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プロ野球中継をIOWNで中継車不要に 関テレとNTT西

NTT西日本グループと関西テレビ放送は、9月6日に京セラドーム大阪で開催されたプロ野球公式戦「オリックス対日本ハム」の地上波中継で、IOWN APNを活用し、データセンターに集約した制作設備を遠隔操作するリモートプロダクション環境を構築・運用した。

西日本エリアのプロ野球地上波放送で、制作機能をデータセンターへ集約し遠隔から番組制作を実現した初の取り組みとなる。

イベント会場での映像制作では、制作機器を搭載した中継車を利用するのが一般的だが、機材や人材の配置場所の制約や、車両維持費、スタッフを含めた派遣コスト、制作環境構築のためのリードタイムが課題だった。

今回の取り組みでは、IOWN APNの大容量・低遅延・ゆらぎなしの特徴を生かし、データセンターと京セラドーム大阪、関西テレビ本社を「All-Photonics Connect powered by IOWN」で接続し、IPスイッチャーやPTPグランドマスターなど中継制作の主要な制作機能をデータセンターに集約。

関西テレビ本社から超低遅延ネットワーク経由でデータセンター上の制作設備を遠隔操作し、スイッチャーやミキサー担当者が現場に不在でも地上波向けの高品質な番組制作が可能なことを検証した。CCU(Camera Control Unit)不要のスタジオカメラ運用も確認している。

技術面では、映像スイッチング時にも遅延を意識せず現場同様の操作感を実現。データセンター、会場、本社の安定した時刻同期が可能であることも確認した。今後この手法が確立されれば、中継車手配や大規模設営を省力化でき、制作稼働の効率化、設備投資・維持管理コスト、構築リードタイムの削減が見込まれる。

NTT西日本グループは今後、放送事業者が共通で利用できるデータセンター集約型のメディア向けIP設備の構築を推進し、IOWN APNを活用したリモートプロダクションの高度化と標準化を進める。IOWN APNに対応した中継拠点の拡大も予定している。