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NTTドコモビジネス、自動運転向け通信技術やIOWN遠隔リハビリなど公開
2025年10月9日 09:00
NTTドコモビジネス(旧:NTTコミュニケーションズ)は、10月9日~10日に、大規模法人ビジネスイベントとして「NTT docomo Business Forum'25」を東京・港区の「ザ・プリンス パークタワー東京」にて開催する。コンセプトは「産業・地域DXで共創する未来」で、13の講演と38の展示が行なわれる。一般公開に先立ち、10月8日にはプレス向け内覧会を実施。記者会見は、最初にNTTドコモビジネス代表取締役社長の小島克重氏のアバター「AI小島」が挨拶するという趣向で行なわれた。
自動運転レベル4の遠隔監視を支える技術
今回、NTTドコモビジネスが特に推している展示は3つ。まず、NTTドコモビジネス スマートシティ推進室 主査の多良康孝氏は、自動運転レベル4の遠隔監視を支える先進技術をパッケージ化した「通信安定化ソリューション」について紹介した。
いま運転手不足もあってバスの減便などが進み、その対策として、特定条件下における完全自動運転を目指す「自動運転レベル4」の社会実装に向けた取り組みが全国で加速している。高速で複雑な環境内を移動し、さまざまな通信エリアを走行するモビリティ向けの通信には、安全な走行のため安定化が求められる。しかしながら従来は必要な複数の技術が個別に提供されていたことから、リードタイムが課題となっていた。
NTTドコモビジネスとNTTは、自動運転に必要な通信と監視システムの技術を組み合わせてソリューションとしてパッケージ化した。自動運転車両と遠隔監視システム間を複数回線でのマルチパス接続を行なうとともに、無線品質の変化を先回りして予測。マルチパスを制御することで、遠隔監視の映像が途切れるリスクを抑制した信頼性の高い通信環境を提供する。複数データをリアルタイムに遠隔監視システムへ連携することが可能となる。
顧客は、パッケージを活用することで、費用削減・即時提供が可能になる。従来3カ月かかっていたリードタイムが1カ月くらいに短縮できるという。コストについては実証実験をやりながら今年度から来年度に向けて探っていく。
このパッケージはIOWNの「Cradio(クレイディオ)」という無線の通信品質を予測する技術と、その予測に基づいて複数の回線を束ねて伝送する「協調型インフラ基盤」、そしてatpod社の「intdash」を活用したデータ伝送技術によって実現されている。
デモでは、今回の「通信安定化ソリューション」の有無による違いが示された。冗長化と予測によって、一つの回線に何かがあっても通信が途絶することなく映像伝送できる。なお通信遅延については、400msを下回れば遠隔監視は可能と考えられている。
将来は自動運転車だけでなく、建機の遠隔操作やロボットなど、さまざまなシーンでの活用を探索する。
視聴覚+力覚・触覚・圧覚伝送による未来のヘルス&ウェルネスケア
二つ目は「次世代通信基盤IOWN×触覚伝送(愛称FURELIA)で遠隔でのリハビリ・トレーニング支援を行なう未来のヘルス&ウェルネスケアステーション」。こちらはNTTドコモビジネス イノベーションセンター IOWN推進室 担当課長の荘司哲史氏が解説した。
2025年には、日本の全人口の5人に1人が75歳以上になると考えられている。それに伴って、「健康寿命」の延伸の取り組みも進む一方で、医療・介護現場の人手不足や地域格差などが社会課題となっている。そのため健康増進が必要になる。
通信会社であるNTTドコモビジネスが今回提案したのは、通信による音声と映像に加えて、触覚など別の感覚を伝送することで、新たなコミュニケーション・サポートサービスを実現すること。
低遅延で通信できる「IOWN」と、3DHaptics(力覚・触覚・圧覚を組み合わせて豊かな感触を実現する技術)デバイス「echorb」による「錯触力覚」などを組み合わせ、視覚・聴覚・左右の手の動き・足の振動といった複数の感覚情報をリアルタイムで相互に伝送することで、離れた場所の人にもリハビリテーションやトレーニングの指導ができる「未来のヘルス&ウェルネスケアステーション」のプロトタイプ。
離れたトレーナーが隣で体の動きをサポートするかのようなストレッチや、トレーナーの動きと連動した足踏み運動などが体験できる。
NTTドコモビジネスは、IOWN APNを使って力覚・触覚・圧覚を遅延なく伝送するこのソリューションコンセプトを「FURELIA(フレリア)」と名付けている。
今後、協業しているミライセンス(村田製作所の子会社)と共同し、「FURELIA」を活用。異なる拠点間で体験ができる特徴を活かし、IOWN APNを使った高精細な映像伝送コミュニケーション技術の「OPEN HUB WINDOW」などとも組み合わせてリハビリと健康増進の活用、遠隔地からの旅行体験、行動支援、レッスンサポートなどユースケースを広げて検証を進める予定。それ以外にも小売など、さまざまなユースケースが考えられるのではないかと仮説を立てて考えているという。具体的なビジネス立ち上げ時期は未定。
今回は、トレーナーと体験者が専用デバイスを両手に持って、感覚と腕や足の動き・リズムを伝えつつ、肩甲骨運動や前屈、足踏み運動などが紹介された。視聴覚以外に、足元の振動による触覚も使うことで「バイブロスケープ(視聴覚+触覚を含めた環境風景概念)」の伝送も合わせて、デモが行なわれた。
ソフトウェア脆弱性を事業影響度などに応じてAIが判断
今日のソフトウェア製品は多数の異なるパッケージの組み合わせで成立している。それぞれが異なるベンダーによって作られることも多いため、一部分がアップデートしたときに脆弱性ができてしまうようなこともありえる。「SBOM(Software Bill of Materials、エスボム)」管理ソリューション「Threatconnectome」は、製品に含まれるソフトウェアの構成を可視化した一覧表で、食品成分表示のように、製品の安心・安全の見える化が可能。
LLMを使っており、緊急度別のレポートも自動作成される。これにより、セキュリティの知識があまりないユーザーであっても対処すべきかどうかを判断しやすくなる。
展示では、ソフトウェア資産および脆弱性の管理において事業や人命の影響を考慮した優先度をLLMが算出する様子が、小型AGVの管理を例として紹介された。



































