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NTTとTBS、IOWNで3000km離れたGPU活用するバーチャルプロダクション
2025年11月17日 09:00
NTT、TBSテレビ、TBSアクトの3社は、映像・音声プロダクションの効率化と高度化を目的として、約3,000km離れた拠点間のバーチャルプロダクションにおける映像制作向けゲームエンジンのリモートGPUをIOWN APNで接続する実証に成功した。これにより高品質な映像制作が拠点規模によらず広範囲で実施可能になる。
映像制作においては、多くのスタッフを現地に派遣する必要があるという業務効率化の課題や、人口減少による映像・音声系技術者数の不足といった課題がある。
バーチャルプロダクションは、現実の被写体と仮想空間をリアルタイムで融合して撮影する映像制作技術で、LEDウォールに映し出した背景映像と、手前の実写被写体を同時に撮影する。
実際のロケーション撮影や大規模なセット構築が不要で、撮影後の合成作業を大幅に短縮できるほか、リアルな照明演出により演者の演技を引き出しやすくなるなど、コスト削減とクリエイティブの自由度向上の両立を実現する。一方で映像処理に多くのGPUを必要とするため消費電力、構築期間などが新たな課題となっていた。
今回の取り組みでは、従来同一拠点内に設置していた映像制作向けGPUを、柔軟に割り当てできる遠距離にある拠点の共通基盤に設置し、IOWN APNで接続。リモート化に伴うさまざまな拠点間のデータをIOWN APNにより低遅延で伝送できることを確認。
具体的には、バーチャルプロダクションに用いる映像制作向けゲームエンジン(Unreal Engine)の時刻同期やカメラや照明の座標情報など、連携に必要なさまざまなデータの伝送に成功。撮影カメラとLED背景の間で5フレーム(約84ms)の低遅延を確認し、従来のようなスタジオにあるGPUを使う場合と変わらない品質で映像制作業務が可能であることを実証している。
GPUを柔軟でスケーラブルに割り当てる共通基盤との長距離リモート接続が可能であることも実証した。
NTTでは今後もIOWN APNを放送局や各制作拠点に展開し、映像・音声制作業界全体のプロダクションDXを推進する。
なお、同技術は11月19日~26日に開催されるNTT R&D FORUM 2025 IOWN∴Quantum Leapに展示予定。

