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電動キックボード推進団体にLimeが加入。法整備や実証実験で協力

電動キックボードなどの普及に向けた団体「マイクロモビリティ推進協議会」に、海外の電動キックボードシェアリング大手「Lime」が加入した。各事業者が協力し、日本国内における電動キックボードの法制度整備やシェアリングサービスの事業化に向け、政府・自治体への働きかけや実証実験などで協力する。

同協議会は5月28日に設立。協議会会員はema、Luup、mobbyといったサービスを提供する国内3社と、11月から参加したLime。電動キックボードは、日本では国内では道路交通法上「原動機付自転車」扱いとなっており、公道走行時には原付免許が、機材にはナンバープレートやブレーキなどの保安設備が必要。そのため、現時点では特区に限定した実証実験や私有地でのサービスに限定されており、国内でのサービス拡大には法改正などが必要となる。協議会では各社が連携し、こうした課題の解決に取り組む。

協議会会長でLuup代表取締役社長兼CEOの岡井大輝氏は、協議会の目標を安全性の担保や実証実験の推進、政策提言と説明。安全性を特に重視し、ガイドラインを策定している。一例として機体の規格は、最高速度は毎時20km、幅700mm以下、高さ1,400mm以下、長さ2,000mm以下、重量55kg以下。協議会参加社の間で、それぞれの機体を確認し、安全認証シールを発行。サービス提供者には安全認証シールの貼布を義務付ける。また、サービス提供者の保険加入も必須とする。

海外では最高時速が25km程度の機材も多いというが、「日本の国土面積や道路環境を見ても、抑えたほうがいいのでは」とし、毎時20kmに制限するなど、日本にあった安全環境の実現を目指す。「自動運転やMaaSが広がる中でも、最後のワンマイルの移動は必要で、その手段は小型かつ無人のものとなるのは自明。単に規制を緩和してほしいという話ではなく、将来の姿から逆算すると、電動キックボードなどのマイクロモビリティが必要」(岡井氏)とし、協議会を中心に実証実験などを重ね、実用化を目指す。

協議会に加入したLimeは、米サンフランシスコ発祥の電動キックボードシェアリングサービス。2017年よりサービスを開始し、30カ国120都市以上で展開している。アジアパシフィック地域の政策担当ディレクターのミチェル・プライス氏は、Limeの利用回数がのべ1億回を突破したことや韓国ソウルでのサービス開始について説明。日本においては、9月には福岡で250名が体験する実証実験を展開しているが、今後、協議会とともにサービスの実現に向けて取り組む姿勢を強調した。

今回の会見は、自由民主党MaaS議員連盟 マイクロモビリティPT勉強会の後に開催された。自由民主党MaaS議員連盟の事務局を務める今枝宗一郎衆院議員は、「安心・安全を確保したうえで、電動キックボードなどのマイクロモビリティを社会実装していきたい。マイクロモビリティは、環境負荷やオーバーツーリズムなどの社会的問題を解決できるもの。規制がその妨げにならないよう取り組む」と語り、実用化をサポートしていく姿勢を示した。