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エレコム初の半固体電池モバイルバッテリー 高い安全性と充電回数4倍

エレコムは、同社初となる「半固体電池」を採用したリチウムイオンモバイルバッテリーを3月に発売する。10,000mAhモデルが3月、5,000mAhモデルが春に発売される。価格は10,000mAhが8,480円、5,000mAhが6,280円。

従来の電池は、電池に含まれる電解液内でリチウムイオンが正極と負極の間を移動している。半固体電池では、液漏れのリスクを低減するため電解液をゲル化。発火事故の一因とされている、可燃性有機電解液の使用量を削減し、内部短絡(ショート)時の可燃性ガス発生、放出を抑制。安全性を向上する。

半固体電池と呼ばれる製品を搭載する商品は市場にすでに出回っているものもあるが、実は半固体電池については、業界として決まった定義がないという。全固体電池には電解液が存在せずセパレーターもないなど、明確な定義があるのに対して、半固体や準固体電池には現時点で定義がなく、バッテリーセルを開発するメーカーの自称になっている。

このため、同じ半固体電池を採用するといっても、「半固体電池だから安全」と言い切ることはできず、実際に安全性では従来のリチウムイオン電池と変わらない安全性しかない製品も多い。

エレコムは半固体電池の定義を独自に設定。「電解質がゲル状」であることと、独自試験によって「従来のリチウムイオン電池と比較して安全性が高いもの」の2つを軸として定義した。

半固体電池は、電解液をゲル状にしたことから、可燃成分の揮発性が低く、ガスが放出されにくいことから発火しにくい。また、熱が拡散しやすいのも特徴で、液体の場合は局所的に発熱が高くなることで発火に繋がることがあるが、ゲル状であることから熱がうまく分散するため、発火しにくくなる。液漏れリスクもゼロではないが低くなっている。

すでに市場には半固体電池を搭載したモバイルバッテリーは販売されているが、同社では市場に出すタイミングが他社よりも遅くなった理由について、安全性を優先した結果としている。

同社では2024年秋ごろから開発に着手したが、他社で採用実績のある電池工場など複数の工場で検査を実施しても、エレコムの採用基準に至らないケースや、金型が完成しても、量産品の電池で再度試験をすると、従来のリチウムイオン電池との差異が出ないため、設計などを一からやり直すなど、試行錯誤があった。こうした経緯から、発売時期は遅れたものの、同一の試験を行なった場合に従来型のリチウムイオン電池よりも高い安全性を実現した。

釘刺しや圧壊などさまざまな試験で従来型のリチウムイオン電池より高い強度を示すが、充電可能回数が多いのも特徴。一般的なリチウムイオン電池の500回にくらべて2,000回と、4倍の充電サイクル回数を実現している。

5,000mAhモデルとその電池

耐寒能力も優れ、-15℃~45℃での動作が可能。これは電池だけの仕様上の数値ではなく、製品として完成品の状態での数字ということ。市場には電池の仕様上は同等でも、製品としては他のコンポーネントが弱く、スペック通りの性能を発揮しないものもある。

同社は2025年にナトリウムイオン電池を採用したモバイルバッテリーを発売しているが、高い安全性を誇る反面、重量や大きさはリチウムイオン電池の3倍だった。今回の製品は従来のリチウムイオン電池よりも高い安全性を備えながら、容量あたりの体積と重量は従来のリチウムイオン電池よりも僅かに大きく重い程度に収めている。本体サイズは、10,000mAhが70×19×114.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約220g。5,000mAhが68×11.4×110mm、重量約135g。

また、エレコムとして初めて、モバイルバッテリーの買い換え目安時期を知らせる「Health Monitor」機能を搭載。電池の充電回数に応じてLEDが点灯し、買い換え時期を教えてくれる。バッテリー残量モニターに表示されるもので、ランプが点灯していない状態は約250回の充電を示し、青色に点灯した場合は約250~500回であることを示す。この段階では電池性能が徐々に低下している可能性がある。橙色に点灯すると充電回数が500回を超えたことを示し、電池性能が低下し、リスクも高まることから買い換えが推奨される。

ただ、本製品は2,000回の充電が可能であるとしながら、500回で警告表示を行なうのは矛盾があるように思えるが、これは電池が充放電を繰り返さなくても、2年が経過すると劣化が進んでしまうことを理由としてあげている。このためメーカーとしては充電回数に限らず2年を目安に買い換えを推奨したい考えで、「ハードに使っても500回ぐらいがだいたい2年が経過している目安」としてこの数字に設定したという。