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LUUP、速度と安定を両立する3輪ユニバーサル車両「Unimo」

Luupは4日、三輪・小型のユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」のコンセプトモデルを発表した。高齢者を含む幅広い利用者が使える車両を目指し、アイシンと共同開発したもの。2026年度中に複数地域での実証実験を開始する。

これまでLUUP車両は20~50代の利用者が多く、高齢者の利用は少ない。年齢や性別の違いに関わらず、多くの人が利用できるユニバーサル車両により、マイクロモビリティを公共交通サービスとして普及させるため、Unimoを開発した。

Unimoは、幅広い世代が取り扱えるような走行時・静止時の安定性と、身体的負担の少ない移動、誰もが乗りたいと思えるユニバーサルデザイン、アプリと連動して最高速度や走行補助をパーソナライズするなどの機能を備えている。

Unimo
ナンバープレートも取得済み

車両区分は特定小型原動機付自転車で、16歳以上であれば免許不要で乗車可能。制限速度は車両通行時20km/h、歩道や路肩帯は6km/h。アイシンが開発したリーンアシスト制御により、三輪構造の安定性と二輪構造の走行能力を両立。車速とハンドル角度の情報に基づき、車体の傾斜角を制御し、幅の狭い車両でも高い走行性能を実現できるという。

幅は59.5cm、奥行きは130cmで重量は約60kg。既存のLUUPのポートに収まるサイズのため、すでに全国14,500カ所に展開しているLUUPポートに設置可能としている。また、IoTモジュールを搭載し、アプリやサーバーから操作や制御も可能となっている。

リーンアシスト制御

25年度中はUnimoの試乗会などを実施し、2026年度中には複数地域で実証実験を行ない、必要な仕様の調整やユーザーニーズの把握などを行なう。特に姿勢制御について幅広い利用者からの意見を聞きながら最適な設定等を探っていく。

現在のUnimoの課題は「コスト」で、コンセプトモデルとして高いスペックを持っているが、将来的なコストダウンなどに向けた仕様をまとめながら、シェアリングサービスへの本格導入を目指す。なお、8月25日から31日まで大阪・関西万博の「スマートモビリティ万博」の一環として実施されるロボットエクスペリエンスにも参加予定。

GKダイナミックス デザイナー ランディー・カダルマン氏(左)、 Luup岡井大輝CEO、アイシン 技術開発本部 先進開発部 プロジェクトリーダー 荒木敬造氏(右)

誰もが使えるモビリティに「Unimo」

Luupの岡井大輝社長は、Luup創業時には、介護スタッフの派遣サービスを構想していたが、その中で見つけたのが日本における「移動の課題」だったと説明。鉄道駅を中心に発達した日本において、駅から離れた場所へのアクセスが悪く、それが介護派遣サービスの大きな課題になっていたことから、マイクロモビリティサービスとしてのLUUPを構想。これが、移動を便利にする「街中をインフラ化する」というLuupのミッションにつながっているという。

Luup岡井大輝社長
創業時は訪問介護サービスを想定していた
都市空白の課題からLUUPの事業を展開

Luupの事業は拡大しており、アプリダウンロード数は450万、都市部16エリア、地方部19エリアに広がった。都市部の規模を活かし、「ようやく地方でも採算が取れるようになった」状況という。その中で、都市過密と地方過疎の課題を解決できるサービスとしてLuupを展開しながら、より多くの利用者に適したモビリティを展開していく。そのための車両が「Unimo」となる。

誰もが使えるモビリティサービスを目指すLUUPだが、現在のLUUPの課題としては、20-30代の利用が最も多く、20-50代で90%を占めるなど年齢層に偏りがあること。これはキックボードなど「新しいもの」としてLUUPが紹介されてきたこともあるが、高齢者には利用が難しいのは事実。Luupでも、シニアカーに変わるサービスを模索している中でUnimoの開発に至った。

現在のLUUPは走行距離は長いが誰にでも使えるとはいいにくい。また、シニアカーや電動車椅子など身体能力に寄らずに乗車できる安定性を持つが、LUUPのような長距離移動はできない。こうしたマイクロモビリティの「空白」を埋めるものとしてUnimoを提案していく。

ただし、三輪モビリティには、明確な課題がある。それは「自転車と同等の速度の三輪・四輪車両はカーブ時の姿勢安定が難しい」ということで、「それ故に社会実装できている、三輪・四輪の電動モビリティはほとんどない」という。

そこで今回、アイシンと協力したリーンアシスト制御を導入。低速ではアシストトルクを強く、高速時はアシストトルクを抑えるなどの制御で、低速でも自転車並みの高速でも高い走行性能を維持できるようにした。デザインはヤマハの二輪などを手掛けるGK Dynamicsが担当し、大胆なライティングなどを施している。

なお、LUUPでは座席カゴ付きの特定小型原付「電動シートボード」も発表済みだが、当初予定していた2024年冬の投入を延期し、25年夏から提供予定。シートボードも安定性を向上できるモビリティだが、「シートボードはまもなく導入できる。Unimoはもう少し先の中長期のモビリティをイメージしている。コスト面の問題はあるが、Unimoは自立する仕組みを導入しており、将来的な自動運転へのきっかけにもなる」(岡井CEO)と説明した。