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ガバメントAIを加速し「デジタル庁2.0」へ

浅沼 尚デジタル監

デジタル庁は5日、2025年デジタル庁活動報告を開催した。浅沼 尚デジタル監が、発足から4年間の歩みを振り返るとともに、「ガバメントAI」や今後のマイナンバーカードの強化、行政サービスの刷新などについて説明した。

マイナンバーカードについては別記事でまとめているが、ここでは「ガバメントAI」や「デジタル庁2.0」を目指した組織強化などについて紹介する。

社会全体のデジタル改革と「ガバメントAI」

浅沼 尚デジタル監は、2021年のデジタル庁発足からの歩みとともに、「行政デジタル改革による社会の変化」について紹介。マイナンバーカードやマイナポータルの普及により、行政手続は「営業時間に窓口に行くからいつでもどこでもへ」に刷新され、手続き事務が大幅に減ったことを強調した。

マイナンバーカードの保有率も39%から79%まで拡大したほか、マイナ保険証やマイナ免許証など、活用の幅も広がり、「日常生活でマイナンバーカードの機能を簡単、安全に使える環境が整いつつある」とした。

それらを活用する行政の側でも、「アナログ前提の制度からデジタル前提としたもの」に置き換わりつつあり、アナログ規制点検などの取り組みに言及。「制度の見直しが、単なる業務のデジタル化だけでなく、行政のやり方の見直しにつながっている」とした。

行政そのもののデジタルインフラも転換し、ガバメントクラウドやガバメントソリューションサービスの導入も進んだ。自治体システム標準化についても、「着々と進めているところ」と言及している。

「行政のデジタル変革」という5年間の取り組みの成果をベースとし、今後の取り組みは「社会全体のデジタル改革推進」と説明。「行政のデジタル改革から社会全体のデジタル改革へ。AIフレンドリーな国家を目指す」(浅沼デジタル監)。

日本社会においては、「人口減少と労働力不足」「デジタル競争力の向上の必要性」「持続可能性への脅威」「デジタル人材の不足」など課題については枚挙にいとまがないが、デジタル庁としては基本は「制度」「業務」「システム」の三位一体の改革が必要と説明。

その中でも重点的な取り組みとして挙げるのが、以下の5点となる。

  • AIを社会全体で徹底的に活用すること
  • AIが使えるような制度ルールを整える
  • 産業や事業が成長できるよう、データ利活用を整える
  • 社会全体でデジタルを安全安心に整える
  • デジタル推進のためのデジタル人材の育成と行政による後押し

特にAI活用については、「社会全体でAI活用のため、行政自らが活用する必要がある」とし、官公庁で活用できる「ガバメントAI」を加速する。ガバメントAIは、デジタル庁が開発・提供を進めているデジタル政府基盤で、2026年から本格導入し、将来的には地方自治体への展開を進める。

ガバメントAIでは技術的な検証とともに、政府のデータを使いやすく用意するほか、AIを使うためのルール整備、活用基盤のための業務サービスを作るなど活用環境の整備もデジタル庁が担当する。

デジタル庁2.0を目指す

また、マイナポータルの強化や事業者向けの「Gビズポータル」など利用者視点のサービス拡充を行なうほか、データ連携・利活用の仕組みづくりなど、国や地方自治体のシステム最適化などを進める。

デジタル庁の今後の組織体制については、「AI・データを最大限に活用する行政組織」を掲げ、1,500名体制まで拡大。政策立案などの官房機能と、開発などを担う企画機能の分担を明確化しながら、体制を強化していく。

システムについては利用者体験を重視しながら、内製開発を推進。政策立案から実装までの時間を短縮するほか、対応力を強化する。「AI時代に適応するためには、政策の立案・実装・分析・改善をさらに高速にする必要がある」とした。こうした組織体制を「デジタル庁2.0」とし、社会全体のデジタル改革を推進していく。

一人ひとりの暮らしの中へ|デジタル庁政策広報映像