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餃子から自動車まで、体験型ストア「b8ta」(ベータ)渋谷店オープン

「b8ta Tokyo -Shibuya」

b8ta Japanは、体験型ストア「b8ta」(ベータ)の渋谷店「b8ta Tokyo -Shibuya」を11月15日にオープンする。国内では新宿、有楽町に続く3店舗目。食品カテゴリーを本格的に取り扱うほか、什器の変更で大型商品の出品にも対応した。オープン時には日産自動車のクロスオーバーEV「ARIYA」も展示され、車内設備などの体験が可能。

渋谷駅東側の明治通り沿いで、宮益坂下の交差点という人通りの多い場所にオープンする、商品の販売ではなく体験に主眼をおいた店舗。渋谷店では、既存店舗では取り扱いの少ない食品カテゴリーを拡充したのが特徴。オープン時は14アイテムの試飲・試食が可能で、日本初進出のラーメンの次世代自販機「Yo-Kai Express」なども注目となる。カフェスペースも設けられ、b8taオリジナルのコーヒーなどが提供される。

宮益坂下の交差点に面する場所

渋谷店では、スタートアップ企業のガジェットなどを含めて全41ブランドが出品される。店内に出品する商品の半分ほどは店舗に在庫があり、その場で購入が可能。月間1万人、年間で12万人ほどの来店を見込む。トレンドの発信地である渋谷ということで、若い世代や男女を問わない来客を想定している。

食品から最新ガジェットまで体験可能
カフェスペースも

渋谷店は什器の重量を見直したことでレイアウト変更が容易になり、大型商品の展示にも対応する。オープン時には日産自動車のクロスオーバーEV「ARIYA」が展示され、外観を確認したり車内の装備を体験することが可能になる。

店舗を訪れる人は、「b8ta」の渋谷店限定のスマートフォンアプリをダウンロードして利用する。店内で気になった商品のQRコードを読み取ると、コンセプトや詳細な解説、販売方法などを確認できる。試飲・試食については、気に入ったかどうかなどを選択式の簡単なアンケートに回答する。アプリを利用するとスタンプが貯まり、店内でカフェなどのクーポンに交換できる。

店内の人の動きを分析しフィードバック

b8taのビジネスモデルは、「RaaS」(Retail As A Service)を掲げ、出品するメーカーやブランドがb8ta側に月額の料金を払うというもの。b8taの店舗においては、商品の売上は至上命題ではなく、店内でどれぐらい注目されたかといったデータをフィードバックするのも特徴。什器の前を通り、商品を目にした数、立ち止まって興味を示した数、導線などを分析して可視化しており、マーケティングや商品開発に利用できるデータとしてブランド側にフィードバックする。これは一般的な百貨店や小売店ではまだまだ少ない取り組みで、b8taの大きな特徴のひとつ。店舗スタッフがヒアリングしたりアプリのアンケートで回答されたりした生の声が集まるのもブランド側にとって重要なポイントになっている。

この点において渋谷店は、さらに進化するための実証実験を兼ねた“b8ta 1.5”と位置づけられている。具体的には、渋谷の交差点という好立地を活かし、店舗前の半径約15mの人の流れを把握する3D LiDARセンサーを設置。時間帯による変化や、屋外広告のように、入り口付近で展示する商品を見た推定人数、店内に入った割合など、店内の分析データと合わせてさまざまなデータを抽出し活用を試みていく。

なお、店舗前の3D LiDARセンサーはデンソーウェーブとの協働で稼働させるもので、自動運転システムに搭載されるものと同様、カメラ映像ではなく、レーザーで距離・形状を計測するセンサー。“物体の移動”のみが計測対象で、個人や性別も判別できないプライバシーに配慮したデータになるとしている。

コロナ禍を経て、一部の百貨店などではフロアを改修、b8taと同様に、販売を主目的としない体験型フロアを設けるケースも出てきている。b8ta Japanでは、体験型店舗が盛り上がればと、こうした動きを歓迎しているほか、今後は国内のほかの都市にもb8taの店舗を展開していく方針。

ベータ・ジャパンCEOの北川卓司氏