いつモノコト

自宅仕事の眠気を防ぎたい。「CO2-mini」でCO2を測って暖房と換気を考える

仕事をしだすと眠いのは二酸化炭素のせい?

CUSTOM CO2MONITOR CO2-mini

自宅で仕事をしているとどうにも眠くなります。二酸化炭素の濃度が高いと眠くなる……そんな話を聞いて購入したのが、この二酸化炭素の濃度を計る「CO2-mini」です。2019年の1月くらいのことでした。

当時、色々探した覚えがありますが、現実的に購入できるものとしては、単体で二酸化炭素の濃度と気温を交互に表示する「CO2-mini」しかありませんでした。本当はパソコンに繋げて記録できるものが欲しかったのですが当時は見つけられず、最近になって、NETATOMOのウェザーステーションであれば、二酸化炭素のほか気温・湿度・気圧・騒音などが無線LANを通じて、パソコンやスマートフォンから確認できると知りました。ただ、現在は国内代理店がないようです。

microUSBは電力供給用。パソコンにつなげてデータが取れるといったような機能はありません。モバイルバッテリーなどを繋げれば、色々なところの二酸化炭素濃度が計測できます

'19年1月に入手したわけですが、二酸化炭素の濃度の推移などについての記録は付けていません。それは、早々に日常生活では眠気に関わるほど二酸化炭素の濃度が上がらないし、CO2-miniの値を見ているだけで積極的に換気したくなるからです。

室内の二酸化炭素の濃度は抑えた方がいいといわれています。調べてみると、いくつか法令で定められているようでした。

・事務所衛生基準規則 5,000ppm以下。空気調和設備からの空気は1000ppm以下
・学校環境衛生基準 1,500ppm以下
・建築物環境衛生管理基準 1,000ppm以下

また2,500ppmくらいで作業効率が落ちるという研究もあるようです。車では外の空気を取り入れる外気循環が基本で、ときによって内気循環にするという使い方をするのも、車内の二酸化炭素の濃度が上がり過ぎないようにするためのようです。

ちなみに、気象庁のデータを見ると大気中の二酸化炭素の濃度は1980年代後半は340~350ppmだったのが、近年では400ppmを超えるようです。ただ、環境にもよりますし、私の仕事部屋では入った直後はだいたい370~480ppmくらいです。

気象庁 二酸化炭素濃度の経年変化より。外の二酸化炭素の濃度は増えていますが、だいたい400ppmというところです

なお、ppmはparts per millionであり、100万分の1ということになります。1ppmは0.0001%です。二酸化炭素による健康被害は、数パーセントから起きるようです。つまり、数万ppmということになりますから、日常ではドライアイスの入った袋に顔を突っ込んだりしなければ、そうは起きない状況です。

1,500ppmくらいで眠くなるという記述も見つけましたが、もっと高い数値を例示している文章もあります。また、人によっても体調によっても異なるようです。

できれば室内は1,000ppm以下に抑えた方がいいのは確かですが、事務所衛生基準規則では5,000ppm以下ですし、1,000ppmを少し超えたくらいでは目くじらを立てるほどではなさそうです。

換気の目安としての二酸化炭素の濃度

人は酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出します。なお空気中の酸素濃度は約21%(210,000ppm)なので、二酸化炭素の濃度とはケタが違います。

当然、密閉された空間に人がいれば、二酸化炭素の濃度はどんどん上がっていきます。昨今は、新型コロナウィルスへの対策として、換気の目安に二酸化炭素の濃度を測ることもあるようです。

なみに私の四畳半の仕事部屋で窓を閉め切っていると、1時間くらいで1,400ppmくらいまで上がります。1,000ppmを超えても目くじらを立てるほどではないと書きましたが、大きく超えるのは躊躇してしまいます。CO2-miniは作業机に置いているのですが、1,500ppmを超えると、そろそろ換気しようかなという目安になります。

問題は冬場です。仕事部屋での暖房器具は石油ファンヒーター。温かいのですが、灯油を燃やして二酸化炭素を吐き出します。こちらは、出力を最小の設定にしていても窓を閉め切ってしまうと着火後わずか10分もすれば2,000ppmを超えます。放っておくと30分も経たずに3,000ppmを超えます。

CO2-miniが計れるのは最大で3,000ppmということもあり、さすがに積極的に換気したくなります。

液晶の左にあるランプは、二酸化炭素濃度によって変わります。800ppm以下で緑、1200ppmまでは黄色、それ以上になると赤く点灯します

現状では、CO2-miniの値が2,000ppm以下くらいに収まるように換気と石油ファンヒーターの出力を調整しています。換気は窓を少し開けたり、換気扇を回すなどしています。二酸化炭素の濃度が上がり過ぎるのも問題でしょうが、仕事にならないくらい寒いのも健康に悪そうなので、それはそれで論外です。

ただ、そうして分かってきたのは、暖房機器の使い方や換気の仕方によって、二酸化炭素の濃度の上昇にはかなりの差があるということです。1時間に一度換気を……などと言われますが、少なくとも私の仕事場で石油ファンヒーターをつけ、窓を閉め切って使うのは現実的ではない気がします。

3,000ppmを超えると「H1」という表示になります。初めて見たときは壊れたのかと思ってしまいました。

眠くなるのは複合的な要因

締め切った部屋で20度以上になるように石油ファンヒーターをつけていると、たまにぼーっとしてくることがあります。ただし、常にそうなるというわけでもありません。

そして、二酸化炭素の濃度を気にしていると、それ以外の要因で眠いのかもしれないと気づきます。二酸化炭素の濃度が低くても椅子に座ったまま寝てしまうこともあるのです。まず食後。血糖値が上昇すると眠くなるということがあるようです。それと風呂上り。入浴で身体を温めると眠りやすくする効果があるようです。寝不足なら当然眠くなりますし、疲れて眠いということもあります。そうした眠い時は、そもそも机に座っても仕事は手につかないものです。

専門家ではないので、健康に関することは断定できませんが、二酸化炭素の濃度以外にも眠くなる要因は様々というのはたしかです。CO2-miniを買ったことで、二酸化炭素による眠気の因果関係は分かりませんでした。ただし、あっという間に二酸化炭素が増えることは確かですし、換気によって容易に減らせることも分かりました。

そして換気しながら暖房器具を使うと、当然閉め切っているときよりも効率は悪いことにも気づきます。石油ファンヒーターの設定を一番火力が弱い状態にしても、窓を閉め切っていれば十分な室温になりますが、換気を併用すると、風の流れもあり寒い日だと暖かい恰好をしていないと辛いものがあります。

石油ファンヒーターではなくエアコンであればもっと二酸化炭素の濃度の上昇は抑えられるでしょう。夏場も辛いことですし、光熱費も抑えられそうなので、そろそろ仕事部屋にエアコンを入れようかと考えています。

猪狩友則

フリーの編集者、ライター。アサヒパソコン編集部を経て、2006年から休刊までアサヒカメラ編集部で編集者。その他ムック等の編集、ソフトウェアの使い方や各種仕組み解説、スマートフォン関連の執筆もおこなう。趣味はマイル修行。