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NTT、光ネットワーク全長を“診る”機能を通信用チップに搭載 世界初
2026年5月27日 10:00
NTTは、光ネットワークの受信端に設置される小型光トランシーバのみを用い、通信しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を、世界で初めて通信用デジタル信号処理(DSP)チップに搭載した。光ネットワークをエンドツーエンドで常時監視でき、運用保守が大幅に効率化するとしている。
AI需要の急拡大に伴い、データセンター間光ネットワークや基幹光ネットワークの大容量化・広域化が加速している。大容量光ネットワークの拡大に伴い、安定運用の重要性もこれまで以上に高まっている。
光ネットワークを安定的に運用するためには、光信号パワーを光ネットワーク全長にわたって把握し、異常な損失箇所を早期に発見・特定することが重要となる。従来、このような把握にはOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)などの専用測定器による測定作業が必要とされ、運用保守のコストや、通信サービスを提供しながら常時エンドツーエンドに監視することは困難な点が課題だった。
NTTはこれまで、測定器を用いずに、光トランシーバで受信される通信信号のみから光ネットワーク全長の光信号パワーを可視化する技術を開発してきた。しかしこの技術には莫大な計算リソースが必要とされることから、実証は外部計算機等を用いた原理実証にとどまっており、実際の光ネットワークに広く導入するためには、商用の光トランシーバへの搭載が不可欠だった。
今回の研究では、光ネットワーク全長を可視化する機能を、光トランシーバ内部の通信用DSPチップ上に搭載し、動作実証に成功。新たに開発した独自技術により可視化に必要な計算処理量を従来比100分の1に削減することで、消費電力・実装面積の制限が厳しい通信用DSPおよび小型光トランシーバへの搭載が可能となった。その結果、光ネットワークの異常箇所を特定できる世界初の光トランシーバを実現した。
同技術による測定結果は、専用測定器(OTDR)による測定結果と良好に一致しており、異常箇所の特定に十分な精度をもつことが確認されたという。
実験では、ネットワーク可視化技術をNTTイノベーティブデバイス社製の通信用DSPチップに実装。本DSPを搭載した小型プラガブル光トランシーバ(OSFP:Octal Small Form Factor Pluggable)により、標準的な通信信号(800ZR+/400ZR+)を受信・処理するだけで、最大1,005kmに及ぶ光ネットワークにおける複数の光パワー異常を位置特定できることを実証した。
他社製の光トランシーバからの送信信号を受信した場合にも正常に動作し、マルチベンダ環境を含む実際の光ネットワーク環境への適用が可能であることも確認。また、測定中に通信品質・消費電力への影響がないことを確認しており、通信しながら光ネットワーク全長にわたって分布的にモニタリングが可能であることを実証した。
光トランシーバが“自ら異常を見つける”ことは、従来の光トランシーバにない革新的な機能とし、光ネットワークの運用保守での大幅な効率化を見込む。NTTは今後、IOWN APNをはじめとした光ネットワークへの同技術の実装を進め、AI時代を支える大容量光ネットワークの常時監視と自律運用の実現に向けた研究開発を加速させる。


