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NTT、AIネイティブ基盤「AIOWN」展開 データセンター規模を3倍に
2026年4月27日 18:29
NTTは27日、AI活用の急速な拡大を背景に、AI活用の進展に合わせたリソース最適化・オペレーションを実現するAIネイティブインフラ「AIOWN」の展開を発表した。AIの用途に応じてGPUやネットワーク、電力などを最適に配分する次世代インフラとして推進する。
AI活用は汎用的な業務効率化から、企業のコア業務や専門的な業務、フィジカルAIへと広がっている。これに伴い、AIワークロードは学習中心から推論中心へと移行しており、推論ワークロードは2030年で4倍以上に増加すると見込まれている。
こうした変化により、AIが中核に据えられたインフラ(AIネイティブインフラ)では、GPUの発熱対策や、分散配置されたデータセンターやサーバー間をつなぐ低遅延ネットワーク、機微なデータを扱うためのセキュリティ、エッジを含むインフラ設計などの要件がこれまで以上に求められている。
AIOWNは、車やロボットなどのエッジまで広がる広範なコンピューティングリソースを統合的に運用するインフラ構想。AIの用途に応じてGPUやネットワーク、電力といったリソースを最適化し、一元的に管理する。
AIOWNを支える技術要素として、GPUの発熱を抑える液冷技術、低遅延・低消費電力を実現する光電融合インターコネクト/ネットワーク、機密データを安全に扱うためのソブリンAI、用途に応じた分散基盤の最適化、AI向けネットワークの5つを展開。
これらを組み合わせ、国内最大規模のデータセンター基盤を活用しながらAIネイティブインフラの構築を進める。
NTT 代表取締役社長 社長執行役員 CEOの島田明氏は、AIOWN構想に伴うインフラ環境の拡張計画について説明。33年度までにデータセンターの規模を3倍超へ拡大し、IT電力容量を約300MWから約1GWへ引き上げる。都市型、遠隔地型、郊外型を組み合わせて展開する方針を示した。
29年には品川区と福岡市にAI対応データセンター、栃木市に大規模データセンターを開設し、30年以降には千葉県白井市に国内最大級のデータセンターを設ける。
また、NaaSからGPUaaSに加え、複数拠点のGPUリソースを統合的にAI利用にあわせて柔軟に利用できるようにするリソースマネジメント機能も展開していくという。
トヨタ「フィジカルAI時代は好機」
パネルディスカッションでは、トヨタ自動車 CISO デジタル情報通信本部長の山本圭司氏とNTTデータ 代表取締役社長の鈴木正範氏が登壇。山本氏は、遠隔運転や事故の多い交差点をデジタルツイン化して危険を察知する実証を通じて、NTTのIOWNや分散型計算基盤のポテンシャルや将来性を感じたという。
同氏は、日本の製造業にとってフィジカルAIの活用が大きな好機になると述べた。かつて世界をリードした日本のものづくりは、海外生産の進展などにより総合力が停滞しているとしつつ、AIを活用して現場の技を学習・継承することで、再び競争力を高められる可能性があると語った。
その実現には、レガシーな工場を含めてネットワークを整理しながら段階的にデジタル化を進めることが不可欠だと説明。最終的には、あらゆる工場を繋いで日本規模のデジタルツインを構築し、AIドリブンな生産現場につなげる必要性を示した。
これに対し鈴木氏は、NTTデータでは、企業の経営課題を解決するAI活用と、それを支える次世代インフラの2つの領域に注力していると説明。特に山本氏が指摘したAIインフラの段階的な拡張には、顧客のニーズにあわせて最適なサービスを提供するマネージドサービスが重要になると述べた。
また、複雑なネットワークを効率的に結ぶソフトウェア定義ネットワーク(SDN)技術の活用や、グローバルなパートナーとの連携にも触れつつ、日本のものづくりを支えるためには国内で自律的に構築・運用できる主権性を担保した情報基盤が極めて重要であると語った。
中国電力 執行役員 デジタルイノベーション本部長 鎌倉仁士氏とNTTドコモビジネス 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 小島克重氏によるディスカッションでは、電力業界のAI活用がテーマとなった。
中国電力ではNTTのLLM「tsuzumi 2」をいち早く導入しており、鎌倉氏は降雨量などの気象予測からダムへの流入量を予測して30分単位の最適な水力発電計画を策定したり、石炭とバイオマスの特性から最大4,000通りのブレンドパターンを弾き出す火力発電の燃料運用最適化といった、実務レベルのコア業務への適用事例を紹介した。
その上で、コア業務への適用が現場や複数拠点へと広がるほど機密データを守るセキュリティ統制が難しくなると指摘。また、AIの普及による電力需要の増大を見据え、再生可能エネルギーの活用やリスク分散の観点からデータセンターを地方へ分散配置し、電力の供給状況に応じて負荷を柔軟にシフトさせる仕組みが持続可能な社会に向けて合理的であると語った。
小島氏は、外部に出せないデータを扱うためのソブリン性を重視した設計に加えて、あらゆる端末に個別のセキュリティを施すことは物理的・コスト的に不可能であるとし、分散環境でも「通信の通り道で守る」ネットワークセキュリティの重要性を強調した。
そして、データ処理量が増大し分散化が進む中では、個別の最適化ではなく、コンピューティングや電力を含めたAIインフラ全体をマネジメントして最適に制御していくことが重要だと指摘した。
同氏は、電力業界と連携しながら社会全体で最適にAIを活用できる基盤を実現し、自律的に分散しつつも協調する豊かな社会の実現に貢献していきたいと締めくくった。


























