西田宗千佳のイマトミライ

第326回

冬季オリンピックにWBCがまもなく開幕 「テレビで映像配信を見る方法」

2月6日から「第25回オリンピック冬季競技大会」がスタートする。また、3月5日からは「ワールド・ベースボール・クラシック 2026」(以下WBC)も始まる。国際的なスポーツイベントが続き、スポーツファンにとっては忙しい時期となりそうだ。

現在、これらの大きなイベントは「ネット配信」が重要になっている。冬季オリンピックはほとんど全ての競技が、TVerで無料配信。地上波では放送されない種目のライブ配信も行なわれる。

また、WBCはご存知の通り、Netflixが全試合を独占中継し、地上波での放送はない。

WBCはNetflixのみで配信

これ以外にも、ボクシングなどのスポーツイベントはネット配信に移行しつつある。地上波が映るテレビさえあればいい、という時代はずいぶん前に過ぎ去っており、テレビで映像配信を楽しめることは、リビングに必須の要件になってきた。

今回は改めて、「テレビでネット配信を楽しむ方法」をまとめてみよう。

本記事を読む方の多くは、すでに整備済みかもしれない。しかし、身の回りには「テレビで映像配信は見ていない」人もいるだろう。意外と簡単なことであり、コストもさほどかからないことが周知されれば、と思う。

最大の課題は「テレビまでネットを引くこと」

テレビで映像配信を見るには、基本的に2つの方法を推奨する。詳しくは後述するが、どちらを使っても問題はない。

ただ、どの場合でも、最大の課題はテレビがある部屋までネットを引いてくることだ。有線LANであることが望ましいが、テレビ近くまでケーブルを引っ張れる家庭の方が少ないのが実情だろう。

そうなると、無線LAN(Wi-Fi)で接続するのが基本にはなる。自宅内でスマートフォンなどを使うために無線LANを導入しているのであれば、それを使うことになる。

ただ、無線LANを導入しておらず、自宅内でもスマホから直接ネットを利用している家庭もある。その場合には特別な「3つ目の方法」である、「スマホをテレビにつなぐ方法」を選ぶことになるだろう。だが、長期的なコストや利便性を考えると、正直おすすめはしない。また、使用可能なサービスへの制限もある(この点は後述する)。

要は、すでに自宅に有線もしくは無線LANがあり、スマホやPCなどで使っているならハードルはかなり低い、ということだ。

テレビ内蔵の「映像配信機能」を使う

前出のように、テレビで映像配信を見る方法は3つある。

1つ目は「映像配信を受信可能なテレビを使う」こと。現在販売されているテレビであれば、価格重視の製品を除けば、ほとんどの製品が備えている。いわゆる「チューナーレステレビ」も、映像配信に対応しているから放送=テレビを受信できないのに「テレビ」を名乗っている、と言える。

テレビの接続設定も、そこまで難しいものではない。有線LANであればケーブルをつなぐだけだし、無線LANについても、スマホでの接続設定ができる人ならすぐにできるだろう。どちらにしても、「リビングのテレビがある場所までネットを用意する」だけで、これは、次に紹介する「外付けデバイスを使う」場合でも同様である。

テレビの上での動画配信対応は、現状「アプリ対応」に近い構造だ。テレビ用のOSは複数あり、アプリなどの性質も異なるが、違いを気にする必要はあまりない。

テレビの場合、課題は「アプリの快適さには限界がある」という点だろうか。特に、5年以上前のテレビではかなり快適さに問題がある。今のものでも、スマホほどサクサクかというとそうではない。

これは、テレビに使えるプロセッサーがあまり高価なものでないこと、性能の多くが「映像を美しく表示する」ために使われている点にある。テレビの場合、コストの7割は液晶や有機ELなどのディスプレイパネルに使われており、プロセッサーに投下されるコストは数%に過ぎない。スマホの場合、プロセッサーコストは全体で4割を占める。だから、最新の製品同士を比較しても、スマホの方がずっと快適になる。

とはいえ、テレビには「画質が良い」という大きなメリットがある。毎年画質は進化している。購入してから1年・2年だと差は感じにくいかもしれないが、5年・10年と経過していると、最新の製品との差は大きくなっている。

高価なものなので頻繁に買い替えるべき……とは思わないが、10年近く使っているなら、こうしたタイミングで買い替えを考えてみていただきたい。「あんまり変わらないでしょ?」「画質にはこだわらないから」と言わず、家電店などで最新のテレビに触れてみてもらいたい。同じスペースでより画面が大きく、画質の良いものが、安価に買えるようになっていて驚くはずだ。

現在のテレビは、ネット配信でのノイズ除去を含めた高画質化にもコストをかけている。この点も、5年前・10年前との大きな違いでもある。

本命・外付けデバイス利用 「Fire TV Stick」の人気絶大

2つ目は「映像配信を受信可能な外付けデバイスをテレビにつなぐ」ことだ。

外付けデバイスをつなぐ方法は、テレビがHDMI端子を備えていればどんなものでもほとんど大丈夫であり、汎用性が高い。PC用ディスプレイやプロジェクターで楽しむ場合にも利用できる。

また、テレビ側の映像配信対応機能が古くなり、快適だと感じなくなった時にも有用だ。「サイズの大きな高画質ディスプレイ」としての価値は緩やかにしか落ちていかないので、数年単位で外付けデバイスの方を置き換えていけば、テレビを長く、快適に使っていける。

具体的には、Amazonが販売する「Fire TV Stick」やGoogleの「Google TV Streamer」、Appleの「Apple TV」を使うのが一般的だろうか。

中でもニーズが大きいのは「Fire TV Stick」シリーズだ。Amazon側によれば、他国以上に、日本でのFire TV Stickシリーズの売り上げは良いそうだ。それだけ、テレビにつないで映像配信を見る、という用途が多いのだろう。

Fire TVのホーム画面

Amazonの製品なのでAmazon Prime Videoが中心と思われることが多いが、NetflixやU-NEXTなどのライバルサービス、TVerなど、主要なサービスのほとんどに対応している。価格も7,980円からとかなり安価だ。

細かいことだが、安価な「Fire TV Stick 4K Select」とそれ以外では、ベースとなるOSが異なっている。そのため、「Fire TV向け」として公開されているアプリの中でも、Fire TV Stick 4K Selectには対応していないものがいくつかある。TVerを含む映像配信アプリは対応が進んでいるので問題は少ないが、気になる方はアプリの対応を確認しておいてほしい。

「Google TV Streamer」も機能的には問題ないが、Fire TV Stickシリーズに比べると価格が高いのが難点だろうか。使い勝手もそこまで大きな差がない。スマートホーム・ハブとしての機能があること、アカウントとしてGoogleが基本になり、Google Play Storeで映像コンテンツなどを買っている人がこちらを選ぶべき、と考えるのがいいだろう。

Apple TVは、とにかく動作が快適なのが特徴だ。プロジェクターやホームシアターへの対応なども、他の製品より進んでいる。Apple Arcade向けのゲームなども楽しめて、アップル製品ユーザー向けには特に親和性が高い。

ただ、Apple TVはTVerに対応しておらず、今回のようなパターンだと「このデバイスだけで満足」というわけにはいかないので、その点に留意が必要だ。

PlayStation 5を使うという方法もある。他のデバイスに比べてもさらに動作が速く快適である、ということに加え、2024年秋にTVerへと対応したことが大きい。他のゲーム機の場合、国内への映像配信への対応が弱い。

課題は価格だ。他の外付けデバイスが高くても2万円台までであるのに対し、PS5は55,000円から。ゲームをするなら良い選択肢だが、映像視聴のためだけに買う場合、ディスクドライブ付きの通常モデル(79,980円)となり、コスト面ではさらに不利になる。

「スマホのテレビへの接続」は課題が多い

最後に残るのが「スマホを直接テレビにつなぐ方法」。だが、これは例外としておきたい。

現在のスマホであれば、別売のUSB Type-C<>HDMI変換コネクターなどを使うと、HDMIを介してテレビにスマホを接続できる。

スマホの画面をテレビに表示できるようになるので、テレビの大画面で楽しめるわけだ。

だがこの場合、著作権保護などの理由から、映像がテレビに表示できない場合もある。その1つがTVerだ。公式に「HDMIケーブルを使ったモニター出力はできない」とされている。

TVer:HDMIケーブルや端末の機能を使用してミラーリング視聴はできますか?

ケーブルを買っても表示できない可能性がある上に使いやすいわけでもないので、ケーブル接続で切り抜けようとするのは正直お勧めしない。

スマホの画面をテレビに映すという意味では、テレビや外部デバイスが搭載している「Chromecast」「AirPlay」などの機能を使い、ワイヤレスでスマホの画面をテレビに転送する方法もある。が、これらの機能が使えるならテレビに映像配信を受信する機能があり、ネットも接続されているだろうから、「映像配信をテレビで見るためにスマホを使う」意味は薄い。

前出のように、「リビングや家庭内でスマホ以外を使ったことがない家庭」の場合、「テレビを囲んでみんなで見る」ことになると、ハードルが大きくなる、と考えていい。

テレビや外部デバイスのネット接続について、スマホの「テザリング機能」を使って対応する方法もある。ただその場合、毎回の接続が煩雑になるし、通信費の問題も出てくる。

この点から見ても、家庭のインフラとして、電話線以上にネット回線の整備が必須ということがわかる。

結局、いつかは必要になるものだ。高齢者の家庭などで簡単にリビングへと回線を整備する方法については、誰がどのようにサポートするのか、少し考える必要がありそうだ。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、AERA、週刊東洋経済、週刊現代、GetNavi、モノマガジンなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。 近著に、「生成AIの核心」 (NHK出版新書)、「メタバース×ビジネス革命」( SBクリエイティブ)、「デジタルトランスフォーメーションで何が起きるのか」(講談社)などがある。
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