wi-Fi等、無線の種類ごとに機械学習に基づき、無線の品質を予測。これはIOWN技術のCradioを活用したもの。マルチパス制御は、状況に応じて複数回線によるマルチパス制御を行なうもので、これにはIOWN技術の協調型インフラ基盤を活用している。
また、データ連携システムにより、走行データや車載センサーの検知情報、AI画像解析の結果などの複数データをリアルタイムに遠隔監視システムへ連携することも可能。
これらの技術をパッケージ化することで、自動運転の社会実装をめざす自治体などで、導入時のリードタイム短縮を図る。
これらによって、通信状況を可視化しつつ通信の安定性を向上し、安定した伝送が可能になる。参考として、実証環境下では、自動運転の遅延の目安水準として400ms以下の割合が95%となるのに対し、今回の技術を適用しない場合は1回線目が92%・2回線目が53%だったが、適用した場合は99%と目安水準を満たすことを確認している。
今後は自動運転だけでなく、建設機械やロボットなど、移動しながら通信を必要とする他のユースケースでの活用にも取り組む。

