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マイナ総点検、11月末完了を目指す 再発防止策も拡充

政府は8日、「マイナンバー情報総点検本部(第2回)」を開催し、マイナンバーカードの紐付け誤りなどの「総点検」の中間報告を発表した。新たな紐付け誤りも確認されているが、11月末の総点検完了を目指す。

マイナ保険証の誤紐付けの点検では、3,411保険者のうち1,313団体・1,570万件のデータ総点検を行ない、1,515万件の確認を完了。異なる個人番号が登録された事例は、1,069件で全体の0.007%となる。

共済年金での紐付け誤りについては、点検対象数 約510万件のうち、118件(点検対象の約0.002%)のマイナンバーの紐付け誤りが判明した。いずれも、正しいマイナンバーに修正済。主な原因は、J-LIS照会(機関側が地方公共団体情報システム機構/J-LISに情報照会)結果について、住所の一致を確認せず、別人のマイナンバーを紐付けたためだが、118件のすべてについて、年金支給額に影響がないことを確認している。また対策として、9月中に省令改正により、資格取得届書や年金裁定請求書に、本人がマイナンバーを記載するように改める。また、本人が記載したマイナンバーをもとにJ-LIS照会を行ない、4情報(氏名、生年月日、性別及び住所)が一致することを確認する。

問題が大きかったのは、障害者手帳について。「J-LIS照会」以外の理由でマイナンバー紐付けの誤りが複数あった。J-LIS照会の際に、完全な住所情報を用いず、その後も適切な方法で個人を特定していない自治体が50/237自治体(都道府県22/47、市町村28/190)あったという。

宮崎県では、ファイル作成時に手作業で転記した際の誤りで2,336人、鳥取市では、県から市に権限委譲した際に、類似する手帳番号を付番したことに伴う誤りで485件と、全体的な件数に対して、ミスが多く目立つ。

いずれも、J-LIS照会などの際に、完全な住所情報を用いなかったことなどが要因だが、障害者手帳情報については、すべての自治体を個別データの点検対象とする。

9日からは、所管官庁が、自治体や紐付け実施機関と協議を開始。点検範囲や方法、期限などについて協議する。完了目標は11月末を目標としているが、実施機関の都合などもあるので、協議して決定していく。総点検に関する費用負担は、所管官庁と紐付け機関で相談していく。

なお、総点検は進めるが、ユーザー側の確認としては「マイナポータル」を確認するのが「一番速く確実」(河野デジタル大臣)としており、確認方法も紹介している。

再発防止対策としては、所管省庁が、各種制度の申請者にマイナンバー記載を求めるよう省令改正するほか、デジタル庁が9月中にマイナンバー登録に係る横断的なガイドラインを策定する。また、登録データについて、定期的なシステムチェックの仕組みの導入を検討していく。

マイナンバーを特定するためのJ-LISへの照会については、原則4情報(氏名・生年月日・住所・性別)による照会にするよう、照会システムを改修する。

また、マイナンバー収集時に「転記」ではなく、デジタルでマイナンバーカードからマイナンバーを読み取る方法の普及へ向けた取り組みを強化。年度内に仕組みの改善や事業者への働きかけなどを行なっていく。

資格確認書は申請なしで発行。利便性向上でマイナ保険証を拡大

再発防止とともに、今後は「国民の信頼回復」に向けた取り組みを進める。

マイナ保険証を持たない人に発行する「資格確認書」については、従来は本人の申請に基づいて発行としていたが、当面、マイナンバーカードを取得していない人、マイナカードの健康保険証利用登録をしていない人に、本人の申請によらず保険者が交付する運用にする。また従来1年以内としていた有効期間も「5年以内」とし、各保険者が設定する形にする。

また、マイナンバーカード取得を円滑化。新生児、紛失等による再交付、海外からの転入者など、速やかなカード取得の必要がある場合は、申請から1週間以内(最短5日)で交付できる特急発行・交付の仕組みを構築する。

さらに「福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」を策定。介護・障害福祉施設での出張申請受付や、個人宅等を訪問する形での出張申請受付なども推進する。さらに、暗証番号の設定が不要なカードの交付についても、11月頃の開始を目指す。

マイナ保険証については、マイナンバーカード一枚で受診できる環境整備を進めるなど推進策を加速。電子処方箋も、オンライン資格確認を導入したほぼ全ての医療機関・薬局に対し、2025年3月までに導入を目指す。診察券のマイナンバーカード一体化などの施策も進めていく。

Androidで対応が進むマイナンバーカードの電子証明書のスマートフォンへの搭載は、iOS対応を進める。この仕組みにおいて、スマートフォンでの健康保険証利用の仕組みの導入を進め、スマホ一つで診療を受けられる環境整備を目指す。

また、2026年中を視野に次期マイナンバーカードの導入を目指す。ここでは、券面記載事項や電子証明書の有効期間の延長などについて検討し、マイナ保険証としての利便性の向上を目指す。様々な施策により、マイナ保険証の使いやすさを向上するとともに、病院における顔認証付きカードリーダー端末の増設や、カードリーダーの読み取り精度向上などを進める。