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新しい買物体験と店のロス削減目指す「リテールAI プラットフォーム」

トライアルのレジカート

商品をレジカートに入れてゲートを退出するだけで精算が完了するスーパーマーケットを展開するトライアルや、サントリー酒類、日本ハムといったメーカー、卸や物流企業が参加するリテールAIプラットフォームプロジェクト「リアイル」の戦略発表会が実施された。

リアイルは、流通の課題解決やセルフレジを搭載したスマートレジカート等による新しい購買体験の実現など、「流通情報革命」を目指すプロジェクト。

店舗運営・リテールAI技術を開発するトライアルがプロジェクトリーダーとなり、メーカーからサントリー酒類、日本ハム、卸から日本アクセス、物流からムロオ、ファシリティから冷蔵ショーケースのフクシマガリレイの、計6社が参加する。

リアイルでは、各企業が持つデータを個々で部分最適化するのではなく、流通産業全体における変化を促すことを目標とし、関連する事業体を巻き込んだエコシステムを構築する。

またリテールAI技術を導入した店舗として、スーパーセンター トライアル長沼店が4月24日にリニューアルオープンすることが決まっている。

トライアル長沼店では、ウォークスルー型RFID会計ソリューションを導入。レジカートでプリペイドカードをスキャンし、その後は商品をスキャンしながらカートに入れていくことで、レジでの会計を行なうことなく精算が完了する。

トライアル長沼店で導入するレジカート
商品をスキャンしながらカートに入れていく
買物が完了したらゲートを通過
ゲート出口でレシートを受け取れる

レジカートに備えられた画面には商品情報のほか、カートに入れた商品に合わせたクーポンなどが表示される。また長沼店で導入されるレジカートは重さを量る機能を備えており、スキャンのし忘れを防止するという。

日本ハム「シャウエッセン」を入れた際の画面。おすすめとしてベーコンの「シャウベーコロン」が表示された
スキャンせずに商品を入れた際の画面

そのほか、小売りに特化した「リテールAIカメラ」を設置。欠品状況を管理し、チャンスロスを防ぐために最適化した棚づくりに生かされるほか、客の動線や位置情報といった人の導線分析も可能だという。

棚の上部にリテールAIカメラを設置
リテールAIカメラ
商品側から見たリテールAIカメラ
欠品状況管理や客の導線分析が可能

消費者にも企業にもメリットをもたらす「流通情報革命」

トライアルグループ Retail AI 代表取締役社長 永田洋幸氏は、同社はオペレーションドライブで、リアル店舗におけるデータを生み出し、そのデータを主体に連携させることで新たな顧客価値を創出し、それが買物体験を変えていくことにつながるとする。

Retail AI 代表取締役社長 永田洋幸氏

これにより、メーカーは良いものが作れる、消費者は欲しいものが買える。それをつなぐのが、リテールAIの技術を使ったデジタルトランスフォーメーションができるリアル店舗であると説明した。

また永田氏は、買物体験を変えるため、メーカー、卸、ファシリティ、物流など、小売業界全体が今まで以上に連携する必要があるとし、プロジェクトはオープンイノベーションで産業を変えることを目的に集まったと述べた。

サントリー酒類の中村直人氏と、日本ハムの小村勝氏はともに、リテールAIを商品開発や広告、棚割り提案へ活用すると説明。

サントリー酒類 営業推進本部 部長 中村直人氏
日本ハム マーケティング推進部長 兼 新市場創造部長 小村勝氏

リアイルについて中村氏は、各々が持ち合わせていたデータをクラウド上で管理するビジネスエコモデルであると話す。

カメラで消費者の購買行動が把握できるようになるほか、販促の例では、様々な消費者ニーズに応えられるよう、従来の折込チラシのような画一的な販促ではなく、個々の消費者に合わせた効率的な販促を実施できることを訴えた。トライアルでのサントリーの3年間の取り組みでは、売上が向上したという。

小村氏は、メーカーよりも流通の方が顧客情報を多く持っており、リアイルに参加することでこれらのデータを活用でき、消費者を理解することにつながると説明。

開発に向けた取り組み方針について、消費者の声をもとにしたマーケティングプロセスにID-POSを活用。カメラやレジカートを駆使した購買行動、販売検証を組み込むという。消費者の声をもとに開発した「シャウベーコロン」の販売の検証には、リテールAIデータも活用して、商品開発力向上を図るとした。

廃棄ロスやチャンスロスについて、卸を展開する日本アクセスの今津達也氏が説明。

日本アクセス マーケティング部 部長代行 今津達也氏

トライアル店舗において廃棄ロスを分析したところ、想像していたほどには起こっていなかったことがわかったという。一方で、発注担当者が廃棄ロスを恐れて欠品をしていることが課題として浮かび上がった。そこで長沼店では、AIカメラで欠品状態の把握や通過人数当たりの購買数予測を行なうとともにダイナミックプライシングを導入。廃棄ロスおよびチャンスロス改善につなげるとした。

AIカメラを設置するショーケースには、業務用冷凍冷蔵庫等を展開するフクシマガリレイのショーケースを使用。フクシマガリレイでは、リテールAIの普及により、インフラ構築・メンテナンスを全国で行なうことを目指す。

AIショーケース
フクシマガリレイ 専務取締役 営業本部長 福島豪氏

物流については、ムロオの山下俊一郎氏が、共同配送センターの設置を目指すことを説明。

ムロオ 代表取締役社長 山下俊一郎氏

物流業界は、労基問題や人件費の高騰等様々な課題を抱えており、一企業で改善することは難しい状況にあるという。課題解決に向け、エリア汎用物流センターを共同で使えるようにして全体のコストを下げるという、物流のプラットフォームの形を提案。「競争領域から協調領域へ」をコンセプトに、AIの導入による物流の最適化や、同業他社や異業種を巻き込んで物流資産を共有することによる物流全体の最適化を目標とする。