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住信SBI、新社名は「ドコモSMTBネット銀行」

NTTドコモは19日、連結子会社化した「住信SBIネット銀行」の新社名を「ドコモSMTBネット銀行」に決定した。商号の変更は、2026年8月3日を予定しており、今後ドコモのdポイントなどと銀行サービスの連携を強化していく。

NTTドコモと、三井住友信託銀行(Sumitomo Mitsui Trust Bank/SMTB)が共同出資することから行名を「あえて気をてらわない名前」(NTTドコモ前田社長)に決定した。ドコモは5月に住信SBIネット銀行の子会社化を発表し、10月に連結子会社化していた。その際の持分比率はドコモが約66%、三井住友信託が約34%だが、両社のパートナーシップを強化するため、住信SBIネット銀行の資本再編を行なう。

具体的には、12月25日にドコモが保有する住信SBIネット銀行の普通株式の一部(約500億円)を三井住友信託銀行へ譲渡するほか、住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行を割当先として第三者割当増資を実施する。この取り組みにより、持分比率は三井住友信託が44.6%、ドコモが55.37%となり、議決権比率は50:50となる。

こうした資本政策とともに、住信SBIネット銀行のサービスに、ドコモの通信・生活サービスとの連携、三井住友信託銀行の専門知識やライフプランニングと資産形成の提案などを追加。ターゲット層をネット銀行の若年層から信託銀行の高齢層まで幅広くカバーしていく。

NTTドコモ 前田 義晃社長、住信SBIネット銀行 円山法昭社長、三井住友信託銀行 大山 一也社長

銀行口座利用でdポイント 住宅ローンも優遇

ドコモは銀行業へ本格参入する。10月からはサービス名称を「d NEOBANK」とし、ドコモの「d」を冠したサービスブランド名としていたが、今後は、dポイントや「d払い」「dカード」などのドコモのサービスと、銀行口座など住信SBIネット銀行のサービスを連携した金融サービスを提供していく。

具体的には、2026年8月を目処に、銀行口座利用でドコモの「dポイント」を貯められるサービスを強化。また、「dカード」の引き落とし口座を住信SBIネット銀行に設定し、dカードで街のお店で支払うと、dポイント還元率がアップする特典を提供予定。

さらに、ドコモサービス契約者向けに住信SBIネット銀行の住宅ローンを優遇する施策も準備中という。

また、住信SBIネット銀行とマネックス証券のサービス連携も強化し、口座間の資金移動をスムーズにする「スイープ」機能に対応予定。ドコモ、住信SBIネット銀行、マネックス証券のサービス連携を強化していく。

ドコモでは、この連携により、金融サービスの強化や経済圏の拡大を図るだけでなく、顧客の「解約」を大幅に削減できると見込む。ドコモ前田社長によれば、dカードの利用者は、その他の顧客に対して、解約率は1/3以下となっており、金融サービスの使いやすさが長期的な関係構築に効果的と説明。住信SBIネット銀行とのサービス連携は、「確実に効果があると考えている」とした。

目標とする口座数などは明らかにしていないが、銀行サービスを自社に取り込むことで、「2030年ごろまでに金融サービスの売上を現在の倍にもっていきたい」としている。

三井住友信託銀行との連携を強化

また、三井住友信託銀行もより積極的に住信SBIネット銀行(ドコモSMTBネット銀行)と連携していく。

「三井住友信託NEOBANK」において、住宅ローンの取扱を拡大。魅力的な金利と手厚い保障により、相談から申込みまでを三井住友信託銀行がワンストップで対応する。

従来は、三井住友信託銀行も住宅ローンを積極展開していたが、今後は「定型化された住宅ローンは住信SBIネット銀行に寄せていき、(三井住友信託は)富裕層の融資などにリソースを向けていく」(三井住友信託銀行 大山 一也社長)とした。

一方、三井住友信託銀行と住信SBIネット銀行の商品・サービスを一体的に利用可能とし、三井住友信託ファンドラップなどの資産運用・不動産・相続などの商品・サービスを、住信SBIネット銀行の顧客向けに順次提供する。

既存の三井住友信託銀行の利用者にも、日常使いに便利な口座として「三井住友信託NEOBANK」を一体的に利用できるように、両口座の連携を強。さらに、住信SBIネット銀行経由でプライベートアセットへの投資機会を提供することも計画している。

三井住友信託銀行は、住宅ローンや普段使いの銀行サービスを、住信SBIネット銀行に寄せる一方で、住信SBIネット銀行からの資産管理・承継領域の送客などを大きく伸ばしていく狙い。ドコモの契約者でも年間数十万件の死亡解約があり、現在はそこから相続等のサービスに繋げられていない。こうした接点を使った三井住友信託銀行のサービス提供や、長期的な相続対応の案内などを予定している。

ドコモと三井住友信託銀行の連携においては、三井住友信託銀行の資産管理アプリ「スマートライフデザイナー」でポイントをためられる「Smart Life Designerポイントプログラム」を26年1月13日に開始。たまったポイントは、26年3月31日以降からdポイントに交換できるようになる。また、26年度を目途に、三井住友信託銀行の「株主パスポート」アプリでも、たまったポイントをdポイントに交換できるよう検討している。

さらに、NTTグループ関連資産を活用した、小口投資商品なども開発、販売予定。

AI銀行サービス「NEOBANK ai」

住信SBIネット銀行においては、2026年8月以降にドコモサービス利用での「dポイント」の付与が強化されるほか、ドコモサービス契約者向けの住宅ローン優遇やdカード等の利用によるポイント還元のアップを予定。ドコモのデータを活用したパーソナライズサービスなども強化していく。

また、住信SBIネット銀行が進めてきたBaaS事業も継続し、パートナー企業の顧客基盤を活かしたバンキングサービスを展開。dポイントも連携可能となることで、Baas(Banking as a Service)だけでなく、「エコシステム as a Service」として強化していくという。

アプリやサービスもAIを活用して強化。AI銀行サービス「NEOBANK ai」エージェントを26年2月から開始し、12月19日からはベータテスターの受付を開始している。

「NEOBANK ai」では、「〇〇さんに3,000円」など音声での振込依頼のほか、デビットカード明細のAI分析、「引っ越し」に関する質問に対する手続き案内など様々なAIアシスタント機能をアプリ上に実装。アシスタントと会話するような操作感で、銀行サービスを利用可能にする。