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ヤマト運輸、ファン付きベスト7.5万着導入 熱中症対策強化
2025年5月28日 09:00
ヤマト運輸は、従業員の熱中症対策を強化するため、6月から「ファン付きベスト」の導入を拡大すると発表した。あわせて、全国の事業所にWBGT(暑さ指数)測定器を設置し、一部エリアでは熱中症リスクを感知する「ウェアラブルデバイス」の実証実験も開始する。
ファン付きベストは、2021年から台車や自転車で集配業務を行なうセールスドライバー約6,500人に貸与し効果を検証してきた。今回、トラックで集配業務を行なうセールスドライバーにも対象を広げ、新たに約75,000着を導入する。トラック乗務員向けには、運転の妨げにならないようファンの取り付け部分を背面から側面に7cmずらした改良モデルを用意する。貸与対象は、一部エリアを除くトラック乗務のセールスドライバーと作業職の社員。
WBGT測定器は、これまで一部事業所への導入に留まっていたが、全国の営業所やベース、法人関連オペレーション拠点など約3,000カ所に設置を拡大する。これにより、各拠点の作業環境を正確に把握し、より迅速かつ状況に応じた熱中症対策を講じることが可能になる。同社はこれまでも環境省発表のWBGT値を参考に、スポットクーラーの設置や水分補給の注意喚起などを行なってきた。
さらに、熱中症リスクを感知するウェアラブルデバイスの実証実験を長崎県と東京都一部のセールスドライバーおよび作業職社員約2,500人を対象に開始する。このデバイスは手首に装着し、体の深部体温の変化を測定。熱中症のリスクを音や光、バイブレーションで知らせる。初期症状の段階で水分補給や休憩を促すことで重症化を防ぐ狙い。実証では有効性を検証するとともに、感知した時間帯や回数、エリアなどのデータを収集し、今後の対策に役立てるとしている。
これらの対策強化の背景には、近年の記録的な猛暑が増加傾向にある点や、6月1日から改正される労働安全衛生規則により職場での熱中症対策が義務化されるなど、対策の重要性が増していることがある。ヤマト運輸はこれまでもガイドライン策定や冷風機の設置、シャーベット状の飲料水や経口補水液の常備などさまざまな対策を実施してきた。