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LINEヤフーが狙う地図アプリの「再発明」 「Maply」が目指すもの

2月24日、LINEヤフーが「地図アプリ」的な新サービスを提供開始しました。名前は「Maply」(マプリー)でiOSの無料アプリとして公開されています。今後ユーザーの反応を見ながら、進化していく方針とのことで、密かにスタートしています。

Maplyは、「ガイド」を選んで、目的に合わせて自由に変化するマップアプリ、とのこと。ぱっと見は普通のマップにみえますが、テーマごとに、AIによる「まとめガイド」が用意され、今いる場所や選んだエリアの「見逃せない飲食店」や「ショッピングスポット」を、すぐに見つけられるそうです。

Maply

まとめガイドでは、有名スポットやおしゃれスポット、名物ランチ、カレーの名店などが用意され、目的に応じてお店をすぐに選べる仕組みです。たとえば、初めて行った場所で、ランチの場所のオススメをすぐに探したい、といった時に、「名物ランチ」ガイドを開けばすぐに選択肢が表示されます。

カレーの名店
おしゃれなカフェ

また、検索的な機能も備えており、「うどん・そば」、「~2,000円」、「雰囲気重視」など、食べたいものや、価格帯、雰囲気などの条件を選んで自分だけの「ガイド」も作成できます。自分の趣味嗜好を訪問エリアにあわせて、地図から探せるようになります。

自分用のガイドも作成できる
有名スポット

こうしたガイドの作成に生成AIを活用しているほか、LINEヤフーの持つローカルデータも使っています。さらに、「食べログ」、「ラーメンデータベース」、「るるぶ」など専用データベースを使った「専用ガイド」も選択可能で、食べログのオススメ点などが選べます。

個人的なオススメは、専門ガイドの「バス」。最寄りのバス停から時刻表がわかるだけでなく、バスの向かうルートまでマップ上に示されます。バス検索アプリはたくさんありますが、地図上のバス停を選ぶだけですぐにバスの行き先から時刻表、具体的なルートがシームレスに出てくるものはあまり見覚えがなく、とても使いやすいと感じました。

バス

「駐車場ガイド」は、目的地周辺の駐車場を簡単に見つけられる機能。満空情報や駐車形式、支払い方法などまで網羅しており、行きたいエリアの駐車場が一覧できるのでこれは便利そう。

マニアックなものは「きれいなトイレ(23区)」で、きれい、新しい、広々の3要素で、公衆トイレを評価しているので、エリア界隈でトイレに行きたい時に少しでも広くてきれいなトイレを探すときには重宝しそうです。

地図の再発明? LINEヤフーに新たな地図アプリが必要な理由

公開された「Maply」を少し使っただけですが、ユニークで興味深い地図アプリの登場と言えそうです。

ただし気になるのは、LINEヤフーがなぜこうしたアプリを新たに作るのか? ということです。

MaplyをApp Storeで公開

LINEヤフーには、すでに膨大なユーザーを持つ「Yahoo! マップ」が存在します。Yahoo! マップにこれらの機能を統合しても良さそうです。

もちろん、Yahoo! マップにこうした機能が統合される可能性もありますが、LINEヤフー 上級執行役員 ローカル・UGC SBUリードの島村 武志氏は、Maplyは、LINEヤフーのローカルサービスの「新たなプラットフォーム」として構想したものだと語ります。

いわゆる地図アプリでは、拠点情報とお店の点数や口コミなどが紐づく形になっていますが、Maplyが目指したのは「多様性・多神教的なサービス」とのこと。一般的なマップアプリは、マップ上の静的な「ピン」で情報管理しますが、Maplyは地図上で異なる「ガイドレイヤー」を切り替え可能とすることで、ユーザーはリロードをせずに様々なテーマやニーズを探れるようにします。

例えば、「スイーツを楽しむ」と「駐車場を探す」といった同じエリアでも全く異なる目的について、即座に切り替えて情報を取得できるのはMaplyの強みだと島村氏。

島村氏は、Yahoo !マップをはじめ、乗換案内、Yahoo! カーナビなどを統括する立場ですが、複数の小規模サービスが分散している点が課題だったとしており、LINEヤフーとしてローカルサービスの基盤になるようなサービスを目指してMaplyを設計したとのことです。現状はiOS版のみの公開で、「テスト的な位置づけ」とのこと。ただし、将来的にはMaplyを大きなビジネスに育てていく計画です。

ビジネスモデルについても検討中で、「決まったものはない」とのことですが、BtoBとBtoCのどちらでも収益化の可能性を感じているとのこと。「広告だけでない収益化が必要」としており、ひとつの可能性が、LINEヤフーが力を入れているLINE公式アカウント(OA)との連携強化。すでに、40万以上の事業者が有料契約しているLINE公式アカウントの新たなサービス向上や利便性向上を図る方向での進化させていけるのではないかとします。

もうひとつは、ユーザーからの課金。例えば、サービスの延長線上に、「お金を払っても使いたいもの」にプロダクトを磨き上げていきたいとしています。例えば「駐車場ガイド」や「きれいなトイレ」のような便利なガイドを追加していくことで、そこに課金するユーザーを増やしていく、あるいは「ファンダム的なアプローチもありえるのではないか」としています。。

Maplyはまだ始まったばかりですが、LINEヤフーによる地図アプリの再発明は成功するのか? その先行きを見守っていきたいと思います。

臼田勤哉