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トヨタ、新型BEV 16台一挙公開。30年までに350万台

トヨタは14日、バッテリーEV(BEV)戦略に関する説明会を開催し、その中で、レクサスおよびトヨタの未発表新型BEV車両を一挙公開。2030年までに350万台のBEVを販売する方針を明らかにした。トヨタはBEV市場に本格参入する。

豊田章男社長は冒頭、「CO2は削減したいが正解が何かはまだわからない。一つの選択肢では難しい」とし、BEVだけでなくPHEV、FCVそしてガソリン車など多くの選択肢を提示することで、様々な国のエネルギー事情にあった車両を用意していく方針を示した。

CO2削減は大きな目標だが、全ての国でBEVが歓迎されるとは限らない。ブラジルのようにガソリンよりも安いバイオエタノールが普及している国に無理矢理BEVを持ち込んでも歓迎されない。米国は、西海岸や東海岸ではインフラが普及していて、BEVも活用できるが、それ以外の地域ではまだまだガソリン車のほうが利便性が高いなど、国の中でも事情が異なる。そうした事情に柔軟に対応するため、様々な選択肢を用意する「全方位戦略」に変更はないという。

BEVはそうした戦略の一つだが、新たに2030年までの目標として350万台30車種のBEVをフルラインナップで販売することを発表。レクサスはそのうち100万台。トヨタは2030年までに世界で1,000万台の車両を販売することを目標としており、従来はそのうち200万台をBEVとしていたが、それに150万台を上乗せする。

電動化車両への投資としては、2030年までに研究開発費として8兆円を投ずる。そのうちBEVは4兆円で、電池開発には2兆円を充てる。電池開発については従来1.5兆円としていたが、さらに投資を行なう。HEV、PHEV、FCEVには4兆円を充てる。

会場では数年後に実際に発売される車両のプロトタイプも一挙に公開。トヨタは従来、BEVの開発には熱心ではないとみられていたが、多数の開発車両を公開することで、この風評を覆した。

bZ Compact SUV
bZ Small Crossover
Lexus Electrified Sport
Lexus Electrified SUV
Pickup EV
Compact Cruiser EV
Mid Box

「トヨタのBEVには興味が無かった」

質疑応答では、同社が環境団体から「脱炭素化」で最低評価を受けたことについて質問をうけたが、豊田社長は、従来からの「トヨタはBEVに前向きではない」という評判を前提としながらも、「トヨタが目指す1,000万台のうち、350万台30車種がBEV車両になる。200万台でも小さな自動車会社1社分になる。これだけの数を販売する会社を最低評価とするなら、どんな企業なら評価が上がるのか教えていただきたい」と反論した。

また、BEV車両について社長、または「モリゾウ(豊田社長のレーシングドライバー名)」としての「ホンネ」を教えてほしいという質問に対しては、「今までのトヨタのBEVには興味が無かったが、これから作るBEVには興味がある」とし、「(電動化により様々な制御が可能になり)自分のようなドライバーがどんな道でも安全に走れる車を作れる可能性がでてきた。ただし、制御だけではだめで、それでは伸びたうどんに天ぷらを載せるようなもの。トヨタはこの数十年で『TNGA』構想などにより、ベース骨格や足回りの開発を強化して地道な改善を続けてきた。将来自動運転の車になっても、『やっぱり自動車屋が作る車は違う』と言われる車両を作りたい」と語り期待を寄せた。

同社の従来からの「全方位戦略」についても改めて説明し、「どうしても国のインフラや事情などはトヨタとしてはどうしようもない。そこに無理に電動化を押しつけるのではなく、それぞれの利用者の事情に合わせた車両を提供したい。そのためにBEVなど電動化だけでなくガソリン車も手を抜かずに作って行く」と語り、市場の状況をみながら柔軟に対応できる体制を作って行くことが重要で、同社が生き残る戦略だとした。

bZ4X
bZ SDN
bZ Large SUV
Lexus RZ
Lexus Electrified Sedan
Micro Box
SPORTS EV
Crossover EV
Small SUEV

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY