ニュース
帰ってきたカラオケ事業 U-NEXT HDがJOYSOUNDを子会社化する理由
2025年12月26日 11:06
動画配信サービス「U-NEXT」などを展開するU-NEXT HOLDINGSは、カラオケの「JOYSOUND」などを展開するエクシングの株式70%を取得し、連結子会社化する。株式取得日は26年4月1日で、U-NEXT HDはエクシング株式を取得することで、U-NEXTのコンテンツの強化を図るとともに、両社のシナジーを活かした事業拡大に取り組む。
エクシングは、ブラザー工業の完全子会社で、「JOYSOUND」を中心とする業務用カラオケ事業や音楽・映像ソフト事業などを展開してきた。U-NEXT HDは、エクシングを連結子会社化することで、動画配信のU-NEXTにおけるコンテンツを強化するほか、エクシングが全国に有するカラオケロケーションにおいて、U-NEXTが配信権を持つ、スポーツや音楽ライブなどのライブビューイングなどを展開。新たなエンターテイメント創出を狙うとする。
こうした消費者向け(BtoC)のサービスだけでなく、U-NEXT HDが持つ顧客基盤を使ったカラオケ市場の開拓など、BtoB向けの拡大も見込んでいるという。
U-NEXT HDでは店舗BGMなどの音楽配信や、POSレジや決済事業、医療機関やホテル向けソリューションなどを幅広く手がけている。こうした領域においてJOYSOUNDの通信カラオケ機器を拡販するなどの展開を見込む。
一方、エクシング/JOYSOUNDは、ナイトエコノミー市場における強い顧客基盤を持っているため、ここにU-NEXT HDの音楽配信や通信、電力、キャッシュレス決済をあわせて拡販(クロスセル)するといった展開もある。連結子会社化の理由については、「シナジーが高いということに尽きる。垂直統合で一体化し、さらなる成長が見込める」とした。
業務用カラオケでは、JOYSOUNDと最大手の「DAM」(第一興商)の2ブランドが圧倒的に強い市場だ。U-NEXT HDとエクシングのシナジーを活かすことで、U-NEXT HDの事業とともに業務用カラオケ事業における拡大も狙う。
なお、U-NEXT HDの前身であるUSENは以前「カラオケUGA」のブランドで業務用カラオケを展開していたが、2009年に非中核事業として売却。その相手がエクシング親会社のブラザー工業であったため、U-NEXT HDはグループとしてカラオケ事業を買い戻した形だ。
今回JOYSOUNDとともにカラオケ事業を再取得した背景については、「BtoBにおける市場環境が変化し、カラオケの魅力をより発揮できる新しい市場が台頭してきた。また、『店舗のワンストップサービス』を目指すというU-NEXT HD戦略に合致する商品でもある。なにより15年前と違うのは(動画配信の)U-NEXTがあり、500万を超える日本最大規模のプラットフォームで、ビジネスの土台ができている。BtoC、BtoBに活用して価値をさらに引き出せると考えた」(同社)と説明している。


