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KDDI、AI×ローソンで成長へ ARPUも反転し、リアル接点で拡大

KDDIは10日、2024年3月期決算を発表した。連結売上高は、前期比1.5%増の5兆7,540億円で、連結営業利益はミャンマー通信事業リース債権引当などの一時影響を受け、前期比10.7%減の9,616億円となった。

通信ARPU(一人あたり月間収入)収入は反転し、注力領域を中心に着実に成長。また、AIに注力するとともに、ローソンの事業成長についても説明した。

AI×ローソンでリアルから顧客基盤拡大

前期で大きな投資となったローソンへの投資については、「コンビニ×AI」戦略として説明。「AI・DX活用によるリアルテックコンビニエンス」、「コンビニを起点とした新たな付加価値創出」、「Ponta経済圏のさらなる拡大」の3点を強化していく。

ローソンとのシナジーとしては、コンビニの小商圏データと、通信会社の位置・嗜好データなどを連携させ、購買体験の改善や店舗スタッフの業務負荷軽減を図る。

auでは約2,000店舗のリアル接点と、1,500万の会員基盤、au PAYの3,500万人のデジタル基盤があるが、これに14,600店舗のリアル接点とともにリモート接客の拠点として活用する。スマートフォンのサポートだけでなく、服薬指導や金融相談、クイックコマースなどの拠点として、ローソンのリアル店舗を活用していく。

加えて、KDDIの高橋誠社長が期待を寄せるのが、「立地を活用したプラットフォームビジネス」。基地局やエッジAIの拠点として使うほか、ドローンや防災拠点、EVステーション、グリーンエネルギーなどについて、KDDIとローソンのシナジーを生かした展開を予定しているという。

auプレミアムパスはPontaパスに

もう一つ重視している点が「Ponta経済圏」の拡大。Pontaを運用するロイヤリティマーケティングとの連携を強化し、Pontaの会員基盤を活用する。現在展開中の「auスマートパスプレミアム(月額548円)」を「Pontaパス」にリニューアルし、ローソンの商品を含めたサービス向上を目指す。Pontaパスでは2,000万会員までの拡大を図るという。

なお、KDDIは2025年春を目処に高輪ゲートウェイの新社屋に移転する。社屋内に「リアルテックなコンビニ」を計画しており、様々な実証実験を行なっていく。

例えば、ロボットによるオペレーション効率化や、DXによる在庫管理高度化、サイネージ訴求、次世代リモート接客、スマホセントリックな体験、自動配送スキームなどを想定している。

通信+付加価値でARPU向上

あわせて、2025年までの中期経営戦略も「新サテライトグロース戦略」としてアップデートした。

通信事業は、スマホやIoTを基盤に付加価値サービスを提供。2025年3月期末には8,200万超を目指すほか、ユーザー接点の拡大を目指す。

決済・金融のほかでんき、保証、コンテンツ、ローソンなど通信基盤にメリットある付加価値をセットし、マルチブランドARPU(一人あたり月間収入)収入を拡大。また、パートナー接点を活かしてID拡大する。

一例として、2023年にスタートした使い放題MAX×金融サービス連携の「auマネ活プラン」は、開始から7カ月で70万契約を突破。解約率が約25%改善しているほか、通信ARPUが約10%増加するなど大きなシナジーが出ているという。

5G新周波数の活用では、Sub6エリアを拡大し、高速・大容量の5G通信を提供する。法人事業においてもAI・データを強化し、通信+付加価値で高利益率モデルを展開していく。