ニュース
au、スターリンク直接通信を他社ユーザーに開放 1650円
2025年5月7日 13:52
KDDI、沖縄セルラーは、衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」を、UQ mobile/povoや、他社回線利用者向けに提供開始する。月額料金は1,650円で、UQ mobileの「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」利用者は月額550円。
au Starlink Directは、auが保有する既存の周波数帯を利用して、地上基地局を介さずにスマートフォンとStarlink(スターリンク)衛星を直接接続するサービス。空が見える場所であれば、これまで圏外だった地域でもテキストメッセージの送受信や緊急情報の受信が可能となる。4月からauスマートフォン契約者向けにサービス開始していたが、今回au契約者以外にもサービスを広げる形だ。
通信環境の整備が困難な山間部や島しょ部、キャンプ場や海上などにおいても、家族や友人との連絡手段、緊急時などに活用可能となるため、「空が見えれば、どこでもつながる」(KDDI)と説明している。
au Starlink Directで利用可能なサービスは、テキストメッセージ送受信(SMS/RCS/iMessage)と現在地の位置情報共有、Android スマートフォンでGeminiによる調べもの、緊急地震速報/津波警報/国民保護情報(Jアラート)受信。また、auの4G LTEエリアで利用可能なデータ通信1GBもついてくる。
対象エリアは、日本全土(47都道府県および領海)で、対応機種はGoogle Pixel 9シリーズ、iPhone 16/15/14シリーズ(5月7日時点で18機種)。au Starlink Direct専用SIM/eSIMとして提供し、対応機種はデュアルSIM対応のため、普段の回線とあわせて利用可能となる。
月額料金は1,650円。申込みはau取扱店とau Online Shopで受付。契約事務手数料3,850円が必要となるが、同額をau PAY 残高として後日還元する。6月30日までに加入すると、6カ月無料で利用できる。
なお、「auバリューリンクプラン」などauの対象料金プランの契約者であれば、au Starlink Directは無料で利用できる。
法人も注目 1カ月で“圏外からの開放”に手応え
「au Starlink Direct」の詳細は4月10日に発表されており、即日サービス開始となっている。5月7日発表の新料金プランにも基本サービスとして組み込まれるほか、UQ mobileでは月額550円という優遇料金で提供されることも明らかにされた。
対応端末は4月のサービス開始時点で既存の50機種と案内されていたが、6月4日からPixel 7とPixel 8シリーズ(8a含む)が対応することもアナウンスされている。
SpaceXが構築するスマホ通信用の衛星コンステレーションを使うこのサービスは、世界で3番目のサービス開始で、アジアでは初めてとなる。スマートフォンが対応している既存の周波数帯を利用するため、KDDIでは1年以上かけて基地局のチューニングを実施してきたという。KDDI代表取締役社長 CEOの松田浩路氏は改めて「au Starlink Direct」の開始について、「日本のユーザーに、1年後でも2年後でもなく、今すぐお届けしたいという強い想いで実現した」と言及している。
この発言は、将来的に競合になると考えられる楽天モバイルの衛星サービスが「2026年第4四半期にサービスイン」と案内されたことが念頭にあると思われ、エリア構築でゲームチェンジャーになり得る衛星サービスを先行提供し、定着を図る考え。
また、「サービス開始から好評で、個人のみならず法人ユーザーからも大変好評をいただいている」(松田氏)というように、山間部や海上で業務を行なう法人や、災害時の安否確認用などとして、法人需要に手応えを感じている様子も語られている。
au契約者以外にSIMカードとして提供するサービスについても、2つのSIMカードに対応するスマートフォンが普及していることを背景に、「万が一の備え」の2枚目のSIMとして、法人を含めて展開していく。松田氏は「安心・安全につながるサービスだと、多くの反響があった。日本全国のユーザーにもお届けしたい。その方法として専用SIMにした」と説明している。
4月10日のサービス開始からゴールデンウィークを終えた5月7日時点までの、「au Starlink Direct」の約1カ月の利用動向も明らかにされている。当初は1日あたり数千名が利用していたというが、ゴールデンウィークに入ると利用が増加、1日あたり4万人近くが利用したという。これは旅行などで山間部や海を訪れる人が増加したためで、尾瀬や日光といった広大な国立公園などで利用が目立ったという。松田氏は「すでに多くの人々が圏外から開放されている。空が見えればどこでもつながる」と、有効性をアピールしている。