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コクヨ、「キャンパス」刷新 ノートから「まなびかた」ブランドに

コクヨは、ノートを中心に展開していた「Campus(キャンパス)」をノートブランドから「まなびかた」ブランドへと刷新し、ブッククリップ、ロールふせん、シャープペンシル、消しゴム、ペンケースなど、10アイテム以上を9月5日に発売する。価格はブッククリップが500円(税別/以下同)、ロールふせんが540円、シャープペンシルが230円、消しゴムが90円~、ペンケースが1,600円~など。

「まなびかた」を提供するブランドへ

キャンパスノートの発売は1975年で、50年の節目を迎えた。コクヨでは節目を契機にブランドを根本から見つめ直し、原点である学生のまなびをより広く深く支えていきたいとの思いからブランド刷新を行なう。

新キャンパスブランドでは、ノートを通じて培ってきたノウハウと、総合文具メーカーならではの強みを生かし、前向きな「まなびかた」を提供するブランドへと生まれ変わることを目指す。また、ブランド刷新はコクヨにとって「次の50年に向けた挑戦」としている。

まなびかたブランドとは、50年間蓄積してきた「書く」ことへの深い理解と、学生のまなびへの知見を組み合わせることで、一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことをテーマとしたブランド。ブランドコンセプトは「まなびかたをもっと明るく」、ブランドカラーは「Campus SKY BLUE」。ブランドカラーは、「つい気が進まなかったり、重くなりがちなまなびのシーンを、青空のように晴れた明るい世界のものにするブルー」を採用した。なお、これまではブランドカラーは設定していなかった。

刷新の背景として、新学習指導要領ではデジタル技術の普及やグローバル社会を背景に、暗記中心の学習から創造性や思考力・判断力を重視した「主体的な学び」と「試行錯誤しながらの継続的な学び」への転換が求められていることを挙げている。

学びの転換が求められる中で、情報に触れる機会、学習の選択肢が飛躍的に増える一方、自分に最適なまなびかたを見つけられない、自信を持てない学生も少なくないという。コクヨは、情報過多の時代において、一人ひとりに寄り添った学習支援がより重要になっているとの考えから、まなびかたブランドを展開する。

具体的な取り組みとして、新キャンパスブランドとしての商品展開のほか、文具を用いたまなびかたのヒントやアイデアにより、学生が自分らしいまなびかたを見つけるサポートをする「まなびレシピ」を公開。商品にひもづくまなびの手法をWebや店頭で展開する。

「まなびレシピ」で自分らしいまなびかたを発見

まなびレシピは、料理を完成させるまでの手順やプロセスは多様で正解がひとつでないように、勉強も自分に合ったやりかたが見つかるまで、試行錯誤を繰り返すことが重要との考えに基づいている。学生が気軽に試行錯誤しながら、主体的かつ継続的にまなびを続けるための、文具とメソッドを組み合わせた「まなびかた」のアイデア、自分らしいまなびかたを発見するためのヒントを提案する。今後は、実際にレシピを実践した学生の声の収集や、インサイトを捉えた「まなびレシピ」を開発予定。

コクヨの調査では、学生が勉強で課題を感じていることとして「モチベーションを上げる・維持すること」「時間を効率的に使うこと」が多く挙げられた。また、勉強術で興味があるのは「時間管理術」「ノート術」が上位となったことから、まずは学生の顕在ニーズに応えるため、モチベーションや時間の有効活用に繋がるレシピを提案する。

9月に第1弾として公開する「まなびレシピ」では、教科書等にメモをして“すぐ書く見返す”ための「メモ勉」、コンパクトなサイズで“スキマ時間に”くり返し見返せる「ちょこ勉」、プリントや薄型パンチを“バインダーにひとまとめ”にすることでプリントの紛失を防ぐ「とじ勉」、自分に合った“ごきげん勉強計画”を立てられる「モチ勉」、文具を使っている際のストレスを軽減するベース文具など、4つの勉強法と便利な文具を提案する。

まなびレシピにひもづいた文具12種を発売

まなびレシピにひもづいた文具12種と、新商品とひもづくまなびレシピは以下の通り。

  • メモ勉:ペンのように持ち運べるブッククリップ
  • メモ勉:スキマに書き足すロールふせん
  • メモ勉:教科書やプリントにもっと書き足せるノートふせん
  • ちょこ勉:ルーズリーフ A7サイズ
  • ちょこ勉:暗記用シートにもなる定規
  • とじ勉:2穴バインダーと一緒に持ち運べるパンチ
  • モチ勉:スタディプランナー(ダイアリー/TIME LOG/TO DO)
  • モチ勉:サッと芯を入れて書き出せるシャープペンシル
  • モチ勉:細かな字も書けるマーキングペン
  • ベース文具:よく消えるのに折れにくい消しゴム
  • ベース文具:スタメン文具が仕分けできるペンケース
  • ベース文具:トレーになって一覧できるペンケース

以下の既発売の商品も、まなびレシピにて提案する。

  • ちょこ勉:ノートのように使えるバインダー・ルーズリーフ A6/A7サイズ
  • ちょこ勉:青色シートで覚える暗記用ペンセット
  • ちょこ勉:暗記用ペン<チェックル>(ブライトカラー)
  • とじ勉:プリントもとじやすい2穴ルーズリーフバインダー
  • ベース文具:フラットが気持ちいいノート(ドット入り罫線)
  • ベース文具:Campus修正テープ<ペン型詰め替え>

メモ勉では、近年、板書授業が減少し、プリント配布や教科書に直接書き込む学習スタイルやタブレットの活用が増加していることに着目。書き込むスペースが不足することが多く、別の紙にメモを取ると紛失してしまうという課題に対応するアイテム群により、教科書等にメモを書き込んでテスト前にはこれを見ればいいという状態にするまなびかたを提案する。

「ペンのように持ち運べるブッククリップ」は、書籍などをひらいた状態でキープするためのアイテム。本体を回転させることでペンのように持ち運べるとともに、左右のクリップが独立しているため開いたページの左右の厚みが違っていても外れにくいという特徴を持つ。また、上クリップが下クリップに比べて短く半透明なため、ページ上部の文字が隠れにくくなっている。価格は500円(税別)。

ペンのように持ち運べるブッククリップ

「スキマに書き足すロールふせん」は、教科書や参考書、ノートのスキマにメモやまとめを書き足すためのアイテム。好きな長さで切って使うことができ、全面粘着ではがれにくいことを特徴としている。ペンケースに入れて持ち運ぶ際にふせんが汚れることを防ぐケース入り。価格は本体が540円(税別)、リフィルが400円(同)。

スキマに書き足すロールふせん

「教科書やプリントにもっと書き足せるノートふせん」は、キャンパスノートの紙で作った、小サイズが100×75mm、大サイズが150×100mmのふせん。教科書や資料にメモやまとめを書き足す、プリントに問題の解説を貼る、板書を1ページにまとめきるなどの使い方を提案している。キレイに折りたためるミシン目入り。価格は290円から490円(税別)。

教科書やプリントにもっと書き足せるノートふせん

ちょこ勉では、スキマ時間で勉強したいというニーズに対して、計画・要点・暗記のすべてをミニサイズのバインダーに集約するまなびかたを提案する。

「ルーズリーフ A7サイズ」は、スキマ時間にさっと出して勉強ができるコンパクトサイズのルーズリーフ。マークをつけて TO DO管理ができる「TO DO」タイプ、3色で使い分けて整理がしやすい「すっきり見分ける」タイプ、暗記勉強に向けた「暗記がはかどる」タイプの3種と、A7バインダーに取り付けられるルーズリーフ用ふせんをラインアップする。価格は180円から380円(税別)。

ルーズリーフ A7サイズ

「暗記用シートにもなる定規」は、暗記面が広く隠しやすい、やや幅広サイズの15cm定規。青色と赤色をラインアップする。ペンケースに入れられるサイズかつ参考書などにも挟める厚みとした。価格は250円(税別)。

暗記用シートにもなる定規

とじ勉では、プリント授業が多い中で、プリントに穴あけをしてとじるという管理を簡単にするためのアイテム群を提案する。

「2穴バインダーと一緒に持ち運べるパンチ」は、ペンケースにも入れられるほか、バインダーと一緒に携帯することもできる薄型軽量のパンチ。プリント授業が多い中、従来のパンチは持ち運ぶには大きく、プリントを家に持ち帰って穴あけをする必要があるが、プリントの紛失も多発していることが学生へのヒアリングで判明したため開発した。学校や図書館などの外出先でも、その場ですぐに時系列順にとじて管理できる。価格は390円(税別)。

2穴バインダーと一緒に持ち運べるパンチ

モチ勉では、「計画や実績の可視化」でやる気を上げる学生が多くいることから、計画と頑張りを記録して振り返ることでモチベーションを上げるまなびかたを提案する。

「スタディプランナー」は、用途を特化した3種をラインアップ。長期的な目標を意識して予定を立てられる「ダイアリー」、週単位、一日単位でやるべきことと、やったことの管理ができる「TO DO」、時間管理をして勉強計画が立てられる「TIME LOG」を用意する。価格は、ダイアリー A5サイズが1,450円(税別/以下同)、TO DO セミB5サイズが540円、A5サイズが500円、TIME LOG セミB5サイズが540円、A5サイズが500円。

スタディプランナー
ダイアリー
TO DO
TIME LOG

「サッと芯を入れて書き出せるシャープペンシル」は、キャップを外さなくても上から芯を入れられるスピードイン機構を搭載。慣れ親しんだ鉛筆のような「シンプルで気軽な」筆記具を追求したとしている。芯径は、0.5mm、0.3mm、1.3mmをラインアップ。価格は230円。

サッと芯を入れて書き出せるシャープペンシル

「細かな字も書けるマーキングペン」は、ラインマーキングとメモ書きの2種類の使い方が可能で、ノートを同系色でまとめられる。見やすく、キレイなノートにしたいというニーズに応える。カラーはピンク、イエロー、グリーン、ブルー、グレーの5色で、価格は5本セット950円(税別)。

細かな字も書けるマーキングペン

ベース文具は、「消しゴムが折れた」「使いたいペンがすぐに見つからない」といった、やる気を削ぐちょっとした困りごとの解決を図るアイテム群。

「よく消えるのに折れにくい消しゴム」は、消えやすさと硬さのバランスを最適化したコクヨ独自のハイブリッド製法により、高い消字性と折れにくさを両立。適度な硬さで狙った箇所をピンポイントで消すことができるという。同製法の開発には5年をかけており、採用は初。

よく消えるのに折れにくい消しゴム

形状は手にフィットし、細かい文字も消しやすい設計の平行四辺形タイプ、広い面の消去に適した長方形タイプを用意する。価格は、平行四辺形のMサイズが150円(税別/以下同)、Sサイズが100円、長方形のMサイズが140円、Sサイズが90円。

平行四辺形タイプ(左)と長方形タイプ(右)
平行四辺形タイプ使用イメージ

「スタメン文具が仕分けできるペンケース」は、使用頻度の高い“スタメン文具”をフロントポケットに仕分けできる設計。ペン収容本数約40本の大容量タイプで、修正テープなどを収容できる小物ポケット、ふせんなどの薄物を収容できるふせんポケットなども備える。サイズは240×55×110mm(幅×奥行×高さ)。価格は1,650円(税別)。

スタメン文具が仕分けできるペンケース

「トレーになって一覧できるペンケース」は、トレーになって大きく開き、中身を一覧できることが特徴。「大は小を兼ねる」「中身を整理するのは面倒」というニーズに対し、大容量でガサっとしまえて、文具使用時には取り出したい小物やペンを見つけやすいペンケースを開発した。サイズは250×85×45mm(幅×奥行×高さ)。価格は1,600円(税別)。

トレーになって一覧できるペンケース

低価格の100均・付加価値のキャンパスノート

メディア向け説明会では、キャンパスノートの歴史や戦略、「まなびかた」ブランドの提供価値などについて説明。

キャンパスノートは1975年に初代が誕生し、1983年に2代目、1991年に3代目、2000年に4代目、2011年に現在展開している5代目を発売した。初代は、当時主流だった糸とじとは全く違う「無線とじ」を初めて採用したノートだった。

2000年代には100均が登場し、ノートは低価格化。価格競争もあったが、キャンパスノートは4代目で、最後までノートを使っても破れにくい新クロスの開発に成功するなど、付加価値のあるプレミアムなポジションを確立。2024年末時点で累計販売冊数37億冊を超え、中高生の認知率は98%を超えるという。また、中国やベトナムなどアジアを中心に海外でも展開している。

消費者の調査では、「勉強のスイッチが入った時、気合いを入れて勉強したいと思った時にキャンパスノートを買う」という声があったという。また、100均も書店も無印良品もあるショッピングモールに出店する文具店スタッフから、「勉強しようと思ったらやっぱりキャンパスノート買うんです」という話があったことを紹介した。

長期ビジョンでは、グローバルステーショナリー事業において、従来の文具を提供するだけのメーカー事業から脱却し、まなびへの深い理解・洞察を基盤としたまなびかた事業への転換を図る。

歴史や事業戦略などを説明するコクヨ グローバルステーショナリー事業本部 統括本部長 梅田由記氏

刷新の背景にもある学習指導要領に関しては、まなびを取り巻く急速な環境変化に伴い、現場でさまざまな課題が発生していると指摘。探究型教育へのシフトというトレンドがある中、生徒側は探求に大事な問いを立てられない、教員側は多様なまなびの支援方法がわからないという課題があると説明した。また、全国の高校生1,245名を対象にしたアンケートの、「まなびかたを自信をもって確立できている」と回答した学生は7.7%という調査結果を紹介した。

こういった課題に対し、キャンパスブランドを「最寄りのノートブランド」から「まなびかたに迷う学生が真っ先に頼れるブランド」へと刷新。これまで文具単品の提案にとどまっていたものを、まなびかたと文具の組み合わせ提案をする「まなびレシピ」による体験価値提供を図る。

新しいキャンパスブランドについて説明するコクヨ Campusブランド責任者 本村香代子氏