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NTTとJAXA、低軌道衛星でのMIMO通信を実証 伝送量向上へ

NTTは、JAXAと共同で低軌道衛星MIMO技術と衛星センシング技術の軌道上実証実験を開始した。

世界初の「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」に向けた試みで、2025年12月14日に打上げた革新的衛星技術実証4号機(小型実証衛星4号機)に搭載している低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置(LEOMI)を活用。MIMO方式による信号処理が想定どおり行なわれることを確認した。

この技術の確立により、将来的には地上通信網が整備されていない海洋や山間部等でのIoTデバイス活用やセンシングサービスなど、世界中であらゆるものがつながる世界を実現する、超広域省電力センシングサービスへの応用が期待される。

近年、SpaceXやAmazonなどが牽引する低軌道衛星分野は急成長しているが、今後も衛星による高精細観測情報の取得などさらなる活用が見込まれ、伝送容量の拡大が必須になってくる。

MIMO技術は地上の通信インフラでも使われている通信技術。周波数利用効率を高め、伝送容量の向上を図る技術で、送信機と受信機の双方が複数のアンテナで通信を行なうことで実現する。

衛星=地上間においても同様のしくみで、衛星から同一周波数で複数の信号を送信し、地上側で受信信号を集約したうえで同期・チャネル推定・等化処理を行ない、信号を分離する。

衛星センシング技術においては、地上の複数のLPWA方式のIoT端末から同一時間・周波数で送信し、複数端末の同時通信を実証する。衛星IoTプラットフォーム実現に向けた実証で、衛星IoTネットワーク利用時の端末電池寿命が、地上IoTネットワークを利用するときと同等の年単位になることを検証する。これにより小型で省電力のIoT端末が衛星のみで地球上どこでも利用可能になることが期待される。

今後1年間、衛星MIMO/IoTの実証実験を行ない、技術確立を目指す。衛星MIMO技術とIoT技術を確立することで、衛星通信の大容量化と小型端末の大規模収容の実現を可能にする。また将来的には、観測衛星の高精細な画像・レーダー情報の取得高度化にもつながり、気象情報、地形変化、海洋観測、災害予測などの観測精度の向上にも寄与する。

さらに、IoT端末側では利用地域に地上基地局を設けなくても、インフラ設備の点検、環境モニタリング、スマートメータ等で用いられるIoTサービスを低コストかつ広域に展開することが期待される。