ニュース

LUUP、座り乗り「電動シートボード」を横浜で始動 買い物に便利

左から、横浜みなとみらい21 理事長 漆原順一氏、Luup 代表取締役 CEO 岡井大輝氏

Luupは18日、神奈川県横浜市で座席・カゴ付きの特定小型原付「電動シートボード」を提供開始した。電動シートボードは、中距離の移動や荷物を持っている人にも利用しやすい新型モビリティ。電動キックボードや電動アシスト自転車で対応しきれなかったニーズをカバーするべく投入された。

横浜エリアでは、約440カ所のポートに100台の電動シートボードを配備し、順次台数を拡大するほか、2026年春以降は横浜以外にも展開を広げる。料金は既存車両と同じで、ライド基本料金50円に加え、時間料金1分あたり15円となる。

電動シートボード
約440カ所のポートに100台の電動シートボードを配備

ユーザーの声から生まれた新車両、横浜から投入した理由は

発表会では、Luup 代表取締役 CEOの岡井大輝氏が登壇し、電動シートボードの開発の経緯や特徴を説明したほか、横浜みなとみらい21 理事長の漆原順一氏が挨拶した。

岡井氏は電動シートボードについて、LUUPユーザーからの「買い物で使えるようカゴを大きくしてほしい」や「疲れるので電動走行にしてほしい」といった声を受けて開発したと説明。電動アシスト自転車と同程度に利用されると見ており、車両配分は市場投入後の利用状況や反応を見ながら最適化していくとした。

電動シートボードの初導入エリアに横浜を選んだ理由として岡井氏は、21年より横浜市と連携を深めてきたことや、24年3月に「スマートモビリティビジョン」実現に向けた連携協定を横浜みなとみらい21と結んだ経緯を挙げた。景観と移動の快適性の両面で一体となって取り組んでいるエリアであり、新車両を検証する最初の場として最適だと判断したという。

漆原氏は電動シートボードの導入に関して、横浜みなとみらい21地区における新たな移動手段として定着し、地域の賑わいや回遊性を高めることで、よりワクワクドキドキするような街になることを期待していると述べた。

自転車に見えないデザインが特徴、スマホホルダーも進化

今回導入された電動シートボードは、既存の電動キックボードにサドルを後付けするタイプが主流の国内市場において、「自転車に誤認されないこと」を大きなコンセプトに、座り乗りの特定小型原付としてゼロから設計・開発された。

そのうえで、座席付きでありながら遠目にも自転車とは異なる印象になるよう、あえて電動キックボードに近いシルエットを採用。あわせて、座ったままでも操作しやすいようにハンドル位置を電動キックボードより低めに設定するなど、工夫が施されている。

電動シートボード(左)と電動キックボード(右)。自転車に誤認されないようキックボードに近い見た目にしつつ、ハンドル位置を電動キックボードより低めにするなど、座り乗りに最適化した工夫が施されている

走行性能や実用性の面では、前輪に電動キックボードより大径の12インチホイールを採用し、安定感を高めた。カゴは電動アシスト自転車の収納カゴ(容量12L)よりも大きい、容量15L以上のものを搭載し、落下防止フックも備える。

特定小型原付として0km/h発進となるため、意図しない発進を防ぐDRIVE/PARKINGスイッチも用意する。なお、カゴを前面にも搭載しなかったのは、自転車との誤認防止に加え、重心バランスを最適化して安定性を確保する狙いがあるという。

落下防止フック搭載のカゴ
DRIVE/PARKINGスイッチ
電動アシスト自転車(右)では前面にカゴを搭載している

このほか、ウィンカースイッチはスライド式を採用し、シートは従来より大きく厚みのある形状とすることで乗り心地を向上。両足をそろえて乗れる幅広のステップボードやリアフェンダー一体型のナンバープレートなど、専用設計が施されている。

スライド式ウィンカースイッチ
シート
電動キックボード(左)と電動シートボード(右)のステップボード比較

また、既存車両も含めた改良点としてスマホホルダーも刷新。シェアサイクルのスマホホルダーでは、さまざまなサイズのスマホに対応しつつ、固定力が弱いと段差で端末が飛び出し、強すぎると開閉しづらいという相反する要素のバランスが求められる。

新モデルではこのトレードオフを考慮し、女性でも開閉しやすい適度なグリップ力を保ちつつ、固定レバーでしっかりロックできる構造とした。岡井氏は「かなり完成度の高いスマホホルダーになった」と自信を示した。

新モデルのスマホホルダー。緑色の固定レバーを搭載
片手でも開閉できる
スマホホルダーを紹介する岡井氏

LUUPの交通安全対策

電動シートボードは、23年7月の道路交通法改正で新設された、特定小型原付(特定小型原動機付自転車)に該当し、時速6km走行のモードに切り替えることで歩道でも走行できる。発表会では、こうした車両の導入に関連して、交通ルール違反への対策についても説明が行なわれた。

Luupでは、ユーザーに交通ルールを徹底して守ってもらうため、利用開始前に受ける「交通ルールテスト」を用意し、満点合格しなければ乗車できない仕組みを採用している。現在このテストは、従来の11問から14問に増えており、出題もランダム化することで、以前より難度が上がったという。

また、違反が発覚したユーザーに点数を加算し、一定の点数に達するとアカウント停止となる「交通違反点数制度」も導入。飲酒運転など悪質な違反については、即時にアカウント停止などのペナルティが科される。

警察との連携も強化しており、LUUP利用中に警察が取り締まった違反情報を確実に共有できる体制を構築している。車両にはGPSも搭載し、大通りでの逆走や、公園・商店街など進入禁止エリアへの侵入といった違反を遠隔で検知し、オペレーターが確認した際には点数を加算する。

なお、法改正後2年間で、Luupが提供する特定小型原付による死亡事故は発生していないという。同社は、着用を推奨しているヘルメットについても、折りたたみ式ヘルメットの配布方法なども含めて、ユーザーの着用率向上に向けた検証を進めている。

18日には、電動シートボードの安全講習会および試乗会も実施された。