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KDDI・ローソン“未来コンビニ”開店 サイネージ・ロボット・AI

ローソン高輪ゲートウェイシティ店

KDDIとローソンは、“未来コンビニ”を標榜する「Real×Tech LAWSON」の1号店として、「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」をオープンした。場所は、KDDIが7月1日に新本社をオープンする「TAKANAWA GATEWAY CITY」のTHE LINKPILLAR 1 NORTH 6階。同店はKDDI直営店になるほか、社員専用フロアにも店舗を追加でオープンする予定。

2024年にKDDIがローソンの共同経営に参画して以降、両社はコンビニとテクノロジーをかけ合わせた「未来のコンビニ」の構想を明らかにし、開発を進めてきた。6月23日に「Real×Tech LAWSON」の1号店としてオープンしたローソン高輪ゲートウェイシティ店は、一連の構想を具現化した店舗で、先進的なサイネージの利用だけでなく、AI、ロボティクスなどを大胆に導入する実験店舗という位置づけ。この店舗での新しい取り組みやその結果を精査し、全国のローソンに展開していく方針で、将来的にはローソンの海外店舗への展開も視野にいれる。

ローソン高輪ゲートウェイシティ店 店内

店舗の開店イベントに登壇したローソン 代表取締役 社長の竹増貞信氏は、「ローソンは50周年を迎えたが、次の50年を歩む第一歩にふさわしいお店。お客様に新しい価値を提供したい。そういうテクノロジーが満載。働く側も生産性をグッと上げられて、このことがお客様向けの価値のさらなる向上につながる。いっときでも早く全国展開をしていきたい」と意気込みを語った。

KDDI 代表取締役社長 CEOの松田浩路氏は、試行錯誤を重ねてオープンにこぎつけたとし、「通信とデジタルのチカラでローソンにどう貢献できるか。この店は未来に向けた実験場。ここの実験が日本全国に広がっていき、地域のさらなる発展に貢献していく。店舗の運営をさらに効率化することも私達に求められている」と、コンビニ運営のさまざまな側面を改革していく様子を語った。

左から、ローソン 代表取締役 社長の竹増貞信氏、KDDI 代表取締役社長 CEOの松田浩路氏

サイネージを大胆に活用

店舗を利用する客の目線では、サイネージの大規模な利用がこの新店舗の特徴。柱や壁面を覆うサイズのものだけでなく、各棚の上にも設けられるほか、一部は、棚の各段(プライスレール)に設けられる細くて横長のものもある。

店内の大型サイネージは一斉に連動させるジャック型の演出が可能で、揚げたての「からあげクン」が出来上がったことを知らせるほか、広告を配信することも可能。スマートシティ連携として街の天気などの情報を表示することもできる。

柱や天井付近の壁にサイネージ。棚の上のサイネージも連動する
広告などの配信にも対応

AIカメラと連動するサイネージも用意。棚の前のユーザーの行動に応じて、プライスレールのサイネージで売れ筋ランキングを表示する、同時購入でお得になる商品を案内するといった、ユーザーに最適化した提案を行なう。

おにぎり棚のプライスレール・サイネージ。
商品を取ると……
栄養表示の案内に切り替わった

商品の魅力をアピールするために“背景となる情報”やある程度の説明が必要なものについても、サイネージをタッチすると詳細説明が見られるといったように、ユーザーの行動に応じて案内を詳しくする取り組みを行なう。これらは従来のコンビニでは販売が難しいとされる商品ジャンルで、サイネージの能動的な活用により販売拡大に挑戦する形。

プライスレール・サイネージをタッチすると商品の詳細を棚上のサイネージで案内する

テレワークブースを応用した「Pontaよろず相談所」が店内に設置され、通信・金融から服薬指導、生活の困りごとまで幅広く相談に対応する。AIアバターの接客で基本的な要件を把握し、詳細な相談は専門スタッフによる遠隔接客で対応する。

「Pontaよろず相談所」

このほかにも、年齢認証が必要な商品購入をセルフレジで3Dアバターがサポートする「3Dアバター遠隔接客」など、さまざまな取り組みが導入される。

生成AI搭載の「AI Ponta」

ロボティクスとAIで店舗運営サポート

店舗運営面では、ロボティクスやAIの導入で効率を上げ、人手不足などさまざまな課題に対応していく。

飲料陳列ロボットを導入。負荷の高い飲料の品出しについて、24時間365日実施できるようにする。在庫や補充した数をデータとして取得できるため、店舗運営のさらなる効率化につなげられるという。

飲料陳列ロボット

調理を自動化するロボットも導入。「からあげクン」など一部の店内調理商品について、スタッフが調理に拘束される時間を軽減する。「からあげクン」の場合、現時点では揚がった物をバットに移すまでだが、将来的にはパッケージにつめる段階まで自動化できるよう開発を進めている。ほかにも、自動掃除ロボットを導入し、掃除業務で省人化を実現する。

店舗運営や改善点についてAIエージェントがサポートする「店内可視化・AIエージェント」が導入され、経営者などがタブレット端末から利用する。売上からスタッフの業務量、店内の人流データまで、店舗のさまざまな定量データをもとに運営をサポートするもので、属人的・感覚的だった運営ノウハウや意思決定についても、データに基づいて判断でき、店舗運営の難易度を下げ、一定品質の運営を維持しやすくなるとしている。