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マイナンバー総点検本部を設置 「コロナなみ態勢」で対応

マイナンバーの誤紐付けが発生

マイナンバー制度に関連するトラブルが連続して発生している。この対策として、政府は「マイナンバー情報総点検本部」を立ち上げ、情報の「総点検」を行なう。21日に開催された第1回会合には岸田首相も参加した。

マイナンバー制度に関連し、健康保険証や地方職員共済組合での紐づけ誤り、静岡県におけるマイナンバーに別人の障害者手帳の情報が紐付けられた問題などが確認されている。

こうした問題解消に向け、マイナンバーによる情報連携の正確性確保に向けた「総点検」を実施するもの。マイナンバーと制度固有番号との「紐付け」のミスが発生しているため、「マイナポータルで閲覧可能な情報を有する全ての制度」において、紐付けが正しく行なわれているかを確認する。

対象となるのは、マイナポータルでは、閲覧できる29情報。そのため省庁横断での「総点検本部」をデジタル庁に設け、厚生労働省と総務省、地方自治体が連携して、点検を着実に進める体制を整備する。

こうした問題が発生するのは、各機関における現在の運用が異なっているためだ。

健康保険証の資格取得など、マイナンバーと紐づけた業務が各機関で行なわれるが、機関によってはマイナンバーの提出義務が無いため、機関側が利用者の氏名や生年月日などの情報を使って地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に情報照会を行なう。この際の[カナ氏名]のみでの照会するといった情報の不足や、確認不足などにより、誤った紐づけが発生している。また、現在把握されている紐づけ誤りには様々なケースがあるという。

そのため、各機関がどのように情報を取得し、紐づけているかを確認・点検していく。

総点検では、7月中に各省庁から紐付け実施機関に対し、現状の紐付け方法について以下の確認を行なう。

・マイナンバー届出義務の有無、
・マイナンバー未届出の場合のマイナンバー取得方法
・J-LIS照会を行なう場合の方法(氏名・生年月日・住所等のうち何種類を用いるか)など

実施機関からの確認を経て、秋までに、氏名等のうち3種類以下の情報を用いてJ-LIS照会を実施した場合など、全ての個別データの総点検が必要なケースを整理。そのケースに該当する場合は、紐付け実施機関に対し、「全データ点検」「誤紐付けの修正」「情報漏洩の有無に関する調査」を求める。紐付け実施機関固有の事情により、紐づけ誤りが生じた場合、原因に沿って個別に対応する。

マイナンバーによる情報連携の正確性確保に向けた総点検について

総点検の結果については8月末の中間報告を予定している。

現時点では、再発防止策として、(1)各種申請時にマイナンバーの記載を義務化、(2)機械的なJ-LIS照会の実施の検討、(3)統一的な手順の提示などを想定。今後の調査による問題把握により、具体的な対策を決めていく。

会合に参加した岸田総理は、「デジタル社会の実現には、国民の信頼が不可欠。政府をあげ、コロナ対策なみの臨戦態勢で国民のマイナンバー制度に対する信頼を一日も早く回復すべく、全力を尽くしてほしい」と言及した。