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コンビニでサブスクに“スピード加入”の可能性【Watch+】

KDDIとローソンは、全国のローソン店頭で「Pontaパス」入会受付サービスを開始しました。

「Pontaパス」は元々「auスマートパスプレミアム」として提供されていたもので、24年10月にリニューアルしました。割引クーポンをはじめ、さまざまなジャンルの特典が付いてきます。auユーザー向けのサービスがベースで、リニューアルで大きく会員数を伸ばし、現在は1,500万人以上が加入しています。au IDの開放に伴って、au回線以外のユーザーも加入できるようになっています。

注目はやはり、ローソンの割引クーポンが充実していること。店頭では、例えば焼きそばパンなど、商品パッケージにPontaパスの案内がプリントされていて、非会員に「もっと安く買えたのに」とアピールする力は、なかなかのものがあります。ローソンの運営側からは、Pontaパスで売上や来客の増加につながっていることが報告されていて、パッケージや什器の工夫も含めた、いろいろな施策が功を奏しているようです。

Pontaパス、ローソン向け特典が強化されている
ローソンの割引クーポン

Pontaパスは月額548円のサブスクリプションサービスですが、今回の取り組みは、メールアドレスとクレジットカードがあれば、店頭でスマホを操作して、au IDの取得とサブスクへの加入が簡単にできるという仕組みになっています。

これまで、コンビニで買うサービスといえば「POSAカード」が定番でしたが、基本的に買い切りやプリペイドの形です。毎月課金されるサブスクに店頭でクレカ1枚で加入できるというのは、珍しいですね。

au IDを新規に登録する場合、メールアドレスを登録して店頭レジで確認の読み取りを行ない、クレジットカードを登録する

KDDIいわく、今回のシステムは新たに開発したほか、裏側では、この数日前に発表していた「auかんたん決済」のシステムのリニューアルも関係しているとのこと。いずれにしても、レジでクレジットカードを挿し込めば登録完了というのは、ネットでクレジットカード情報を登録する場合と比べて明らかに簡単ですし、実際の店頭デモもすぐに完了していました。

これなら、店頭で商品パッケージを見て「Pontaパスに加入したい」と思ったユーザーは、たいした時間や苦労をかけずに加入できます。ネットの登録時にはない、「その場でコーヒー1杯無料」など店頭加入だけの特典も、加入までの精神的な障壁を乗り越えるモチベーションになりそうです。

また、Pontaパスの加入について詳しいスタッフがオレンジ色の腕章を付けるなど、ローソン側も積極的に取り組んでいるのが印象的でした。

一連の紹介を見ていて感じたのは、この仕組みを使えば、Pontaパス以外のサブスクも加入できるのでは? ということです。

そうした他社サービスについて、現在はまだなにも決まっていないとのことでした。仮に実現したとすると、店頭で加入する場合、KDDI・ローソン側はサブスク事業者に対して手数料などを設ける形が想像できますが、サブスク事業者側が積極的なら、実現する可能性はありそうです。

サブスクといえば映像配信といったデジタルサービスがすぐに思い浮かびますが、現物を扱うサービスならコンビニの店頭で紹介するなどして相乗効果を出せそうですし、保険商品などもアリかもしれません。

折しも、KDDI・ローソンがオープンした“未来のコンビニ”1号店(ローソン高輪ゲートウェイシティ店)では、店内のいたるところにデジタルサイネージが設置され、“情報の発信力”が段違いになっています。

実際に、エコやサステナブルといった背景情報が商品の魅力につながっているアイテム(=従来のコンビニでは売りづらい商品)についても、サイネージでプロモーション映像を流して販売することに挑戦しています。“ちょっと説明が必要なサブスク商品”についても、こうした仕組みを使えば解決できそうじゃないですか?

コンビニでクレカを挿し込んだらサブスク完了。いろいろな可能性に期待が膨らむ仕掛けになっているのではないでしょうか。

太田 亮三