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デジタル庁2周年、1000名体制に 行政手続きオンライン化を推進

浅沼 尚デジタル監

2023年9月1日、デジタル庁が発足から2年を迎えた。1日には浅沼 尚デジタル監がこの1年の活動報告を行ない、1,000名体制への組織拡大や行政や国民サービスのデジタル化の現状について説明した。

浅沼デジタル監は冒頭、マイナンバー関連の誤登録などの事案について謝罪。進行中の「総点検」に加え、自身も人員の再配置や再発防止などに取り組んでいると言及し、信頼回復に努めるとした。また、刷新されたマイナポータルβ版において、紐付け誤りや、ログイン履歴の確認が簡単に行なえることを紹介。さらに、情報提供履歴の確認も簡単に行なえるよう、マイナポータルのインターフェイスを年内に改善する。「国民の安全・安心につながるサービスを優先的に提供する」とした。

この1年の成果としては、「行政手続きのオンライン化」を強調。主な行政手続きをオンラインで可能とし、窓口に行くことなく手続きが完了できるようにした。

マイナポータルの登録者数は2022年7月から3.6倍の約6,410万人まで拡大。子育て・介護関係の手続きがオンライン化された自治体の割合も65.1%まで拡大し、オンラインでの行政サービス環境は1年で大幅に改善された。

デジタル活用の推進(出典:デジタル庁)

マイナンバーカードの保有率は71%。公的個人認証サービス利用事業者数は、昨年度の31倍の450件まで拡大した。マイナンバーカード健康保険証としての利用登録累計数は、'22年8月から4.3倍の約6,550万件、公金受取口座の登録数は6割超えの60.9%、公金受取口座を利用する自治体は70.4%。

アナログ規制の撤廃も(出典:デジタル庁)

アナログ規制の撤廃も推進。デジタル化を妨げる条項は9,669条項がリストアップ(前年比5,776条項増)された。また、政府機関の職員が柔軟に働けるよう、府省庁にガバメントソリューションサービス(GSS)の導入を推進したほか、ガバメントクラウドへの移行も1年で86件増の130件となり、行政におけるセキュリティ対応も強化された。

ガバメントクラウドへの移行(出典:デジタル庁)

マイナンバーカードを活用できるサービスも拡充。2月に全自治体で開始した、引越し手続きのオンライン申請は、約38万件の申請が行なわれた。また、デジタル田園都市国家構想交付金により、行政・健康・医療など、約560マイナンバーカード利活用サービスが各自治体で実装された。

マイナンバーカードの利用シーンを拡大(出典:デジタル庁)

さらに、エンタメ分野での活用や、コンビニセルフレジでの酒・たばこ販売時の年齢確認サービスなど約460の民間事業者でもマイナンバーカード活用が広がっている。5月にはスマートフォンに電子証明書搭載するサービスをAndroidで開始。順次対応サービスを拡大するほか、iOSについても搭載への検討を進める。

マイナンバーカード・マイナポータルの活用が広がる(出典:デジタル庁)

デジタル庁の組織も刷新され、特に大きく変わったのが「経営企画室」の設置。デジタル大臣・デジタル監・デジタル審議官の意思決定をサポートする役割を担い、デジタル庁全体の戦略や方針の検討、合意形成、情報集約・共有、グループ横断的な課題抽出などを行なう。また官房機能も経営企画室が担当する。

経営企画室を設置(出典:デジタル庁)

経営企画室では、13プロジェクト群において、関連するプロジェクト間の情報共有を担当。プロジェクト群ごとに目標や計画を設定し、意思決定やプロジェクト群内での進捗管理、優先順位づけを合理的に実施できるようにした。また、セキュリティインシデントや個人情報漏洩事案についての連携強化や、サービスの瑕疵や法令違反の疑いなど、リスクを速やかに把握・共有し、対応できる体制を構築。これらにより、提供するサービスの品質向上を目指す。

組織体制も1,000名を超え、多様な雇用形態を持つ新たな組織となったとする。専門人材確保のための専門人材ユニットも20ユニットに拡大(昨年は12)。行政出身、民間出身、自治体職員出身者らが共存している。

浅沼デジタル監は、今後注力することとして、「生活者や利用者視点の徹底」と国民が使う基盤としての「安心・安全を支える仕組み」と強調し、「全てのサービスに活かしていく」と述べた。