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トヨタ、4種の「新型クラウン」一挙公開 「日本のクラウンここにあり」

撮影:三橋仁明 / N-RAK PHOTO AGENCY

トヨタは、16代目となる新型「クラウン」を発表。クラウンの名を冠した4つのバリエーションを公開した。秋頃から第1弾としてクロスオーバーを発売する。価格は435万円~640万円。

記者会見では豊田章男社長が初代クラウンから15代目までの歴史を振り返りながら紹介。「(クラウンの歴史を)日本の歴史に重ね合わせれば、徳川幕府は15代で幕を閉じた」とし、16代目を迎えるクラウンを開発するにあたり、「なんとしてもクラウンの新しい時代をつくらなければいけない」と決意を固めたという。そして「16代目は明治維新に当たる」として新型クラウン4モデルを公開した。

新型クラウンは、「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」の4つのバリエーションで展開。すべて名称は「クラウン」で統一される。また、クラウンはこれまで海外では一部の地域で展開していたが、改めてトヨタのフラッグシップとして40の国と地域で本格的にグローバル展開し、シリーズ販売台数は年間20万台規模を目指す。

第1弾となるクロスオーバーは秋に発売予定。外観はスタイリッシュなクーペライクシルエットと、力強さを感じさせるリフトアップスタイルを組み合わせ、流麗さとダイナミックさを両立させた、新時代のフラッグシップの姿を表現。大径タイヤの採用により、従来のセダンより高いヒップポイントを活かし、乗り降りがしやすく、視界の良い着座位置を実現した。

上位モデルには新開発の「2.4L デュアルブーストハイブリッドシステム」を初採用。低回転から力強いトルクを生み出す直列4気筒ターボエンジンと、高い駆動力を発揮する最新の電動パワートレーン「eAxle」、新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を組み合わせ、アクセル操作にリニアに反応する、トルクフルなドライビングフィールを実現する。

それ以外の3モデルについては仕様や価格も含め順次発表、発売される予定。

スポーツは、エモーショナルで創造的な雰囲気を持ち、乗りやすく運転し易いパッケージと共に、俊敏でスポーティーな走りを重視した新しいカタチのスポーツSUVとしている。

セダンは、正統派セダンとして、新たなフォーマル表現と共に、上質さ、快適さ、を追求し、ショーファーニーズにも応えできるモデル。

エステートは、機能的なSUVとして、大人の雰囲気と、余裕のある走り、アクティブライフを楽しめるモデル。後席はフルフラットデッキにもなり、ワゴンとSUVのクロスオーバーと位置づけている。

なぜ4種のクラウンが誕生したのか

クラウンは15代目に至るまで一貫して「セダン」として展開してきたが、今回初めて4つのバリエーションを用意したことについて豊田社長は、「4種のクラウンを用意することで、女性や若い人もそれぞれ違和感なく乗れるクルマを用意した」という。これまでのクラウンは男性やビジネス層など一定のユーザー層に向けたイメージがあったが、それを払拭する狙いがある。

開発を担当したミッドサイズビークルカンパニー プレジデントの中嶋裕樹氏は2年ほど前、クラウンを刷新するにあたり、現行モデルの「マイナーチェンジ」を提案したが、豊田社長がこれを強く否定。「本当にこれでクラウンが進化出来るのか? マイナーチェンジは飛ばしてもよいので、もっと本気で考えてみないか」という豊田社長の言葉で、16代目クラウンの開発がスタートした。

クラウンというクルマにはそもそもその形状や駆動方式に縛りはない。その原点に返って、「セダンを超えるセダン」として開発を進め、ようやく形になったのが「クロスオーバー」だったが、その直後豊田社長から「セダンも考えてみないか?」という提案があった。原点に返ったところであらためてセダンを、ということで、豊田社長としてはこの2種で決まりだと考えていたという。しかし、中嶋氏はそれならばと、さらに多様なニーズに応える、スポーツ、エステートも加えて提案した。豊田社長は当時、「調子に乗っているのか」と思いながらも、その趣旨を理解し、4種のクラウンが誕生することになった。

豊田社長は最後に、「クラウンが、世界中の人々に愛されることで日本がもう一度元気を取り戻すことにつながれば嬉しい。『日本のクラウンここにあり』、それを世界に示したい」と、グローバル展開への意気込みをみせた。

トヨタ、新型「クラウン」を世界展開 第1弾クロスオーバーは435万円から

新型クラウン発表会に展示された初代から15代の「クラウン」