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スーパーのセルフレジ時間掛かる問題 トライアルは何年も前に解決していた?【Watch+】

スーパーセンタートライアル長沼店(20年7月撮影)

スーパーマーケットで利用者自身がバーコードを読み取り、支払い、袋詰めまでを1カ所で行なうフルセルフレジの導入が進んでいますが、買物の量によっては時間が掛かります。そういった状況の今になって、トライアルやイオンなどで何年も前から導入されている“スマートショッピング”への評価が、個人的に上がっているというお話です。

スーパーのフルセルフレジ時間が掛かる問題

フルセルフレジ(以下、セルフレジ)の導入は、筆者の生活圏内ではスーパーよりもコンビニが先でした。コンビニでは、有人レジに比べればパネル操作の作業が加わるものの、それほどの手間ではなく、しかも有人レジは並んでいるのにセルフレジは誰もいないということも多いので、ありがたく利用しています。

スーパーのセルフレジも、コンビニの延長程度の買物の量であれば煩わしさはありません。ただ、量が増えてくると話が違ってきます。例えば週末の、家族の1週間分の食材をまとめ買いするときです。

袋詰めするときには、なるべく上の方に置きたい物と、いろいろな物の下敷きになっていい物があります。例えば、トマトはキャベツの下には入れたくないので、袋詰めの順番としてはトマトよりもキャベツの方が先です。

この上下関係は袋の中だけではなく、買物カゴの中でも同様です。つまり、カゴの中でもトマトが上、キャベツが下にあるわけで、キャベツを先に袋詰めするには、カゴの下の方にあるキャベツを引っ張り出してレジで登録して袋詰めする、あるいは先にトマトを登録してどこか別の場所に逃がしておくということになります。

店によっては、袋詰め台に重量センサーが搭載されていて、登録した商品を袋詰めしないと「袋に入れてください」と言われて先に進めなくなってしまうため、逃がしておくことすらできないケースもあります。

もちろん購入する物がトマトとキャベツだけならば何ら問題はありません。カゴいっぱいの“トマト側の物”と“キャベツ側の物”を見極めながらレジを通して袋詰めするとなると、なかなかに大変な作業となるわけです。

そしてもう1つの難敵が、刺身や生魚、精肉など汁がこぼれてきそうな物を入れるためのビニール袋。商品を登録しながら、これを取って開けて入れる作業も発生します。特に冬場は手が乾燥していて、取る、開けるという作業に手間取る上に、静電気にも阻害されます。そして、セルフレジ入口にできた大行列が目に入ればさらに焦ります。

せめて、ビニール袋を売場やセルフレジの行列ができる場所に設置しておいて、必要数を事前に取って開けておければ、レジ本番での作業がスムーズになりそうだなと思っています。

スマートカートが導入されれば解決する?

省人化が必要とされている昨今、有人レジメインに戻ることを求めるのは難しいでしょう。どうすればスムーズにセルフレジを使いこなせるかを考えるしかありません。そこでふと、トライアルが展開するスマートカートを生活圏のスーパーでも導入してほしいという思いに至りました。

セルフレジ機能搭載のスマートカートが「スーパーセンタートライアル長沼店」に導入された際に取材しており、時は2020年7月。イオンリテールが、買物をしながら専用スマートフォンで商品のバーコードをスキャンして会計する「レジゴー」の本格展開も同時期の2020年度です。イトーヨーカドーでも、アプリでスキャンしながら買物ができるサービスを提供しています。

同じ年に無人決済店舗「TOUCH TO GO」が高輪ゲートウェイ駅構内にオープンするなど、小売業界では新しい取り組みが進められていました。また、レジに関して言えば、今では当たり前となったセブン‐イレブンのセミセルフレジや、ローソンのフルセルフレジの本格導入が進められていた時期でもあります。

近所のスーパーは昔ながらの有人レジ、あるいはセミセルフレジの時代で、特に不満もなかったので、当時は“我が街にもスマートカートを”とまでは感じませんでした。それが、我が街にセルフレジが導入された途端に、スマートカートの評価が上がったのです。

スマートカートとはどういったものかというと、カートに乗せた買物カゴに商品を入れる際に、カートに搭載されたリーダーで商品バーコードを読み取らせる、つまり商品登録をしながら買物をするというものです。

バーコードを読み取らせる様子(20年7月撮影)

結局自身で商品登録を行なうという意味では、セルフレジに比べて作業量が減るというわけではありません。登録の際には足を止めることになりますし、買物中にありがちな“やっぱりこっちにしよう”という時には一度登録した商品のキャンセル作業も発生します。

近所に導入されたらされたで何らかの不満は発生するものと思いますが、それでも後ろに行列を抱えながら1つの場所ですべての作業を一度に行なうよりも、作業を分散させた方がストレスは少ないのではないかと思うのです。

トライアルホールディングスは7月に、西友の全株式取得を完了し、完全子会社化しました。郊外への出店が多いトライアルに対して、都心にも店舗を構える西友へのスマートカート導入も期待したいところですが、「構想として検討はしているが、具体的な予定はない」(西友 代表取締役社長 楢木野仁司氏)とのことです。

子会社化したからといって、すぐにすべてのシステムを統合できるわけではなく、今後様々な施策や課題解決に順次取り組んでいくことになるでしょう。生活圏に西友があって、スマートカートを使いたいという方も、長い目で期待しておきましょう。

個人的には、トライアルやイオンなどに限らず、多くのスーパーでスマートカートやレジゴーのようなシステム(あるいは今までになかった斬新な、スムーズさと省人化を同時に叶える買物体験)が広がることに期待しています。

加藤綾