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事業者向けマイナポータル「Gビズポータル」26年春リリース
2025年9月26日 12:46
デジタル庁は26日、事業者向けの「マイナポータル」的な役割を担うデジタルサービス「Gビズポータル」を発表した。2026年(令和8年)3月のα版リリースを予定しており、「GビズID」と連携した事業者向け行政サービスの窓口となるサービスを構築する。
行政手続や補助金の申請、申請者と士業者や行政機関等の間でのやり取りなどの窓口を整理し、デジタルサービス上で完結するための新たな仕組み。
横断検索で事業者のデジタル申請窓口に
行政サービスのオンライン申請は、厚生労働省や消費者庁、農林水産省など所管する省庁によって窓口が異なるだけでなく、各省が所管する独立行政法人などが窓口になる場合も多い。事業者向けのデジタル手続では、「GビズID」という統一IDが用意されているものの、申請者からみると申請窓口や方法について、事前に調べるべきことが多く、わかりにくさが残っている。こうした課題の解決を目指すものが「Gビズポータル」となる。
Gビズポータルでは、行政手続棚卸調査等の情報や、行政手続情報、補助金情報などを横断的に検索できるほか、新たに「電子ロッカー」に対応。申請手続きにおいて、申請者と行政書士等の士業者とのファイルのやり取り、行政機関への申請などもファイルベースで行なえるようになる。
加えて、手続きの流れをわかりやすく紹介する「手続きジャーニー」といった機能も提供する。
横断検索については、生成AIを活用してサービスを構築。26府省を横断し、2.4万の手続きの情報を一気通貫して、検索できるようにする。加えて、生成AIを活用し、各省の持つ資料等にタグ付けを行ないながら、検索・表示する情報を補完。わかりやすく手続きの内容などを紹介する。
利用者のテキスト入力による、一般的なベクトル検索(入力キーワードからの検索)だけでなく、事前にタグ付けされた手続き情報などを組み合わせ、制度に関する情報を収集・整理し、関連する情報をわかりやすく提示する。
この機能は「AI実証モード」と呼ばれ、利用者によるON/OFF設定が可能。初期状態ではOFFとなっており、利用者が希望することで、生成AIによる回答を明示的に選択できる形としている。表示する結果についても「生成AIから出力された情報を含む」旨を記載する。
AI実証モードの実例として、建設業の許可申請の場合、AI実証モード「OFF」の場合は、根拠法令の「建設業法」と「第5条第1項」しか表示されないが、「ON」にした場合は、建設業許可に関する基本的な情報のほか、参照したURLや必要な提出書類、申請書に記載すべき情報などを含めて利用者に案内する。
AI実証モードの活用イメージでは、補助金メニューの名称を知らなくても、検索で簡単に利用者が求めている補助金情報にたどり着けるようにするなどで、利便性を高めていく。デジタル庁によれば、現時点の完成度は「75点程度」とのことだが、サービス開始に向けて精度向上を目指す。
電子ロッカーでファイル共有
「電子ロッカー」は、申請書類のやりとりをデジタル化し、申請事業者と司法書士等の士業者が提出書類などをファイルサーバー上で確認しながら、行政への申請までを行なえるようにするもの。
申請者と士業者の間ではデジタルでファイルのやり取りが普及しつつあるが、行政の窓口がデジタル対応しておらず、紙にプリントアウトして提出するといった事例が多いという。こうした課題に対し、申請専用のファイルサーバーを用意することで、申請者と士業者のやりとりから、行政への申請までをデジタルで完結できるようにする。また、各種相談もURLを共有しながら進められるようになる。
ロッカー上でのコメントのやり取りも可能。この取り組みにより、手続の電子申請率を向上させ、手続システムの費用対効果を改善するとともに、行政側の負担軽減を狙う。
なおファイルの共有方法は、「GビズIDで指定」「メールアドレスで指定」「URLとPWを伝えて共有」の3種類を提供予定で、セキュリティを担保する。容量は申請につき1GBまで対応可能で、ファイル数の制限などはない。
「手続ジャーニー」は、行政手続の一連の流れを想定している用途やシーンにあわせて紹介する機能。例えばカフェを開業するときには、まずは「飲食業営業許可」や「防火対象物使用開始届」が必要だが、事業拡大にともないオープンテラスを設ける場合は「道路占用許可」「道路使用許可」などが必要で、深夜に酒類を提供する場合は「深夜酒類提供届出」が必要となる。
一方、これらの申請先は厚生労働省(保健所)、総務省消防庁(消防署)、国土交通省などに別れておりわかりにくい。こうした必要な手続きを事業や業態に合わせてわかりやすく紹介するものが「手続きジャーニー」となる。α版では、カフェ開業手続き、フードバンク認証手続き、創業手続きなどを展開予定。
平 将明 デジタル大臣は、Gビズポータルについて「事務の効率化にむけて生成AIを活用し、横断検索を実現した。ハルシネーション(誤情報)についても、生成AI由来の情報を表示するかどうか確認するほか、HTMLタグも付与して確認できるようにしている。来年3月のGビズポータルリリースに向けて関係省庁と連携して解決を進める。生成AIを含む先端技術を行政に取り込むことで、AIフレンドリーな社会の実現を目指したい」と説明した。













